2017/7/23

アリタリアはエティハドが買収するのか  エアラインビジネス


 

Etihad was listed as one of around 10 bidders for Alitalia. Tony Gentile / ReutersEtihad submits non-binding offer for Alitalia

エティハドがアリタリアの非拘束式買収を提出


John Everington

John Everington

July 22, 2017

Updated: July 22, 2017 09:13 PM

https://www.thenational.ae/business/aviation/etihad-submits-non-binding-offer-for-alitalia-1.613209



  1. イタリア報道によればアリタリア再建策として同社の一部または全体買収でエティハドが拘束力のない提示をしている。アイルランドのLCCライアンエアも入札している。

  2. 10社程度がアリタリア買収に手を上げる中でエティハドエアウェイズが注目されているのは同社が低迷するアリタリアへの投資に真剣なためだ。

  3. 締め切りの金曜日に先立ち提出された非拘束提案の一方でエティハドはスイスのダーウィンエアライン株式を売却しているのは国際投資戦略の見直しによるもの。

  4. 内部事情に詳しい筋がエティハドの提示が含まれていることを確認している。

  5. エティハド広報担当者は「アリタリアとエティハドエイビエーショングループ間には強いつながりがすでにできており、当社はさらに関係を強化し相互に利益が出る形なら可能性すべてを追求する準備ができています」と述べたものの詳細には触れていない。

  6. 三か月前のエティハドはアリタリア株式保有49%を手放すように見えた。20億ユーロの増資案をアリタリア従業員側が拒否し管財人管理に入ったためだ。

  7. 「関係者全員が会社再建に合意しなければ当社は投資を継続できない」とエティハドのCEO(当時)ジェイムズ・ホーガンは述べていた。

  8. エティハドが示す再建策への関心度と他社ではアリタリア運航で利害が違うとロンドンのJLSコンサルティングの航空アナリスト、ジョン・スティックランドが解説する。

  9. 「エアライン側は手堅く再建案を出しておいて自社の関心度に応じた参画を狙うものです。どの会社にせよアリタリア全体には関心がないはずです。苦しい経営状況ですからね」

  10. エティハドがアリタリア株式49パーセントを2014年に取得し2017年の黒字化を狙っていた。だがアリタリア利用客数はライアンエアはじめとするLCCとの競争でさらに減った。

  11. 倒産清算を回避したいイタリア政府は同社を5月に売却することとした。

  12. アリタリアの不振にドイツのエアベルリンなど子会社が加わりエティハドは国際投資戦略の見直しに迫られたのが昨年末のことだった。

  13. 拡大戦略を立ち上げたのがホーガンで今月初めに退陣している。

  14. 先月にはエティハドはドイツ旅行会社Tui グループとTui Flyエアラインおよびエアベルリン子会社Nikiの共同経営を巡る交渉を取りやめ、同社の国際戦略の変化を示す兆候と見られていた。

  15. 先週エティハドがダーウィンエアラインの持ち株を売却したことでこの動きが再確認された。■

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2017/6/29

米政府発表の新保安措置の内容と背景  空の安全


US Demands More Security on International Flights to US

米国が求める国際線米国到着便の保安体制強化

The Canadian Press | 28 Jun 2017

http://www.military.com/daily-news/2017/06/28/us-demands-more-security-international-flights-us.html


WASHINGTON — 米国土安全保障省が世界各国のエアライン各社に保安手続き強化を米国向け各便に求めており、実施しない場合は電子製品の完全持ち込み禁止になる場合があると伝えている。

  1. 新基準により中東アフリカ10か所の空港で適用中のラップトップコンピュータや大型電子製品持ち込み禁止措置は解除される。また話題になっていたヨーロッパ出発便での禁止措置は回避できそうだ。

  2. 国土安全保障省長官ジョン・ケリーが新規措置を6月28日発表した。

  3. 今回の措置は段階的に実施され乗客の身元チェック、爆発物の有無も強化され、その他内部関係者による危険を根本から減らすことをめざす。

  4. 「安全が最大の関心事です」とケリー長官は新アメリカ安全保障センター講演会で述べている。「敵は状況に適応しているのでこちらも対応する必要があります」

  5. ケリー長官は新措置は「一部目に見えるものと見えないもの」があり、実施は今後数週間から数か月にわたり展開する。

  6. 長官によれば今回の措置に従わない、あるいは実施を遅らせるエアラインには大型電子製品の機内手荷物および預け入れ荷物双方の禁止措置を取る。また米国内乗り入れ許可の取り消しもありうる。長官はエアライン各社の協力に期待している。

