2007/8/31

てなわけで  

『Y十M』感想をアップしておきました〜。

何だろう…スゴイ時間かかったような…。
お言葉に甘えまして、体調がもとどおりになるまで養生させていただいてたのですが、その間なんにも書かないでいると、書き方を忘れてしまっていました。(何それ)
ちょっと苦しむことになりましたけど、でも「書けるまでブログに手をつけない」「8月31日までに書き上がらなければブログ廃止!」とまで追い込んだのがよかったのでしょうか。合間にもいろいろあって時間がかかりましたが、何とか書きあがりました。ちょっとまだ復調できていないのですが、それでも読んでやるよとおっしゃってくださる心優しい方、すみませんが下の方へよろしくお願いします。

しかし、まさかいまになってこの日に苦しむことになるとはね…(笑)。

  ※ ※ ※

病気していた間、メッセージやメールをくださったみなさま、どうもありがとうございました…! 本当にうれしかったです。ひとつひとつが宝物です。
そろそろ頭が落っこちてしまいそうなので、お返事はまたのちほどさせていただきます。すみませんが、もうすこしだけ、お時間をください。
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2007/8/26

ただいまです〜。  

といってもふたつのイミで。
ひとつは、ようやくブログに手をつけられるようになったこと。(長かった…!!)
風邪の方はとりあえず、水曜日にはひとまず熱もさがったし、木曜日には出歩けるようになりました♪ 喉だけが最後までしつこく痛かったけど…それもすこしずつなおって、いまはもう大丈夫!(笑) もとどおり、元気に活動しています。

そしてもうひとつは、ちょっと遠出から帰ってきたこと。
香川県は高松市に行っておりました。
「そんなことする間に記事書けよ!」とか言われちゃいそうですけど、快気祝いです、快気祝い。病気してる間、ずっと希望してまして。それに最近は香川行ってなかったですから、やりたいこともいろいろたまってましたしね。
というわけで、ちょうど香川へ行く車へ便乗。連れて行ってもらいましたよv
あちらではお友だちにも会えたし、お買い物もしたし。行った時は毎回入るインド料理やさんでは、はじめて食べた辛口カレーに火を吹いたり(笑)。うー、くちびるがヒリヒリする〜…。しばらくタラコでしたけど、でも、いいアセかきました!(笑) そういえばこのころから喉の痛みが気にならなくなって……あ、もしかしてカレーの香辛料が効いたのかな?
あと河童映画みてきましたよ、河童映画! 面白かった…!(*^-^*)
忙しかったり風邪ひいたりして、行けないでいる間に愛媛の上映期間終わってしまいましたけど(何ソレ!)、まさか香川に来てみれるとは想ってませんでした。こんな遠い地でみられるなんてなー。もしかして河童のおみちびきかもv
だったらこれはちゃんと感想書かないとですね! 書かないとバチあたるですからね!
でもまた後日。(← こ の や ろ う !)

     ☆

さて、記事もたまりにたまってることだし、すこしずつ消化していきますか。
まずは何といっても『Y十M』と鬼太郎を!(笑)
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2007/8/20

病の床からご挨拶。  

半死人ですこんにちわ。

土曜日の夜からこっち、いやに身体がほてって喉がひりつくと想っていたら、あんのじょう夏風邪でした。
いまもちょっとやばく、ひとりで外に出れる状態ではないので、今週分の鬼太郎と『Y十M』の感想は、すぐの掲載はお休みさせていただきます。……すみません。
現在、監視の眼がないのをいいことにPCの前へ(笑)。それぐらいならまだ大丈夫なのですが、しかしいちばん近くのコンビにでも行くには遠いので外出は無理っぽいです。
いちおう、今週中に病気が治って、まだ店頭にやんまがが残っていたら、しっかり書きますよ。書く気はマンマンありますからね! 鬼太郎もビデオに録ってるし!
そういうわけで、今週はまかせました三田さま。(←オイ!)

あ、あといくつか送りモノをしました〜。
夏風邪が半分自覚されてきた頃に処理していたので、いつも以上に字がきたなく(…)うさんくさくてあやしげな(……)小包が発送されています。
お心当たりのある方とない方、受け取ってやってくださいませです。


それでは、いまからちょっとうなされてきます。……ううん。
私のもとにも護国寺くんが来てくれますように。(←寝言は寝て言え)
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2007/8/17

今回の『Y十M』(※ネタバレ注意!)  そのいち  せがわ先生作品感想

1週間。
風邪っぴきだったのもあって、まるまるたっぷりとお休みいただいてしまいました。
その間、大師兄である三田さまが願いを聞き届けてくださり、とても気合いの入ったご感想を書いてくださいました。(ありがとうございました!)
あまりにすばらしかったので「これはもう私の出る幕はないかな?」と想いもしたのですが、同時に「書かないと書けない気がする」と想いもしたので、今回感想もちゃんと書いておきます。(店頭にまだやんまがが残っててよかったでした♪)

というわけでりはびりもかねて今回の『Y十M』いきましょう。
鶴ヶ城の地下にある際室へ、芦名銅伯によって招かれた沢庵おしょうとおとねさん。
堀の女たちをゆるすから会津を出て行ってくれ。そして自分の首をやるから、そのかわりに般若侠の首をこちらに差し出せ――。
談合の場をもうけ、ひじょうに虫のいい条件を提示してきた銅伯を、しかし沢庵おしょうは鼻で笑うようにそれを一蹴。申し出に対し、断固として、加藤明成と、香炉銀四郎・漆戸虹七郎の首をもらわねばという姿勢をくずしませんでしたよ。(よく言った!)
――しかし。
芦名銅伯がおこなう奇怪な術〈夢山彦〉によって、沢庵おしょうは得体の知れない空気にしだいに追いつめられ、やがて祭壇の大鏡の中にここにあるはずのない人物の姿を見ることになるのです。それは。

「南光坊天海どの!!」

鏡に映ったその像は、白いまゆに白いひげ、特徴的なわし鼻――まごうかたなき南光坊天海僧正のもの。江戸にいるはずの……ここに実像のないはずの人物が、何故鏡に映っているのか。
「たっ、沢庵さま…」
おびえてすがってくるおとねさんを気づかう余裕もなく、しかしそれでも眼の前で起こっている奇事の正体を何とか見きわめようとする沢庵おしょう。
「……修法じゃ」
そう言う声に、しかし自信はなく、動揺が顔にもあらわれています。
江戸にいるはずの天海僧正が、いきなりここにあらわれるわけがない。やって来たという報せももちろん聞いていないでしょうし、ここにいるのはほかでもない、沢庵おしょうとおとねさん、銅伯老と香炉・漆戸、そして儀式に使われた女の人たちだけです。しかし大鏡に映っているのは、まぎれもない――……。
突然あらわれたこの鏡像の正体をさぐりつつも、沢庵おしょうとおとねさんの胸中で、不安と恐怖はいや増すばかりです。
これは――銅伯老の夢。沢庵おしょうがいま鏡中に見ているのは、他人に見せることなど不可能であるはずの、夢をうつしたものなのです。〈夢山彦〉という幻法によって実現した、芦名銅伯がたったいま見ている夢の世界の映像なのです。
もとより、そんなことを知らない沢庵おしょうは、この修法を見破れることもなく、考えるほどに混迷におちいるばかり。
結論を出す間もあたえず、銅伯老の〈夢山彦〉はさらに進行していきます。……

