昭和30年代、幼い僕たちにとって、アケビはご馳走だった。
秋、近くの山に分け入って、天然の恵みを探してまわったものである。
数日前、近所から、食べごろのアケビをもらった。
ひさしぶりに、少年時代の思い出に重ねて味わう。
とろけた甘い味のあと、口の中に種がごっそりと残る。
アケビならではの感触である。
山にいれば、ぺっぺっと吹きだすところだが、
家の中ではそうもいかない。そっと掌にとってから、投げた。
今では、産直などでもアケビが売られている。
高級料理店では、さぞかし高い値でだしていることだろう。
今の子どもたちはバナナさえ、あまり感激しないで食べている。
アケビの実を食べたら、どんな感想をもらすのだろうか。
この季節にだけしか食べられないアケビに出会ったときの
懐かしいわくわく感を、ひさしぶりに思い出した。