  7. 指定10都市から米国に飛ぶ海外エアラインのみを対象に現在禁止措置が適用されており、利用客は大型電子製品は預入荷物に入れれば持参を許されている。

  8. 新規規則は海外および米国内エアライン80社で105カ国280都市よりのフライトに適用される。国際線の米国到着便は毎日およそ2千。

  9. ラップトップおよび大型電子製品の機内持ち込み禁止措置は3月に始まり、理由としては巧妙に施された脅威が現実になっているとしか述べれていなかった。対象は米国向けノンストップ便でアンマン(ヨルダン)、クウェイトシティ(クウェイト)、カイロ、イスタンブール、ジェッダおよびリヤド(サウジアラビア)、カサブランカ(モロッコ)、ドーハ(カタール)、ドバイおよびアブダビ(アラブ首長国連邦)の出発便。

  10. 米政府は禁止措置をヨーロッパ一部空港にも拡大する検討をしていたが、ケリー長官の発言から別案を検討して事がわかった。

  11. 今回の変更措置の直前にフェニックスのスカイハーバー国際空港でコンピュータトモグラフィー(CT)方式のスキャン検査を試用すると運輸保安局(TSA)が発表している。

  12. この技術は預入荷物で使われているが、CTスキャナーの価格と大きさのため機内持ち込み手荷物には使われていなかった。

  13. CTスキャナーで3-Dイメージが作成され、回転も可能で検査官はよく見られる。怪しい荷物は脇に出し、検査官が開く。

  14. アメリカンエアラインズはこのテストに参加しており、この技術で乗客はラップトップ、液体、エアロゾルを機内持ち込み手荷物に入れたままでよく空港内での保安手続き時間が短縮できるようになるという。

  15. 今回のテストは米関係者が新しい脅威へ対応を迫られる中でのことで、テロリスト集団はラップトップ用バッテリーの形に偽装した爆弾を開発中との疑いも出ていた。■

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2017/6/26

見えてきたNMA(797)の全体像  ボーイング Boeing

 

今年のパリ航空ショーではNMAとなる797の正式な開発開始の発表こそありませんでしたが、ボーイングはエアラインのヒアリングも参考に相当競争力のある機体の構想を固めつつあるようです。さらにデジタル技術の応用で開発製造でも相当これまでの概念を破る仕事の進め方を考えているようです。期待しましょう。787の経験がうまく活用されるといいですね。

 

Aviation Week & Space Technology

Boeing Unveils Notional New Midsize Airplane Timetable

ボーイングが新型中型機の開発工程表を発表

Although not yet launched, Boeing’s NMA is in full simulated production in cyberspace

正式立ち上げはまだだがボーイングのNMAはサイバー空間ですでにシミュレーションを開始中

Jun 23, 2017Guy Norris | Aviation Week & Space Technology

http://aviationweek.com/paris-air-show-2017/boeing-unveils-notional-new-midsize-airplane-timetable

  1. パリ航空ショーでボーイングが前回新型機構想を示して14年になる。今年こそ同社が進める新型中型機(NMA)の基本構想が示されるとの期待から今回のショーの目玉になるといわれてきた。

  2. ただし2003年のパリ航空ショーで同社は当時7E7と呼んでいた機体の主要サプライヤー名まで発表したが、今年のショーではNMAがそこまでの対応に至っていない。新型中型機事業はまだそれ以前の段階にあり、2000年当時にボーイングが767後継機を模索していた状況と同じだ。そこから同社は2001年の展示でいきなりソニッククルーザー構想を発表して驚かせた。

  3. ソニッククルーザーと7E7が787に発展し、最近では777Xが生まれ、両機はボーイングの双通路機開発戦略の中心となった。737ファミリーと大型機の間にすき間需要があると明確に認識した同社はNMAを単にギャップを埋めるだけの存在ではないと語り始めた。

 

判明してきたNMAの詳細情報

 

  • 双通路で複合材を胴体・主翼に採用

 

  • 220席-270席で5,200カイリの航続性能

 

  • 4,000機超の需要予測

 

  • 2023年に一号機完成、路線就航を2025年と想定

 

  • ギアードターボファンエンジンをCFM、ロールスロイス、プラット&ホイットニーの開発に期待

 

  • デジタルスレッド方式を中心にした社内実施体制

 