大鏡の前では三角火炉が火をもえたたせ、火炉の前には依然として、こんこんと眠り続ける銅伯老。
天海僧正が家康公の、そして沢庵おしょうが家光公の師僧であることを寝入ったままの銅伯老にちらつかされ、それにいらだってる……のではなくて(スミマセン)、寝言の内容にあせりと危機感をかくせない沢庵おしょう。
銅伯老が寝ながら言うとおり、天海僧正は沢庵おしょうのいわば先輩格。それに、過去ある事件において、沢庵おしょうは天海僧正から大恩を受けてもいるのです。くわしいことは原作や資料をあたっていただくとして(書くのが面倒なわけじゃないですよ/笑)、銅伯老がこうして持ち出してきたからには、その天海僧正の身に何かよろしくないことが起ころうとしているようです。次々と、眼の前に天海僧正の鏡像を出現させ、さらにこのような不安要素を持ち出されては、いかに沢庵おしょうとて焦慮しないわけにはいかないでしょう。歯がみしながら銅伯老を見るばかり。……
――と、沢庵おしょうへのゆさぶりがなされている間に、壇上まで上がってきていたぎんしろさんとこうしちろーさん。
それぞれ銅伯老の両脇に立ちますが、その手には一刀がにぎられ、
「では…」
「…参りまする」
刀を自分たちの首領に向け、淡々と宣告するふたり。いったい何をはじめようというのでしょうか。
……ところで想ったんだけど、土足で上がってもいいのかな、この三角檀。(ふたりの足に注目)

……それはともかく。
ところ変わって、今度は江戸・寛永寺。
聖千姫とともにやって来たお千絵さんお笛さんを前に話し続けるのは――南光坊天海僧正、まごうかたなきその人です。
やはり天海僧正は会津へは行っておらず、離魂病でもテレポーテーションでもドッペルゲンガーでも同時多発現象でもありませんでした。ずっと聖千姫たちと話をしていたようです。(←将軍家師僧をいったい何だと)
……イエええと。
ともかく、自分の秘密――自分と芦名銅伯は双生児で、片方が死ねばもう片方も死ぬと言う不思議な運命にあること――について天海僧正は語り続けています。
「…拙僧と銅伯の百八年のこの秘密…これを御存知あるは、上様と老中松平伊豆守の他にはござらぬ」
あのう、どうしてそのふたりなのかが気にかかるのですが。家康公の孫である家光公はともかく、何でまたよりにもよって松平伊豆どのが…。(←ちょっとヒきぎみ)
いちおう老中職に就いているんだし政務を担当する最高責任者なんだから、将軍さまから何かそれらしいことを聞いていたりしてるのかな、とも想ったんですけど。でも『Y十M』伊豆どのを見てると何だか違うような気も。自分で気づいてたりして。(頭の切れと喰えなさにおいては沢庵おしょうといい勝負ですからね…)
いずれにしても、そんな、幕府の大秘事ともいうべき秘密を、いまは状況を考え聖千姫を信じてこの場でうちあけた天海僧正。聖千姫も緊張の面持ちで聞き入っています。
「…もし誰かにこの秘密が知れれば…天海を討ちたくば銅伯を討ち、銅伯を討ちたくばこの天海を討つ……」
南光坊天海僧正といえば、何せ大御所家康が征夷大将軍となる前から徳川家をささえてきた、いわば“徳川の大柱石”。もしもうしなってしまえば、まつりごとや治安をおおいにみだれかねないほどの最重要人物であると言えるでしょう。芦名銅伯もまた2代目さまをささえてきた(?)会津藩の重要人物であることですし、幕府か会津藩、どちらかの転覆をはかる者からすれば、標的を直接ねらうよりも自分を警戒していない側をやってしまえばいいんだから、それなりにうまくことは運ぶ、というわけですね。
しかし自分の周囲で暗殺やねらい討ちを横行させるわけにはいかないから、これを大秘事として、かぎられた人物しか知らないようにしている、と。なるほど…。
天海僧正にしてみれば、世の中も泰平になって家光公が将軍職についたいまこそががんばりどきでしょうからね。そう、泰平になったばかりだからこそ、まだ不安の種がいくらか残っているものなのかもしれません。……まかいにころんでうまれかわりそうなヒトとか(苦笑)。
でも、よくよく考えてみれば、聖千姫も五三桐(豊臣家の家紋)を駕籠につけるほどの人なのですが……ま、言うまい。いまは場合が場合なんだし。天海僧正も信じていることですしね!(^-^;)

――と。
「…銅伯を…討ちたくば…」
ふるえる面持ちで懐剣をにぎったのはお笛さん。これまでの話から「銅伯を討ちたくば」という天海僧正の言葉に反射的に想い至ったのか、ふところにしのばせている刀で“行動”に出ようとします。が。
「今!!」
天海僧正の発した気合いに当てられ、すくみあがるお笛さん。そのまま、ふるえに身体をつつまれます。……
実は私、今回の漫画化について、お笛さんに関してはいろいろと期待しているところがありまして……。それは十兵衛さんへのビンタだったり〈花地獄〉での科白だったりするのですが、今回の短絡行動もそのひとつ。どのように作画されるのかと、(本人には失礼ですが)楽しみに待っていた箇所でした。
原作を見ればこの場面、お笛さんの表情とかについての詳しい描写はなく、ほとんど行動のみを淡々とつづられています。もちろん、天海僧正の重要な話の最中にお笛さんの描写を入れてしまえば流れがおかしくなってしまいますから、あえてそうしなかったんでしょうけど。
だけど今回のコミカライズでそのあたりがしっかりと補完されていて、よろこぶと同時にとてもうれしく想いましたよ。ああ、やっぱりせがわ先生、しっかりと読み込んで漫画化してくださってるんだなあ、って。確認するたびにうれしくなるのです♪
単刀直入な行動に出ようとするお笛さんの表情はしかし心理状態がよく表れていましたし、蒼い顔でそれを止めようとするお千絵さんについてもしっかりと描かれていて。
へたりこんで、おびえてるような泣き出しそうな表情を見ていると、そんなお笛さんが、むしろいとおしかったでした。

自分の短慮が、何をしでかそうとしてたのかが、わかったのでしょう。
それこそいますぐ飛んで行ってなぐさめたい衝動にかられるくらいのお笛さんのかわいらしさでしたけど、だけどそのあと、すくんでしまったお笛さんをお千絵さんがなだめているのがまたよかった…!!
お笛さんの大それた行動に出ようとするのを察して自分も動揺を顔にはしらせてましたけど、叱りもとがめるような眼つきもせず、すっかりおびえきってしまった女の子のことをいたわってあげて。
自分の婢であるという以上に大切にしてくれているんだということがよく伝わってきて、お千絵さんの人柄にもまた胸うたれました。
それに――これは私の邪推になりますけど――もしかしたらお千絵さんも、同じことを考えていたかもしれませんしね。お笛さんと、同じことを。もちろんそんな考えはあってもすぐに棄てたでしょうし、聖千姫の手前もあってか実行にうつしたりはしませんでしたけど。
ただいずれにしても、圧倒されたお笛さんを何とか落ち着かせようとして気づかう様子が、とてもやさしいものに感じられたことはたしかで。それがとてもうれしかったのです。せがわ先生のていねいなお仕事ぶりに、あらためて感謝、ですね。
……うーん、やっぱり番外編見たくなってきました(笑)。せがわ先生描いてくださらないかしら。本編終了後でかまわないですから。もちろん七郎くんの物語を先に、ですけど。(←アンタ…)
そして背中を向けたままで表情をくずしていない聖千姫はとっても鉄の女だなあと想いました。(笑)(徳川のカテリーナ・スフォルツァですね…)
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2007/8/17

