
「定福院」(埼玉県栗橋町)
「なんや『らかん』って? 水を入れる器か」
「それは『やかん』」
「じゃあ、還暦前後の人か」
「それは『アラカン』」
「病気の人か」
「それは、『罹患』。いい加減にせい」
「わかった、わかった。でも、いろんな市井の人が秘かに『らかん』をやってはる」
「だれや」
「内村鑑三」
「あー、はいはい、確かに『らかん』ちゅう言葉がはいってるわ」
「それに朱楽菅江(あけらかんこう)」
「だれやそれは」
「江戸後期の狂歌師・洒落本作者。江戸の人。幕臣で本名は山崎景貫(やまざきかげつら)。大田南畝(おおたなんぽ)・唐衣橘洲(からごろもきっしゅう)とともに、天明狂歌壇の中心的人物の一人。著「故混馬鹿集」「狂歌大体」など 」
「国語辞典みたいにいうな」
「魚だっておわします」
「なんや」
「『シーラカンス』」
「あほか」
「『らかん』をたたえたリストの曲もありま」
「それはわかった。『ラカンパネラ』やろ。まあ、ちょっと今更感はあるけど、いいがな」
「『らかん』さんに捧げる花だってあります」
「これもわかった。『しらかんば』」
「おしい。『ピラカンサ』」
「なにがおしいや。わてが『ピラカンサ』言うたら、しらかんばというたくせに」
「ばれたか。じゃあ、さいごに羅漢中の羅漢さん」
「ンー、まじかい。わからん」
「『百済観音』でっせ。さあ、どことなくあっけらかんとした雰囲気が漂ったところでお後がよろしいようで」
「なにを言う。単にねたがすっからかんのくせに」

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