「変わった男と思っていたが、まさか指名手配犯だったとは」
「あいつや」
「間違いないで」
「なんでそんなに金を持ってるの」
「『イノウエ君は変わった子やなあ』とうわさしていたが、まさか、市橋容疑者だったとは。今思えば、整形手術代をためていたのだろうか・・・」
この会話文は、大阪の某・建設会社の同僚達が記者達の取材に応じた時のモノ!
指名手配中の凶悪犯罪者が正面きって目前に堂々と現れた時、人は何の疑いも無く、こうも簡単に受け入れてしまうもんなのか?と、改めてこの事件に関して赤の他人は無関心なんだなと言う事を、この報道は立証してしまった訳だ。
誰もが市橋は必死の逃亡劇を繰り広げていると思っていた。
所が実態は違った。
警察の後手捜査も去る事ながら、この事件に対して警察側の諦めムードがムンムンと漂っているかの様な展開だ。
普通に社会人として働き、普通に社会で生きる生活者として過ごしてきた現在進行形の逃亡劇!彼はパスポートまで所有し、飛行機で移動していた事も発覚した。これは警察だけでなく、何の為の手間の掛かるチェックなのか、航空会社も責められるべきだ!
憶測、推理、想像の範疇を越えた市橋達也の仰天大胆行動。
夕方フジのスーパーニュースのコメンテーター・木村太郎は、この呆れた展開に、これ以上無い適切な皮肉を発言した。
「三文小説家の推理展開!」
他人を干渉しようとしない無関心な世間も去る事ながら、それにも増して見事なのは市橋の直観的行動だ。
大阪で一年間の寮暮らしの末、10月11日朝、最後の給料を受け取り、部屋にビデオデッキと大量の漫画本を放置してドロン!
名古屋での整形の時も、整形後に抜糸をしないままドロン!
人間の第六感と言うか、逃亡犯ならではの直観があるんだろうか?同じ場所に長く住み着く事が危険である事を直感的に感じているとしか思えない鋭さだ。
迫りつつあるXデー。この事件の結末は果たしてどうなるか!?


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