今回の『Y十M』(※ネタバレ注意!)  そのに  せがわ先生作品感想

「…わしは死なれぬ。わしは死なぬ! 徳川家のために、わしはまだ生きておらねばならぬのじゃ」
天海僧正も、将軍さまへの天台の血脈相承という大事があるために殺されるわけにはいかず、眼力でもってお笛さんを止めましたが(そのあとは何ごともなかったかのようにふるまってくれてるのがまたニクイね)、しかし自分の双子の弟のため、事態がとてもよろしくないことになっているのもまたたしか。
「もはやこの愚僧にできることといえば…会津に残っておる沢庵と堀の娘たちを無事に引き揚げさせるために、銅伯に和睦の文を書くことのみ……」
とりあえず聖千姫にはこう申し述べたものの――でも天海僧正が一筆奏したところで、銅伯老がかならずしもその文のとおりにするとは想われませんが……。あっちはあっちで沢庵おしょうとその一味(とりわけ般若面)を追いつめようといろいろやっているのだし。
でも幼いころからいがみ合ってきた双子のこと。兵太郎(天海僧正の幼名)が自分に頼んできたというだけでも気分のいいものだろうし、何せ自分から屈するのは「生涯最大の屈辱」ですからね…。あるいは聞き届けてくれるかも。
しかし――そうとう険悪な仲の双子だから自分も法太郎(銅伯老の幼名)に膝を屈するのはおいやでしょうに、よくそんな決心しましたね、天海僧正。本人にしてみればものすごい大事ですよ、これは。
うーん、これがほんとに忍者なら痛くも痒くもない人なのでしょうか。信じられない。
大御所さまのお悩み相談を受けていたあのニタニタセラピーはどこへ?(苦笑)

しかし天海僧正が出した和睦案に、異をとなえたのはお千絵さん。
「僧正さま! 和睦はわたしたちにとっては負け戦と同じことでございます!!」
加藤明成と芦名衆たちがやってきたことを想えば、自分たちがここにいたるまでの数々の出来事を振り返ってみれば、和睦など考えられないでしょう。とうてい信じられないことでしょう。ある意味、負けいくさよりもつらいことかもしれません。
和睦なんかをするためにこの戦をはじめたのではない。そんな結果を受け取るために戦い抜いてきたのではない。
まして――味方5人もの命を犠牲にしながら、ここまでやって来たのは……。
「……では…わしにどうせいと申す?」
でも、言われてお千絵さんを見る天海僧正は、とても沈痛な、悲痛な面持ちをしていました。
大望と責任ある立場だからカンタンに死ぬこともできず、かといって自分の弟が抱いた狂的な妄念がすべてのはじまりであるのだから、同じ一族の兄である自分としても何らかの解決をつけなければならない。そしてそれらに折り合いをつけるためには、あらそいをやめさせるよりほかに方法がないのですから――……。
この天海僧正という人もまた、つらい立場にあるのだということを察したのでしょう。いまにも涙すらうかびそうな表情を見ると、返答に窮するしかないお千絵さん。
まさかうらみのない人に面と向かって死んでくださいと頼めるわけもなく、しかし和睦協定などむすぶわけにはいかなく……どちらをとるにしても、容赦のない選択肢です。
江戸へやって来た時に涙といっしょに抱いていた一縷の希望が、まさか絶望へ変わろうとは。
で。
こういう時こそ仕掛人である聖千姫に何とかしていただきたいのですが……本人今回ずっと沈黙しっぱなしです(苦笑)。あのう、おそれいりますが、汗ばかりかいてないで何とか……。

――と、突然、胸をおさえて苦しみ出した天海僧正。
ひたいからはあぶら汗がしたたり、眼は焦点をむすばず、しぼり出すような呻鳴がもれますが……

そう、その時、まさに――

会津鶴ヶ城の地下、〈夢山彦〉の祭室で、胸から血を噴いて苦しむ銅伯老の姿が!
香炉銀四郎と漆戸虹七郎の両名によって、前後から刺し貫かれた銅伯老。刀はふかぶかと胸に背に刺さり、傷口から流れた血は服を朱に染めて……。
あまりに信じられない、まるで魔怪の見せるような光景におとねさんは気を失ってしまいましたが、沢庵おしょうはしっかりと見せつけられていましたよ。
銅伯老のうしろの三角火炉の、その向こう。
大鏡の中で、眼の前の人物と同じように苦しみもだえる、天海僧正の姿を――!!

「銅伯…兵太郎(わし)は負けぬ…。法太郎(うぬ)には負けぬぞ!!」
苦しみもだえながら、うめき声を上げる天海僧正。
自分の痛みに耐えることはできても、自分のために他人が傷つく――それは僧侶である沢庵おしょうにとっては凡人以上につらいことであるはず。ましてや、相手が自分の大恩人であればなおさら……。
「まっ、待て!! その修法をやめよ銅伯!!」
鏡の中で現実さながらに苦しむ人を見るのに、耐えられなくなったのでしょう。沢庵おしょうはあわてて制止するよう声をかけますが……。
「自分が傷つけば双子の兄弟もまた傷つく」。
にわかには信じがたいその“事実”を相手に受け入れさせるために、これほど効率的・効果的なすべもないでしょう。
まさか江戸からいちいち呼びつけるわけにもいかないし、やって見せたところで信じるとは限らない。疑惑がすべてなくなるわけではない。しかしひとたびこの術を発動させれば、夢という異次元の世界をつうじて相手に見せつけ、叩き込むることができる。理解しがたいことですけど、現実を超えた超次元の世界の出来事、迫力は現実以上のはずです。
そして、銅伯老を殺すのは、天海僧正を殺してしまうのと同じこと。沢庵おしょうが信じるには、じゅうぶんすぎるほどだったはずです。
とうてい不可能なことをクリアし、なおかつ、相手の魂をわしづかみにするような大打撃をあたえる。
――おそるべし、幻法〈夢山彦〉。
苦悩にみちている沢庵おしょうの顔は、もう完全に銅伯老の術中におちたことを物語っていますよ。

沢庵おしょうの声を合図にか、銅伯老の身体から刀を抜くぎんしろさんとこうしちろーさん。
しかしぎんしろさんの表情がとってもサディスティックに見えたのは果たして私の気のせいでしょうか?(奥州街道では坊主にさんざん煮え湯を飲まされましたからね…)
「…おわかりか? 沢庵どの…。いま見せたのは幻ではござらぬぞ」
実演する術者にも危険がともないそうな〈夢山彦〉ですが、よほど悪運が強いのか、多くの血を流しながらも銅伯老は生きてます。生きて、そのまま一気に沢庵おしょうを追いつめにかかります。
「この銅伯が苦しめば…同時に山彦のごとく天海も苦しむ! 銅伯が死ねば天海も死ぬ!!」
術の総仕上げといわんばかりに秘密を明かす銅伯老。もはやその顔に刃傷を受けた苦しみはなく、かわりに見えるのは自信。沢庵おしょうを完全に掌握したことからくる自信の笑みです。
そして沢庵おしょうは逆に、天海僧正と銅伯老の秘密を知ってしまったいま、それまでのおおきな態度は消えうせて、いま表情にうかぶのは脅威から来る苦しみばかりです。
突きつけられたのは、全身を突き刺してくるかのような容赦のない事実。
天海僧正のいる江戸へお千絵さんお笛さんを行かせたのだから遅かれ早かれわかることとはいえ、まさかこのようなかたちで判明し、秘密をにぎる本人に苦しめられることになろうとは、まさか想っていなかったでしょう。――
「それを承知でなお! われらと戦いなさるか!! それでもまだ和睦しようという拙者の言葉をしりぞけなさるか!?」
なおもいためつけてくる銅伯老に、沢庵おしょうは何の対抗手段も持ち合わせていなくて。
そして、おしょうが出した結論は――
「……わかった……いくさは………やめじゃ」
沢庵おしょうにとっても、よほどの決断だったこの言葉。自分が刀につらぬかれているかのような、蒼白な痛々しい表情でそう銅伯老に告げますが――しかし。
「くくくく……おそい…おそうござるな沢庵どの!」
相手を掌握しきって図に乗った銅伯老、和睦に条件を上乗せし、般若面の男を城に呼べとまで要求してきました…!(だからアップは怖いと…)
「な…ならぬ。それはできぬぞ銅伯!」
いま見たものの衝撃さめやらず、それでもふるえをおさえ、勇をふるって言い返す沢庵おしょうでしたが、しかし銅伯老は切り札をちらつかせ、そして大鏡の中には、依然、地獄の惨痛に耐えるがごとく苦しみうめく、ひとりの人物の姿が。――
「さあ! 御坊が大切に思われるは、徳川の大柱石南光坊天海か! それとも般若面か!
 ただ今選んで、即刻返答なされい!!」
言いながら、心中笑いが止まらなかったでしょう。それをかくそうともせずおおっぴらに出し、銅伯老はなおも攻め、沢庵おしょうの心を抉り、そして、ついに――

