
「大聖寺」(長野県飯山市)
「あー、トイレ、トイレ。昨日から腹をこわしていて」
「そりゃ困ったな。といっても、こんなお寺じゃ・・・」
「あっ、この看板、ひょっとすると・・・、トイレ?」
「そうかも。面白いね、名前が」
「なんだろう、この鉄舟というのは」
「引き上げる『撤収』のだじゃれかな」
「便器が鉄でできた舟の形をしているんじゃないか」
「江戸時代だっけ、山岡鉄舟って人いなかった?」
「歴史じゃ習わなかったけど、NHKの番組で見た気がする」
「いかにもNHKに出てきそうな名前だね」
「うるおぼえも甚だしいんだけど、剣術家だったけど、書にも優れていて、求められると必ず書いてあげたから、日本中この人の書が溢れているという話だよ」
「思い出してきたぞ。マンガで読んだ気がする。確か刀を使わない無刀流を始めたとか」
「で、なんでトイレなんだろう。・・・。わかったよ、わかった。鉄舟はたくさんの書を書いたんだろう。きっと失敗作もあったに違いない。でも、頼んだ人にはその失敗作もありがたく頂戴していたに違いない。だからさ・・・」
「その失敗作がトイレットペーパーで使われたって言うんだろう。そりゃないだろう」
「いや、きっとそうに違いない。そして、刀の刃の先にほんのちょっぴり便をつけて病気を診断した」
「それが、剣便の始まりか。馬鹿馬鹿しい」
「あっ、そうだ。おれトイレに行きたかったんだ。行ってくる」

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