  1. NMAは2013年に757後継機構想として検討が始まったが、ボーイングによればエアライン各社のインプットで当初の構想を全く違う存在に変えたという。220席から270席で5,200nmまで飛ぶNMAは当初より規模が大きい。同社予測ではNMAで4,000機までの新需要が生まれ、単純に757後継機とした場合の4倍の需要を生むという。

  2. NMAは777、787の従来機とのちがいがあり、新方法も採用する。とくに787開発の痛い経験から学び、一番大きな違いはデジタル手法を明確かつ前例がない範囲で応用することで、モデル作成や技術検討を事業の正式な立ち上げ前でも行うという。

  3. 各分野の知見を結集し設計最適化とモデルを使ったシステム工学を応用し、同社はNMAの設計、製造、テスト方法を正式立上げの前だが注意深く検討中。

  4. 「本日の段階で正式に事業はスタートしていませんが、製造システムの姿が見えています」とボーイングコマーシャルエアプレーンズ副社長兼新型機開発担当部長マイク・デラニーは語る。「組立て工程の順序も見えていますし、コンピュータ上で部品製造も始めています。コンピュータで初期生産分数百個を製造できるのはまさしくデジタル・スレッド digital thread の威力です。可能性を引き出してくれる大きな要素です」

  5. ボーイングの製造工程を根本的に変えるカギがこの作業であり、NMAは従来の双通路機より低コストで製造する。「現在の機体価格は市場が設定していますが、当社のチームは売れるか価格にするためのコストを割り出そうとしており、販売価格の根拠としつつ経営陣が打ち出した当社がめざす2025年のビジョンを実現します」(デラニー)

 

NMAは第五世代複合材材料、高アスペクト比主翼を787や777Xの設計事例をもとに採用する Credit: Boeing

 

  1. ボーイングは立ち上げ前から技術変更による影響の詳細を理解しており、機体設計を細かく調整できる立場にあり、部品生産段階から機体の維持管理まで同社が立ち上げたボーイング・グローバル・サービシズ事業部に担当させる。

  2. このデザインアプローチの原型が787で「777-300ERの座席当たりコストと同等に設定しエアライン各社に大幅な運航費用低下を提供しました」とデラニーは指摘。その結果、デラニーは787が「エアラインに低リスクで直行便新路線網を開設できる機会を作ったが、今回は787より短距離で同じ効果を作りたい。6,500カイリ飛行機材とほぼ同じ一席当たりコストを実現し、旅行コストでパラダイムシフトを実現したい。これが可能となればマジック効果が生まれます。これまでなかった直接二地点を結ぶ新路線が突如として現実になります」

  3. 「未提供市場」つまりこれまで存在しなかった市場がNMAで実現するとデラニーはいう。「これがボーイングの狙いです。超効率的に地点間を結びます。パイそのものを大きくしたいのです。787では従来存在しなかった都市ペア156組が生まれました」

  4. 787で新規長距離路線が太平洋他で生まれたが、ボーイングはNMAに大西洋や急成長地域で同じ効果を期待している。

  5. 「カギになるのはどうやってこれを実現するかです。今の段階ではお話しできません」とデラニーは詳細を語らなかった。ただし、全体像としてこう述べてくれた。「既成市場を狙うのが効率的です。787で判ったのは単通路機の経済性で双通路機の快適さを実現することの意義です。他社(エアバス)も当社も宇宙の原則は曲げられません。でも当社はその範囲内で新型機を作れます。787の実績が大きな要素となり、当社はこの方向をめざします」

  6. パリ航空ショー会場でボーイングは一部の詳細仕様を確認している。第五世代複合材主翼、「ハイブリッドの」複合材胴体、次世代デジタル装備、超高性能の高バイパス比ターボファンエンジンだ。展示されていた概念図や側面図では757と同程度の大きさの機体で777と787の特徴を混ぜ合わせていた。

 

NMAでの機体とエンジンの統合は787や777X事例以上に進む。 Credit: Boeing

 

  1. デラニーは「ハイブリッド」機体の意味を正確に説明したくないようだったが、構造材料の選択よりも客室断面形状を重視しているようだ。断面形状は幅とともに上部は787や777に似た形状となり下部は737に似るようだ。デラニーは特許取得ずみの内容も盛り込むとほのめかしている。断面積形状でボーイングは大型双通路機の特徴と単通路機得入の形状を組み合わせた一連の仕様を特許出願している。

  2. デラニーはNMAの工程表として2018年末ないし2019年初めに事業立ち上げとみている。2020年に設計完了し、製造は2021年から2022年に実施され、2023年に組立てる。フライトテストや型式証明は2024年、路線就航は2025年だという。