「…われ、負けたり…」

沢庵おしょうがガクリと屈したところで、今回はシメ。
さあ、いよいよ大変なことになってまいりました『Y十M』。
兵法にも長け、頭のよさではひけをとらなかった沢庵おしょうが、芦名銅伯の幻法〈夢山彦〉によってついに折れてしまいました。それも、かつて鶴ヶ城に入る折に、銅伯老にむかって「負けたよ」と言っていたのとはまったく違う表情・言葉・意味あい。正真正銘の敗北宣言です。復讐をやめ、相手の言いなりになってまで、護らなければならない。沢庵おしょうにとって天海僧正とは、それほどの人物なのです。
その南光坊天海僧正は、もはや会津側の人質にとられたようなもの。さらに般若面の男を差し出せとの要求に対しても、抵抗をこころみたもののしたがわざるを得ず、もはや八方ふさがりの沢庵おしょうですが……。
これから、どうなるんでしょう。どうなっていくんでしょう。
沢庵おしょうがへし折られてしまったいま、もはや残るは十兵衛さんのみです。
師匠に押し出される形で前線に出ることになり(…)、しかも相手からのストレート“ご指名”(……)ときました。首領のみならず両サイドも乗り気のようで、これでは呼び出しというよりラブコール(………)されているようなものですね。
相手は幕府さえ人質にとるばけものですが――頼みますよ、我らが主人公!(←堀のみなさん戦力外ですか…)

ところで、天海僧正と銅伯老の因果因縁から、沢庵おしょうの苦悩が描かれた今回でしたが……。
いちおう銅伯老によって、沢庵おしょうと天海僧正の関係について二言・三言ばかり語られましたけど、ただ…これだけではちょっと伝わりにくい部分もありますね。寝言で言うにしても、これはちょっと〈夢山彦〉の儀式次第にそぐわない感がありますし。
やっぱり現在進行の物語だけでは、なので、できれば、天海僧正が沢庵おしょうにとってどれだけの人物であるか、描いておく必要があるのではないかと想います。その関係とか、どんなことがあったとか。原作にもあったようにどこかで流していただきたいのですが…。説明が無理なら回想とかで。
まあ、それは次回以降に期待というところでしょうか。(私などが書くことではないとは想いますが、それでもいちおう)
あと、〈夢山彦〉に使われた女の人たちはもうこときれているのでしょうか。いちおう檀に倒れ伏してましたが…。

いろいろなことをはらみつつ、次回は再来週です。……といっても、実際はあと3日後なんですけどね。(※この記事を上梓したるは8月31日也)
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2007/8/14

ひさびさ更新…。  

“A stage where everyman must play a part. And mine a sad one”――『ヴェニスの商人』1幕1場

しかし憂いに沈んでいるひまなどなく、とっとと記事書かないとなのです。
帰ってからこっち、今度はお盆休み前でどどどどっと用事や課題が押しよせてきましたが、ちゃんと書いてましたよ。蝸牛の歩みですけど!
旅行記の1日め・2日めと、先週分の鬼太郎感想をあげておきましたー。
それ以降と先先週分はまた今度。撮ってきた写真の整理もようやく終わったし、今度は早いうちにあげられると想います。たぶん。(ただのアルバイトにお盆休みはないのだといいます…うぬう)

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開店休業状態のあいだ、メッセージをくださったみなさまがた、どうもありがとうございます。本当に本当にうれしいです。
さすがにいまはもうアタマがくんがくんなので、また今夜にでもお返事させていただきますね。すこしでも気のきいた文章を書けないでは、さすがに申し訳ございませんので…。
お待たせしてしまって、どうもごめんなさい。
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2007/8/12

『ゲゲゲの鬼太郎』第17話  そのいち  視聴記。

・「さすらいの蒼坊主」

○手紙を読んでいる鬼太ちゃん。何だかうれしそうですね。
語るところによれば、妖怪横丁にひさしぶりに自分の“恩人”が帰ってくるのだとか。
どんな縁でむすばれた関係なのかな。妖怪退治の術を教えたっていうのであれば“恩師”と言うでしょうし、どんな恩を受けたのかとても気になりますね…。

○「でも大丈夫かな…。じつはその妖怪、方向音痴なんですよね…」
笠をかぶり青い雲水装束をまとって、杖をついて歩く、精悍な印象の青年僧。そう、蒼坊主とは彼のことです。
しかし鬼太ちゃんの心配どおり、さっそく迷っています(笑)。見た目とのギャップにスベったひとは何人いるんだろう。そこにハートをうち抜かれた人は何人いるんだろう(笑)。
どうやらあらかじめ地図をもらってたみたいですけど……それでも迷っている蒼坊主さん、よほどなんですね、こりゃ。(^-^;) たはは…。
しかしその地図はいったい誰が描いたものなんでしょう。どんな描かれ方してるのかとっても気になります。てゆか見せてください。(←そのまま横丁へ行く気ですねケイトさん…)

○迷いっぱなしの蒼坊主さんでしたが、「やっほー!」と呼びかけることで、呼子を呼び出すことに成功。そのまま妖怪横丁へ案内してもらったのでした。なるほど、あったまいー!(笑)
「相変わらずだなー、蒼坊主おじさん。地図持ってるでしょ?」
「そんなこと言ったって…そもそも東西南北がわからねえんだよ」
「そっか。じゃあ仕方ないね」
旅に出てるんならせめて方位磁石ぐらい…。
でもさらりとそれを認めてる呼子が、むしろユニークで、かわいらしかったでしたv
ちなみに蒼坊主は、「青坊主」として鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に出ています。……出ていますが……そちらのビジュアルはどちらかというと原作の見上げ入道に近く、「にいさん」というより「おじさん」でした。(^-^;)

○横丁に入ってから、さっそく声をかけられている蒼坊主さん。みんなにもしたわれて、親しまれているんですね。よさそうなヒトでよかったです。
初登場ということで何かキャラ紹介が入るだろうとは想ってましたけど、自然な展開の中でさりげにヒト柄をうかがわせていて、すんなりと認識することができましたよ。
と、その時――
「蒼にいさん!」
「鬼太郎!」
息をはずませて迎えに来た鬼太ちゃんと、それを認めてひときわうれしそうな顔をする蒼坊主さん。
私、兄弟モノはとっても好きなんですけど、血のつながりはなくっても兄弟みたいっていうのもおなじくらい好物なのですv いちおう鬼太郎でも、原作では妹と、あと『国盗り物語』では寝太郎というおにいさんがいましたが、今期アニメでは鬼太ちゃんと蒼坊主さん、どんなカラミが見られるのかな。いまからとっても楽しみにしています。(ワクワク♪)

