
「定福院」(埼玉県栗橋町)
「ほんとだー、面白いね、一寸羅漢様」
「そうか、それはよかったね。それで、どんなだ」
「まず、頭に血が昇って、というか、降りて押さえられる感じだ」
「いや、そうか。それが面白いか」
「んー。苦しいけど面白い。おいらがいかにふだん恵まれた姿勢でいられるかがわかる」
「私にしてみればお前のその反応が面白い。で、ほかにどうだ」
「少しおならの臭いがする。やっぱり、お尻のあたりにはおならが残っているんだね。やっぱり鼻とお尻が離れているから平和に暮らせるんだね」
「お前の感じ方は面白いな。まだ、ほかにあるか」
「そうだな。耳が押されているし、いつもより羅漢さんの声も聞きづらい。耳の周りは何もないほうがいいんだね」
「それもそうだが、ふだんと変って見えるものはないか」
「んー、ふだんとは違わないもんだね。そりゃ、いつもより低いところが見えるけど、自分が逆さまになっても世界は同じだね」
「お前の感じ方はひょっとすると革命的かも知れんな。よくものの見方を変えろというが、それはまさに見方を変えるだけで、世界は変っていないんだよな。見方を変えるのはせいぜい気分を変える逃げかも知れんな。お前のように自分と世界に満足だと視点転換の話などいらぬお世話だな」
「一寸羅漢様、何を小難しいことを言ってるんだい。でも、面白いものが見える。大きな英語の本の宣伝だ。
I LOVE ME VOL.T
全く意味はわからないけど逆さに読んでも同じアルファベットだね」

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