  3. 事業採算性の検討結果次第だがボーイングは来年にも同機の市場投入を決定するとみられる。「事業性検討の結果について楽観視しており、ケヴィン(ボーイングコマーシャルエアプレーンズ社長マカリスター)から実施の決定が出ると見ています」とデラニーは述べた。

  4. NMAの事業化のカギを握るのが高性能エンジンンがいつ利用できるかで、CFMインターナショナルプラット&ホイットニーロールスロイスの各社が実現に競い合っている。プラットからはすでにPW1000Gギアードターボファン(GTF)ファミリーの発展型をNMA用に検討中との発表があり、ロールスロイスはギア付きアルトラファンを提案する。GEとサフランの共同事業体CFMは今のところ音なしの構えだがギア駆動式ファン構造も検討中とほのめかしている。

  5. CFM執行副社長アレン・パクソンによれば選択肢の中でボーイングからのNMA用エンジンとして45千ポンド推力で高性能高効率の要求に一番よく応える案を検討中とする。「Leap事業を立ち上げた際にはエンジン構造の組み合わせが18通りあり各種技術内容を提示しました」といい「顧客各社の要求にすべて当社製品で対応できるとし、技術が成熟し投入可能と示してました。今回も同じ対応をします」 これにCFMの事業担当執行副社長フランソワ・バスタンが追加発言している。「特定のエンジン構造だけ提示はしません。ギア構造について当社は柔軟対応できる体制です」

  6. プラット&ホイットニー社長のボブ・ルドゥックから同社は法的手段によりGTFファミリー関連特許を守るとの発言があったが、CFMはこの脅かしに動じる気配がない。エンジンメーカー各社からプラットのGTFファン駆動ギアシステム特許を巡りすでに応酬が始まっており熾烈な戦いになりそうな気配だ。プラットの言い分を認める判決が最近出たが、CFMの主張はGEがもっと前にギア付きエンジン構想として減速ギアを使った低騒音低公害短距離実験エンジンをNASAと協力して1970年代に作成しており、基礎技術はその時点ですでにあったとする。ロールスもギア駆動式エンジンを試験中でプラットの言い分は弁護不能と主張している。■

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2017/6/22

パリ航空ショー:MRJパイロットの機体自慢  三菱MRJ

何とかパリに出展でき良かったのですが、どうしてMRJは飛行展示しないのでしょうか。よほど予定が詰まっているのか、別の理由があるのでしょうか。またワシントン州のテストチームが12名というのはパイロットだけで12名ということですよね。

 

PARIS: MRJ test pilot lauds aircraft's pitch control

   パリ航空ショー:テストパイロットがMRJの制御系を称賛

 

 21 JUNE, 2017

SOURCE: FLIGHTGLOBAL PRO

BY: MAVIS TOH

PARIS

https://www.flightglobal.com/news/articles/paris-mrj-test-pilot-lauds-aircrafts-pitch-control-438660/

  1. 三菱航空機のテストパイロット宇田川機長はMRJの操作系を滑らかかつ同様機種から傑出していると表現している。

  2. 「着陸が極めて易しく、ピッチ制御が簡単でMD-80やボーイング737と違う」と三菱航空機入社前に日本航空で両機種の操縦経験のある同氏はNAMC製YS-11も運航していた。

  3. 宇田川機長はロックウェル・コリンズ製プロラインフュージョンを搭載した同機の完全フライバイワイヤ操縦席で状況把握ができパイロット負担が軽減されていると述べている。

  4. 15インチLCD四画面によるグラフィックインターフェイスにより航法制御は直感的かつ明確につかめるという。

  5. 三菱航空機はテスト機材三号機FTA-3をテスト日程から外し、パリ航空ショー―で地上展示している。宇田川機長によればパリへのフェリー飛行中にエイビオニクス関連のテスト項目を実施して穴を埋めたという。

  6. テスト機材四機は米国のモーゼスレイク施設に配備され、フライトテストは累計940時間となっていいる。宇田川機長はテストは順調で毎日三四時間を飛んでいるという。三菱航空機のフライトテストチームは12名体制だ。

  7. 5回にわたる遅延を経て三菱航空機はMRJ90のローンチカスタマー全日空向け引き渡しを2020年中頃開始と目標設定している。■

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2017/6/21

NMAにエアラインが求めるもの---調査結果から  ボーイング Boeing

 