○鬼太ちゃんが蒼にいさんを家へ連れて帰ると、目玉のお父さんはちょうどお風呂の中。今回は蒼坊主だけに青汁のお風呂に入浴中です。(さすがどつき漫才前のタロウズが好きなだけある…)
しかし……あのう、もし、そのお風呂、本当に青汁なんですか? 緑色の湯気たってるんですけど…。いったい何で作った青汁なのかとても気になります。ケールとか大麦若葉とかじゃなさそう…。
ちなみに蒼坊主さんは、全国各地を旅して、悪い妖怪を封印している箇所を見てまわるのがお仕事のようです。その道中で、今回ひさしぶりに横丁へ寄ったらしく。
「蒼坊主、立ち寄らせていただきました」
お風呂の中から声をかける目玉のお父さんに、礼儀正しく挨拶する蒼坊主さん。画の都合でよく見えなかったですけど、やっぱり正座して手をついたんでしょうかね、これって。
ここでも蒼坊主さんのおヒト柄や、目玉の親父さんとの関係がうかがわれました。

○そのころ人間世界では、ぬらりひょんが新手の妖怪・火取魔を使って何やら画策中。
冷凍トラックに積んで夜の街へくりだし、さっそく繁華街を通過させますが、火取魔がとおったあとはそれこそ火の消えたようにしずかになって――……。こうこうとかがやいていた街灯やネオンはおろか、携帯電話のバッテリーまでもが消えてしまい、まっくらやみです。
火取魔といえば蝋燭や行灯の火を取ってしまう妖怪でしたけど、現代では電気エネルギーを取ってしまうんですね。今回の鬼太ちゃんの相手であるようですが、現代において新しい姿があたえられているようで、まずはそこに感心。

○ところ変わって鬼太ちゃんの家。飛騨の天狗からの贈り物だといって、ひとつの風呂敷づつみを取り出した蒼坊主さん。ちょうど遊びに来ていたねずみ男と猫ちゃんもいる前でひろげられたそのつつみの中には――
「おお、これがうわさの『ココン』か」
B●ND●I…。イエモチロン、タイアップだってことは存じてますですよ、ハイ(笑)。

○というわけで、ひとあし先に玩具として出ていたDX妖怪大図鑑『ココン』(『古今東西妖怪大図鑑』の略称)(…いま、変換したら「大豆寛」って出た…)が番組本編にもおめみえです。その巻の中にはあらゆる妖怪の生態などがしるされていて、図鑑らしくひらけばひと眼でわかる仕組みになっています。さすがにカードをスロットインさせるわけにはいかないから(←何アニメだよそれ)、中は和綴じの本みたいになっているんですね。
ちなみに『ココン』は、風の噂を吸って自動書記でデータをしるしていくのだとか。
「個人情報だだもれだな」
ねずみ男先生らしい感想(笑)。

○「あ、猫娘も出てる」
…スミマセン、その頁もらっていいですか? それとあと「鬼太郎」の頁もおねが(おだまりなさい)
ま、まあともかく、何だかぐらびああいどるみたいな(笑)ポーズで出ている猫ちゃんの挿絵とともに、「猫娘」の項も『ココン』にはあります。
読まれる前に鬼太ちゃんからぶんどって確認してた猫ちゃんでしたけど…いったいどんなことが書いてあったんだろう。「大丈夫」と言ってた割には返す時本閉じてましたしね…。
すみません、やっぱりもらってい(だまっとれ)

○もちろんこんな貴重な品にねずみ男が手を出さないわけはなく、何だか不穏なカオで迫るのですが、――と、不意に『ココン』が立ち上がり、縄の脚でねずみ男にビンタ! 2・3発くらわせて、そのまま窓から逃げてしまいました。
蒼坊主さんいわく、『ココン』は「人見知りがはげしい」のだとか。
「特に下心のあるやつにはな」
すごいや、自己防御機能もついてるですか! しかもいきなりビンタとはキョーレツな…。
できれば「びびびびびびん」をやっていただきたかったですけど、さすがに縄じゃやわらかいから無理かな。

○その後、もちろん詰め寄られて、
「でもシタゴコロはあったのよねー?」
「ハイ、マンマンでした」
すなお(笑)。

○ぬらりひょんと朱の盤は、どこかの漁業関係の会社の倉庫を根城にしているモヨウ。
落ちぶれたなあ、ぬらりひょん。零落したなあ。まぐろ缶がたばこ盆のかわりなんて、何だかあわれになってきますね。泣けてくる…。
鬼太ちゃんとたたかったあのあと、いったい何があったんだろう。まわりには旧鼠はおろか婆もいないし…。
それでもついてきてる朱の盤はいいやつだと想いました(笑)。

○鬼太ちゃんの家の前では、蒼坊主さんの歓迎会。けっこうな人数が集まって楽しそうですね。いいな、私も入りたい!(^--^)
あたらしく入ってきたぬりかべおくさんたちが挨拶してるのがよかったな。最近になってはるばる越してきて、横丁に入ったんですもん、やっぱりしておくのが礼儀というものですよね。
子ぬりかべたちも蒼坊主さんにかわいがられてるみたいだったし。さすがご自分が担当した回だけあって、ぬかりありませんね、三条さん(笑)。
そして砂かけさんはからみ酒か…。話題はもっぱら家賃不払いのことなんだろうな(笑)。

○やがてみんな、酔いつぶれて寝てしまいましたけど(一反木綿は木にひっかるだけでいいのか…)、こっそり発とうとする蒼坊主さん。……もう出てくの? もうすこしは逗留していくと想ったんだけどなあ。せっかく横丁に立ち寄ったんだし。
鬼太ちゃんはしかし見逃さず、すこしとがめるような顔をしてその前に立ちましたけど。でもしめっぽいのが苦手な蒼坊主さんの気持ちもわかるのかな。表情をゆるめて、
「せめてぼくだけでも送るよ。……」
大好きな蒼にいさんだからこっそりいなくなったりしないでほしいけど、大好きなぶん、本人のこともわかる。
だから鬼太ちゃんの表情が、気持ちが、いじましくすら感じられましたよ。
「どうしていつもこっそりいなくなるんだよ」と不満を言ってた鬼太ちゃんでしたけど、これぐらいなら、いいですよね。蒼坊主さん。



というわけで、続きはしたへお願いします。
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2007/8/12

『ゲゲゲの鬼太郎』第17話  そのに  視聴記。

○いっしょに歩きながら次の行き先を訊ねる鬼太ちゃん。
「四国を経由して北海道だ」
「…それ、ぜんぜん方向逆だよ」
「いや、そうでもねえよ」
こ、この男は…!(笑) 鬼太ちゃんが心配そうな表情になっちゃって、これじゃどっちがおにいさんなんだか、ですね。
蒼坊主さんてば何て罪作りなんだろう。こんなかわいい弟分を困らせるなんて!
となりでそんなカオしてる鬼太ちゃんにも気づかず、地図をながめている蒼坊主さんでしたけど――あ、でもどうせなら、その予定どおり四国へいらして八百八狸の封印でも見てくださらないでしょうか。牛鬼岬も見ておいていただけませんでしょうか。そしてついでにあなたの弟分の話でもしていただければ…。(←ケイトさんしたごころミエミエ)

