ときどき、むしょうに河島英五さん(1952年4月20日-2001年4月16日)の歌を歌いたくなるときがある。今月17日、岩手県立大学アイーナ・キャンパスにおいて、宮沢賢治の講話(「いわて善隣塾主催」)をしたが、そのときのテーマは「酒と賢治と男と女」だった。前月担当の澤口たまみさんのテーマは、「ナチュラリストとしての宮沢賢治」。それにくらべたら、なんともふざけた題である。賢治を冒涜するな、との声も聞かれそうだが、実は河島さんのメジャー・デビューとなった「酒と泪と男と女」(1975年)をもじったものである。あの頃に青春時代を送った……今は中高年の世代のなかには、この歌がおはこで、カラオケで熱唱する人も少なくない。
その日の講話では、例によって拙いながらも、賢治にまつわる酒、恋愛、友情などを語った。
それはさておき、河島さんの歌に「元気だしてゆこう」(1998)がある。歌詞のなかに、次のようなフレーズがある。
元気だしてゆこう 声掛け合ってゆこう
サムライでゆこう 日本男児でゆこう
世の中の人は何とでも
何とでも言うが良い
我がする事は我が想いは
我のみぞ知る
志が少年を一人前の男にする
志を持ち続ける事で男は少年に帰る
坂本龍馬が詠んだ和歌に次の一首がある。
世の人はわれをなに
ともゆはゞいへわが
なすことはわれ
のみぞしる
これをわかりやすい表記にすると、
世の人は
我を何とも
言わば言え
我が成すことは
我のみぞ知る
となる。
この和歌は、『龍馬の手紙』(宮地佐一郎・講談社学術文庫)にも掲載されている。
河島さんの「元気だしてゆこう」は、サムライ、日本男児というキーワードから推察すると、明らかに坂本龍馬からモチーフを得ていると思われる。
河島英五さんの歌には、ずばり「竜馬のように」という歌(歌詞・荒木とよひさ、作曲・チト河内)もある。
歌手をしている長男の名前は、翔馬(本名)。龍馬を意識して命名したのではないかと思ってしまう。
どうして、この時期に「河島英五と龍馬」なのか。
それは、拙著『龍馬のピストル』を読んでほしいからにほかならない。
来週のNHK大河ドラマ『篤姫』には、いよいよ龍馬のピストルも登場する。