エアバスがシェアでリードしながら現状に甘んじる中、ボーイングがエアライン側の需要を正確に読んだ機体を新技術を盛り込みつつ短期間に実現できればシェア逆転は不可能ではないでしょう。もはや大型機への市場回帰はありえず、今後は中型機が今日の大型機の役割を占めることになるのではないでしょうか。

 

 

 

ShowNews

Study Says More Range But Not Much More Capacity Needed For NMA

エアラインがNMAに求めるのは航続距離、大量席数ではないと調査で判明

 

 Jun 18, 2017Jens Flottau | ShowNews

http://aviationweek.com/paris-air-show-2017/study-says-more-range-not-much-more-capacity-needed-nma

 

 

 

  1. まず良いニュースから。ボーイングが新規開発を目指すNMA新型中型機へエアライン側が大きく関心を示している。Aviation Weekがバンクオブアメリカ-メリルリンチと共同実施した調査では78%が同機導入に関心ありと回答した。新規発注の動きが全くない市場ではこれは無視できない数字だ。またエアラインは早期導入を希望し、三分の二が2021年までの納入を望んでいる。ただしこのタイミングはメーカー側が可能と考える最短の引き渡し開始時期より相当前になる。

  2. パリ航空ショー前に発表された結果では同時に新型機のあるべき姿の把握がメーカーにとって困難であることが示されており、エアラインが求めるのは単一機種ではなく航続距離、席数で多様な仕様のファミリー構成であることを改めて示す格好となった。エアライン側の要望から今後登場する機体のみならず既存機種でも戦略展望が開けてきた。エアバスA320neoが単通路機需要の6割を押さえる状況が当面変わりそうもない中でボーイングは737MAXで二番手に回っており、737-10立ち上げを発表しようとしている。

  3. 長距離機と単通路機の中間部分は対応が厄介な存在だ。エアバスはこの分野から手掛けた。A300とA310は成功とは言えなかった。成功したといえるのはボーイング757-200だろう。767とA330は当初の想定範囲を超える機体に成長した。A321neoとA321LRが今のところ757に一番近い存在になっている。

  4. エアライン側がボーイング、エアバスに求めている内容が聞き取り調査の通りだと両社は困難な立場になる。大多数の回答(90%)は2クラス仕様で250席未満の機体を求め、5,000カイリまでの航続距離を求めるのは76%だった。無視できない数の回答(24%)が5,000カイリ以上を希望。導入希望の三分の二が複合材機体・主翼を望んでいる。言い換えると機体サイズは現行の単通路機並みだが航続距離の拡大を望んでいるといえる。

  5. そうなるとメーカー側は大変だ。顧客側の要望通りだと現行単通路機の品ぞろえと競合し食いつぶすリスク、あるいは新型機の成功を困難にするリスクが発生する。双方が発生しそうだ。ボーイングは737と同程度の機体サイズの新型機を開発し需要分野を同時に満たそうとしており、767に似た小型ワイドボディ機で1980年代技術を超えた経済性を実現するようだ。だが機体が小型になればワイドボディ機の利点を生かしつつナロウボディ機の経済性を両立するのが難しくなる。ボーイングは高度の設計内容で両方の実現を目指すと言っている。

  6. だがそもそも顧客はワイドボディを求めているのか。調査では明確な答えがない。回答エアラインの51%が既存ゲート構造のまま使えるのなら小型ワイドボディ機を検討してもいいと伝えているのみだ。ただしメーカーが航続性能も真剣に考えるとすると両立は難しい。大型主翼が必要となるからだ。長距離ナロウボディ機でも主翼は混雑した空港のゲートでは制約になりそうだ。

  7. エアバスは当面は楽観できそうだ。A321neoは長距離型(LR)で大部分のエアライン需要に対応可能なようで極端に小型化することは過度な大型化と同時に問題であると認識している。反面で調査結果からエアバスが対応できる状態でないことも示されている。とくに航続距離に関してその傾向が強い。更なる開発が必要だ。というのも現在提案中のA321LRでも4,000カイリを辛うじて超える程度だからだ。A321の「プラスプラス」構想(A320neoファミリーの全般的向上策)で席数増加が検討中だがもっと重要な航続距離延長が設計に盛り込まれていない。ボーイングも737-9や737-10では航続距離の制約のため切り札にならないことを承知している。ここが新型中型機NMAが望まれる領域だ。

  8. 需要サイドは受入れ準備ができているように見える。回答の6割はボーイング新型機が期待内容に合致するよう望みながら、「A322neo」への期待は4割にとどまっている。A322neoはエアバスが投入を狙うA320neoファミリーの性能向上型だ。ボーイングは正しい設計を求められている。■

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