○その時、異変を感じた鬼太ちゃん。蒼坊主さんももちろん察知し、その方向へ行けばエネルギーを吸収中の火取魔が。付近のビルの屋上で様子を見ていた朱の盤にも気づき、蒼坊主さんは火取魔を、鬼太ちゃんは朱の盤を担当することに。
強力なのがふたりもいるので、相談のまとまりが早くていいですね。兄弟みたいな関係だから、というのもあるし、いい呼吸してます。うん、いい関係みたいじゃないですか。
それだけに、せっかくのいいシーンに水をさしおって…、と火取魔に毒づかないでもなかったのですが。(^-^;)

○屋上で「ぬらりひょんはどこに」という鬼太ちゃんの質問に、「ここだ」と襲いかかるぬらりひょん。まさかいきなり抜きざまの一閃とは…! 火取魔で「あぶなそう」だったのがここで「ヤバい」雰囲気になって、つい見入ってしまいましたよ。
そのままスムーズに行ってしまいそうな流れを、危機の度合いをあげることで面白くするなんて、あたりまえのようでやっぱり眼をひかれますね。ぬらりひょんの抜き打ちもみごとでしたし。――しかし総大将どの、居合の心得でもおありなのでしょうか。
いっぽうの蒼坊主さんは、エネルギーをためこんで肥大化した火取魔を移動させます。さいわい一般人のみなさんには火取魔は見えていないので、すんなりいってますね。
でもってその方法がぶちのめし…! 杖を使ってホームランなみの打球で火取魔を空へ叩き飛ばしたかと想うと、そのまま自分も烈風とともに跳びあがり、連打することで火取魔を街中から遠ざけるなんて…。しかも杖使ってるの片手ですからね…。荒っぽくて容赦ないです、蒼坊主さん。――しかし蒼坊主さん、明式杖術の心得でもおありなのでしょうか。

○そのまま火取魔を、池の上まで飛ばしてきた蒼坊主さん。池の中へ叩き落しますが、火取魔のたくわえたエネルギーはもはや池の水では消せるような量ではなく、カラカラになるまで池の水を蒸発させてしまった火取魔に鬼太ちゃんも蒼坊主さんも驚くばかり。
ですが……あれだけ派手にやってたらむしろ水蒸気爆発が起こるのでは……。(公園けしとぶ…よ…?)

○「どうする鬼太郎、消防車呼ぶか?」
「妖怪の炎だから無理だよ」
とても妖怪どうしとは想われない会話(笑)。でも眼の前すんごい危機的状況なのに、こんなユニークなひとコマが入るなんて、むしろ楽しくって、心強いような気さえしました。
第3期の映画『最強妖怪軍団! 日本上陸!!』でも、ちょうどこんなカンジのシーンがありましたし。やたらあわてふためいたりするよりも、何だかこっちの方が妖怪さんらしくっていいですね。(^-^)

○火取魔はぬらりひょんの命令で鬼太ちゃんたちを攻撃、鬼太ちゃんと蒼坊主さんも吐き出される炎をかわしながら反撃を加えようとしますが、しかし膨大な熱エネルギーの前にはまったく歯が立たず。どんどん追い込まれていきます、鬼太ちゃんも蒼坊主さんも。
とかって危機的状況を感心しながら見ていたら、火取魔は今度はまわりのものを吸い込みはじめ、鬼太ちゃんがあやういことに。しかもそれに気をとられた蒼坊主さんの背後から、まさかぬらりひょんの一刀が!!
予想外の展開にまったく気が気じゃなかったのですが、しかし気を取り直して見てみると、気をとられている蒼坊主さんの隙を突いてぬらりひょんが攻撃しているのはむしろ当然だったのかも。やっかい者の始末もできるし、鬼太ちゃんもとうてい平静ではいられなくなるから、こんなチャンスを見逃すはずがありません。しかも、
「貴様もついでだ。鬼太郎の火葬を見ながら、くたばれ!!」
向かって言う相手こそ違えど、この言葉、やっぱり忘れてませんでしたね。
第8話の脚本ともつながってますし、そのあたりはやはり遺漏なしです。

○蒼坊主さんの負傷に気をゆるめたところを吸い込まれてしまった鬼太ちゃん。火取魔の炎の中に取り込まれていますが、しかし鬼太ちゃんはまるでおくるみみたいにちゃんちゃんこにくるまって、炎をふせいでいます。
でも鬼太ちゃん、先に火取魔直接さわってるんですけど…口唇のあたりを…。
空き缶が蒸発するくらいだから当然ものすごい温度で、手の皮がめくれるどころか肉がとけるくらいしそうなのですが…。
あそこは炎じゃないのかしら。外殻みたいなもの?
火取魔の身体、どんな構造なのか気になりますね。



……というわけで、史上初のトリプルです(苦笑)。
もひとつしたへお願いします…。
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2007/8/12

『ゲゲゲの鬼太郎』第17話  そのさん  視聴記。

○ぬらりひょんたちが気を取られている隙に、何とか逃げ出した蒼坊主さん。
『ココン』の力を借りるべく横丁へ戻ろうとしますが、でも、
「だめだ…道わかんねェ」
こんな時までだめっぷり発揮せんでも…(苦笑)。

○いつものアレで呼子に来てもらって、何とか一命をとりとめた蒼坊主さん。
よかった…。これっきりになったらどうしようかと想ったですよ、本当…。(←最後は方向音痴で果てるキャラって…)
蒼坊主さん、あれでけっこう体力はあるのかな。もうしゃべれるほどに回復してますね。
でも、大丈夫だったのかな、出血とか。いちおう刀でつらぬかれたはずですからそれなりの傷を負って、出血もあるはずなのですが、でも歩いてきた道には血痕なかったですしね…。
気づいた朱の盤がそれをたどってあとを追うかとも想ってたのですが、そのまんまでしたし。ちょっと気になりました、そのへん。

○そのころ、ちょうど『ココン』も見つかり――って、ま、まる1日かかってたのか…。とんだかくれんぼですね。早いうちに発見できたからよかったようなものの、鬼太ちゃんが燃え死んでしまってから見つかったりしたら、ねずみ男は責任問題じゃすまされないところですよ。んもう。
で、さっそくねずみ男が迎えようとしますが、不信感しかないらしくアウト。猫ちゃんもにこやかに手を伸べますが習性のためアウト(笑)。このままではどうにもならないので目玉の親父さんが、土下座してまで頼み込みます。
「頼む、このとおりじゃ。わしの息子を、助けてくれ」
叩かれても必死になって頼み込んだ、そのかいあって、ようやく『ココン』が心をひらいてくれましたよ。
ちいさな身体をしているお父さんだけど、息子を、鬼太ちゃんのことを想う気持ちは、誰よりも強く、おおきくて。その息子が悪い妖怪のために死に瀕しているのだと知って、一刻も早く助け出したくて。
眼は口ほどにものを言うといいますが、目玉の親父さんの息子想い、伝わってきました…。

○こうして想いはつたわり、『ココン』の脚によってたかだかと持ち上げられた目玉の親父さんは、青き衣をまといて金色の野に降り立ったといい……ません、すみません。(←お前ちょっと各方面に謝ってこい…)
イエでもまじめな話、こうして『ココン』が戻ってきたのは、目玉の親父さんの年の功というのもあるのでしょうけれど、何よりお父さんの、息子を助けたいという一途な想いが伝わったんでしょうね。鬼太ちゃんを想う、お父さんの。
その気持ちがずっとおびえっぱなしだった『ココン』の心をひらくことにつながったのだとわかって、何だかスゴイうれしかったです。
お父さんはやっぱりすごいな…!

