
「実珠院」(埼玉県松伏町)
「和尚さん、どうして庭をこういうチェック状にしたのですか」
「日本人なら、別の言い方はないかな」
「わかりました。どうしてチェック模様にしたのですか」
「そうきたか。少しは和風になったが、もうちょっとだ」
「では、どうしてチェッカー模様にしたのですか」
「ちっとも変わっとらんだろう。ふざけとるんかい」
「その通りです。でも、本当にどうしてチェッカードにしたのですか」
「んー、このように格子状にしたのには深いわけがあってな」
「格子ときましたか」
「実は、緑が珠を表しているのだ。珠は仏の御心なのだ。いたるところに美しい御心があるというエクスプレッションなのだ」
「仏教は偶像崇拝を禁じているのですか」
「そういうことはない。心を尊べば究極的には形にはこだわらん」
「それでこのようにtessellatedにしたのですか。アラブが入って国際的にも感じますね」
「そうも見えるかの。いや、市松模様は民族を問わず好まれるのだろう」
「市松模様?」
「そう、ご存じないか。本来は碁盤目状の格子の目を色違いに並べた模様じゃがな。江戸中期、歌舞伎俳優佐野川市松がこの模様の袴を用いたことに始まったらしい。しゃれておるな」
「市松模様の薀蓄にはチェックメイトされました、和尚」

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