○『ココン』によってすぐさま火取魔封印の札が作成され、すぐさま鬼太ちゃんを助けに行くことに。(自分で作成までできるとは…すごい充実したシステムですね、『ココン』) そしてもっとも難しいとされる封印の役を、蒼坊主さんはみずから志願して出ます。
とめられるほどの怪我を負いながらも「封印はおれの専門です」と言い切るところに男らしさを感じていたのですが。
でも次の言葉にはスゴイ胸うたれました…!
「おれは鬼太郎を本当の弟みたいに想ってるんでね。――ぬらりひょんみたいなくそじじいに殺させてたまっかよ!!」
目玉の親父さんじゃないですけど、本当、涙流してしまいそうになりましたよ…。
……鬼太ちゃん、幸せ者だ。心配してくれる仲間が、助けてくれるやさしさが、そばにはこんなにたくさんあるんだから。……

○鬼太ちゃんを燃やし尽くすために、今度は石油コンビナートを襲おうとする火取魔。
自分の力の強大さに増長しきってもはやぬらりひょんの言うことも聞かないのですが、そんな火取魔を特にきびしくとがめもしないぬらりひょん。
(まあいい、エネルギーを吸収しきれず、鬼太郎もろともぶっ飛ぶだけだ)
なるほど…。非情なようですが、抜け目がないですね。こういうあたりはやはりぬらりひょんです。

○――と、そこへあらわれた横丁のみんな! 蒼坊主さんや砂かけさんたちがぬらりひょんの相手をし、問題の火取魔はぬりかべさんが立ちはだかって止めます。
火取魔に正面からぶつかられても、それをものともしないぬりかべさん。さすがぬりかべさん、耐火もばっちりですね!(笑)(断熱材しこんでたりするのかな…)

○砂かけさんの砂とかわうその水で火取魔の火勢をよわめ、その間に蒼坊主さんはぬらりひょんを、猫ちゃんは朱の盤を。
敵の後方へ跳んで、体勢低くしてまわし蹴りとは…。今回の猫ちゃん、いつになく武闘派ですね。イエ強い猫ちゃんも好きですハイ…! みごとにキメてて、カッコよかったでしたよ〜。……でもそのあと、まさか胸ぐらひっつかむとは想いませなんだ。(^-^;)

○みんなが組み合ってるうしろでは、ねずみ男が何やら準備中。
「必殺! 子なきハンマー投げぇ〜ッ!!」
一反木綿に子なきさんをかかえさせ、それを遠心力で投げ飛ばすなんて……Mロフシ選手もびっくりです(笑)。でもおかげで、子なき砲丸は火取魔の中に飛び込んで鬼太ちゃんに命中救出に成功しましたよ!
スゴイ! スゴイスゴイ!
作戦がこうもみごとに次々ときまっていくと、何だかこころよくすらあります。「いいぞ、いけいけー!」みたいな♪

○朱の盤をぶちのめし終わったのか(笑)、猫ちゃんは蒼坊主さんとぬらりひょんの相手を交替。蒼坊主さんはそのまま『ココン』を取り出し、火取魔封印の準備に入ろうとしました――が。
その時、ぬらりひょんの取り出した手榴弾が命中! 蒼坊主さんは跡形もなく消し飛び、横丁のみんなも火取魔の火炎放射にあって、そして鬼太ちゃんまでも……。
うそ……うそやろ……
鬼太ちゃんが、みんなが倒されるなんて。そんなん、うそや……。

○「――そんなに喜んでもらえるとは光栄だね」
「お?」
……お?
何が起こったのか信じられず、あまりの出来事に呆然自失の体でいたですが、呵呵大笑するぬらりひょんにかかった蒼坊主さんの声に、私も我にかえってみれば。
刺したと想っていた鬼太ちゃんは、実は自分の足…!
痛みにうめきをあげるぬらりひょんでしたが、
「ひたいの眼があいた時、おれは相手に幻惑の術をかけることができる」
あ、蒼坊主さん…! びっくりさせないでくださいよ。心臓に悪いじゃないですか。っとにもう…。
さすがに坊主がヒトを傷つけるするのはまずいから、あえて幻術にかけたのかな。まさかこんな切り札を持っていたなんて!
自分の術の中に相手を陥れ、刺された分のお礼もキッチリして、痛みにのたうちまわらせて。手榴弾までしっかりと返品してるし、おそろしい方です、蒼坊主さん。
……このヒトを怒らせてはいけない。くれぐれも、いけない。(がたがたがた)

○しかし――考えるに。
こういう術って、使えばやっぱそれなりに消耗もあると想うんですけど、どうしてわざわざ使ったのかな、と。
自分が受けた傷の分を相手にかえすとはいえ、蒼坊主さんぐらい精悍な身体つきをしていて、火取魔をはじきとばすほどの力の持ち主であれば、ぬらりひょんのひとりやふたりらくーにぶちのめすことだって可能なはず。なのにわざわざひたいの眼をひらくということは、ほかに何か別の理由があるのかな。
……想うにそれはやっぱり、自分の弟分がさっきまで受けていた苦しみの分もふくめてのお返し、ということなのでしょうか。そうなのでしょうか、蒼坊主さん。(笑)

○まあされはさておき、鬼太ちゃんも復活して、全員で火取魔を総攻撃ですよ!
鬼太ちゃんがちゃんちゃんこをかぶせて炎をおさえ、ぬりかべさんがその上からおしつぶし。そしてさらにその上から!
「おもり1号!」
「おもり2号!」
「おもり3号!」
「重くないけど4号!」
「ウソつけ、5号!」
石になった子なきさんが、砂かけさんが、かわうそが、猫ちゃんが、ねずみ男が、一反木綿から飛び降りてぬりかべさんの上に。
こんな愉快な退治方法、ぬりかべさん一家以来かも。見ていて、とてもワクワクさせられましたよ!
おさえつけられた火取魔まで、「おれはもとのほそい身体にもどるのはイヤだ!!」なんてゴネちゃって。
上にもちょっと書きましたけど、いままた緊迫感ある場面で、こんなユニークさや愛嬌を発揮してくれるなんて。やっぱり妖怪さんはひと味違いますね♪ だから大好きv

○しかし抵抗する火取魔に対して、蒼坊主さん、
「迷惑なんだよ!! とっとと引っこみやがれぇ〜ッ!!」
火球は杖ではじき飛ばし、封印の札を叩きつけるようにして火取魔へ…!
「おつかれさん!」
みんなのみごとなチームワークで、最終的に封印は成功しましたが……やっぱり怖いヒトだ…。

○逃げ出したぬらりひょんと朱の盤。
「もう走れん。朱の盤、トラックまわせ」
「あのトラックはレンタルなんでもう返しちゃいました」
レンタルだったんか!(笑) てゆか、ぬらりひょん、あなた足ケガしてるはずじゃ…。
ならば旧鼠にむかえに来てもらうよう、電話をかけるように言いますが。
「あれ。……火取魔に電池を吸い取られちゃってます」
そういう伏線か!(笑) でも、携帯電話使うんですね、妖怪さんも。
ったく! ホント面白いんだからこの脚本…!(おおよろこび)

○そして蒼坊主さんは、ふたたび旅の空。やはり誰にも何も言わずに行ってしまったみたいですね。鬼太ちゃんだけはまた送り出してくれてるといいのですが…
「そのうちまたふらっとあらわれるさ。ぼくらを助けにね」
ここの鬼太ちゃん、原作の画とおなじく、閉じた眼に3の字の口をしていて、かわいらしかったでしたv 作画スタッフさんのお遊びなのかな。こういうのが何気にうれしかったりします♪(^-^)

○そうしてまた、今度は呼子も行けない場所へ出た蒼坊主さん(笑)。
鳥取砂丘か…。とりあえず海づたいに西へ行けば、石川県には行けるのですが。あ、でも東西南北わかんないから無理か…。(だから方位磁石ぐらい持っておけと…)
ちなみに逆方向へ行けば境港市に出ます(笑)。最後までサービスいいですね、今回の脚本。
(※原作者・水木しげる大先生は、鳥取県境港市のご出身なのです)

○そして最後の予告。
「ぼくは焼いても食べられませんよ」
……食べてもいいの?(←ケイトさんしっかり)


ええと……
蒼にいさん、って呼んでもいいですか?(←きみはダメ)

ま、まあそれはともかく、新キャラ登場ということでどんな話になるかと想っていましたが、イヤ予想以上にいい出来でした…!
蒼坊主さんと『ココン』ふたり分のキャラ紹介に、蒼坊主さんと鬼太ちゃん・目玉の親父さんと『ココン』それぞれのカラミに、迫力あるバトルに、妖怪のユニークな長所に、あわせてまさかぬらりひょんまで盛り込むなんて。ならべてみると、内容がスゴイ豪華なことがわかります。とにかく楽しませていただきました…! 心から感謝です。
そういえば、今回も脚本は三条陸さんでしたよね。まだ2回ほどだし先のことはわかりませんけれど、これからもぬらりひょんがらみの話は三条さんが担当されるのかな。
しかし朱の盤がカミナの兄貴だっていうのがいまもって信じられません。(笑)(だって…!)

さて次回は……次回は……??
スタッフさんが紹介を入れ忘れたというわけではなさそうですが(笑)、とにかく出てきたのはおおきな眼。
ううむ、なにものだろう……?(←ヒント)

  ※ ※ ※

ところで!
今日はもうひとつ、えねえちけえで、水木大先生の戦記ものをドラマ化した『鬼太郎が見た玉砕』がある日ですね。
水木大先生の作品だから、というのもあるのですが、主演をはられる香川照之さんは名優さんで私も大好きですし、演じられるにあたってそうとう研究なども重ねられてらっしゃるそうですから、決して生半可なものにはなっていないと想います。
あと中には鬼太ちゃんたちも出ているそうですし。
私もしっかり見ますよ。生で。(←重要)
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2007/8/7

今回の『Y十M』(※ネタバレ注意!)  そのいち  せがわ先生作品感想

会津の鶴ヶ城へ入ってから、さんざん内部をひっかきまわしていた沢庵おしょうとおとねさん。このお城を落とす講義までしていたある日、ふたりは芦名銅伯によって招待され、香炉銀四郎・漆戸虹七郎によって天守閣の地下に案内されます。ふかいふかいところまで階段を降りていったそこにはひとつの部屋があり、中へ入ると銅伯老が祭祀の用意が整えておまちかねでした。
ことここにいたって、ついに知らんぷりをやめて真っ向から話し合いをすることになった両者。切り出した銅伯老は、自分の首をやるからこのまま江戸へ帰ってくれ・堀の女たちも許すがそのかわりに般若面の男の首をこちらにもらいたい、と言い出し、

「この銅伯と般若面の首を引き替えに首合戦の千秋楽! 勝負無しの引き分けと致そうではござらぬか!!」

何とも都合のいいというか非常に虫のいい条件を突きつけてきた銅伯老ですが、さあ、今回『Y十M』、これから何が起ころうというのでしょうか。――


「…勘定が、合わぬぞ銅伯」
相手の持ちかけに考えこむまでもなく、やんわりと言い返してくる沢庵おしょうに、対して笑みをくずさない銅伯老。意外どころか、むしろその答えこそを待っていたかのような表情です。
沢庵おしょうが続けた言い分は、加藤明成と、香炉銀四郎・漆戸虹七郎の首はどうなる、といったもの。たしかに今回の騒動のきっかけとなった張本人たち、すくなくとも狼藉をはたらいた当の本人たちが、名前すら銅伯老の言葉の中に出されていないのはどう考えたっておかしなこと。銅伯老はいわゆる会津側の代表としてこの場で沢庵おしょうと面会しているわけですが、まったくスルーして都合のいい話を持ちかけるなんて、魂胆がミエミエです。
もちろん、沢庵おしょうはそんな話にうまうまと乗るような人物ではありませんよ。この復讐戦のはじまりとなった悲劇を知っているからこそ、相手をまっすぐに見て言います。
「鎌倉と江戸で無残な最期をとげた堀主水一族の命はどうなる? 堀一族(あのものども)の代わりに明成と漆戸・香炉の三つの首をもらい受けて、はじめて勘定が合うというものじゃ!!」
疑っていたわけではありませんが、おしょうの眼を見るかぎり、大丈夫そうですね――って、ああっ、ぎんしろさんのおでこがヤバくなった!!(もしかして沢庵おしょうに殺意をおぼえたのかも…)(笑)
気に入らないことがあるごとにキレてるぎんしろさんですが(「おでこ怖ッ」の異名もあるとかないとか…)、やっぱり今回も、はたで聞きながら険のある表情をしています。
とりあえずおとなしくしていますけど、相手が大人物であり、ボスにも止められている手前、自分勝手に手も口も出すわけにはいきませんものね。で、その分おでこがすごいことになる(笑)。ぎんしろさんのおでこは、立派に不快指数のバロメーターですね。いまさらながらそう想いましたです。
沢庵おしょうの言い分を聞いている間にもぐんぐんと指数は上昇しているらしく……まあ、横でそんなことを言われて平然としているような人はめったにいませんが(笑)。そしてぎんしろさんばかりでなくこうしちろーさんも、銅伯老までもが「何言いやがる」みたいな表情をして眼から殺意を送ってよこしています。しかし沢庵おしょうはかまうことなく言いましたよ! そう、すなわち!
「さすればこの沢庵、般若面によう言い聞かせ、七人の女を連れて江戸へ帰ろう! 条件はこれだけじゃ! 他は無い!!」
……………あれ?
あ、あのう、沢庵おしょう、大切なことを忘れている気がするのですが…〈花地獄〉〈雪地獄〉に散った人たちの分を…。原作を読んでいた時も、ここ「…あれ?」と想ったシーンでした。
戦ってきた中で敵がどれだけの悪逆非道・荒淫暴虐ぶりをつくしてきたかを知ったのだからその分も上乗せしろ、と言っているわけではありません。もともと一族郎党の復讐という“私事”からはじまった今回の戦いですし、沢庵おしょうたちもそのつもりで動いているのでしょうから。
ただ、犠牲になった中には自分たちが芦名衆を斬ったために引き出されて殺された娘さんたちもいるのですし、すくなくともそれを入れていないのはおかしいなあ、と想ったのです。
名前もないその他大勢とはいえ、相手が「首合戦の〜」と言い沢庵おしょうもそれと認めたうえで勘定しているからには、門の前に首をならべさせた仕掛人である銅伯老の首もせめてもらわなければ、割に合わなのでは、と。殺戮をやめさせるために鶴ヶ城へ入ったほどの賢僧沢庵おしょうであれば、なおさらそれを言わなければと。そう想いましたです。
……やっぱり、ね。身勝手な理由で殺されたまんまじゃああの人たちもうかばれめえ。

それはともかく、さておいて――
「…では…この談合は、決裂でござるなあ…」
言葉とともにぶきみな、意味の深そげな笑みを見せる銅伯老。そのまましずかに眼を閉じて、相手のみょうな気配に沢庵おしょうとおとねさんは気構えますが、何と銅伯老は、そのままコクリコクリと舟をこぎはじめ……。
交渉決裂したばかりとはいえ大切な話し合いの最中にこのような真似をするなんて、相手の不興をおおいにかうか、さもなくばどこぞの国会議員みたいに水ぶっかけられそうな(←何年前のハナシよ…)ことをしている銅伯老。
しかしこれは、眠気におそわれたわけでもふざけているのでもなく……これから起こることのはじまりだったのです。
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