実は、医師不足の理由も客観的な理由はない。
同様に医師が足りている客観的な理由もない。
実は、足りているか、不足しているか、というのは相対的な問題でしかなく、もっと言えば
主観の問題でしかないからだ。
少しでも安く医療費を抑えたい人や、医師の給与を下げたい人にとっては、医師の数は不足
している。
しかし、医師の給与水準を保ちたい、と思っている人にとっては医師数は足りている。
未だに公立病院で奴隷のように働いている医師には不足しているが、
競合の激しい地域で過当競争を強いられている開業医にとっては、医師数は充足している。
つまり、足りているかどうか、というのは結局、個々人の思考と立場を表明しているに過ぎ
ない。
そんなものは、議論しても答えは出ない。
OECDうんぬん、と言っても、結局は、その国の国民が医療についてどう考え、どれだけのお
金をかける準備があるか、と言うことのほうが重要であって、単純に医師数を比較 しても意
味がない。
しいて言えば、「どれだけ医療に対して負担するつもりがあるのか」という点に関しては、
日本はOECDの平均と比べて著しく非公的医療費の額が少ない。
これは、日本人は医療をそれ程重視しておらず、医療に対してお金を掛けるつもりがない、
というふうにも理解できる。
で、あるならば、現状でも医師数は過剰である可能性もある。
また、足りているかどうか、ということについても、「いつの時点での話し」をしているの
か、で異なってくる。
つまり、仮に(仮に、です)現時点で不足していても、20年後には余る、など、そのような事
は十分にありうる。
更に、日本経済が今後どの程度の成長をし、一人当たりの国民所得がどの程度になるのか、
ということも重要なファクターになる。
極論した場合、日本がミャンマー並みの貧困国になった場合、「十分な」医療費を支払える
層は極めて限られる為、医師数は間違いなく過剰になる。
逆に、日本の経済が何故か急激に成長し、再び世界に冠たる豊かな国になれば医療に費やす
資金額も増え、医療の市場が拡大する。
その場合には医師数は不足する。
(しかし、世界に冠たる金満国家になったら、金積んで世界中からスーパー・ドクターをスカ
ウトしてくれば良いのだ)
そもそも、何を以って「充足している」とし、何を以って「不足している」とするのか、そ
の定義すら曖昧である。
その前に、医療の必要性についても重大な疑義がある。
過剰な救急受診や、過剰な老人優遇など、医師不足の前に、過剰な医療需要を喚起しすぎて
いないのか?
仮にそうなら、医師を増やすべきではなく、患者を減らすべきである。
患者を減らすのは簡単で、値上げをすれば良い話だ。
医師の数も増やさず、患者の数を「調整」し、総額で医療費は増える。
その方が良いではないか。
最悪でも医師数増加は、
基幹病院での外来患者への負担増額(による、病診連携の徹底)
救急患者への自己負担増額
全ての年齢における3割負担の実施か、後期高齢者医療制度の徹底
これらの方策を採った上で考えるべきである。
取れるべき方策をも採らずに徒に医師数だけを増やして何になるのか?
馬鹿馬鹿しくて開いた口がふさがらない。
で、話を少し戻しますけど、政治経済を御考えなら、世界経済の中で、日本経済が今後どの
ような方向に進むものと考え、その上で日本の医療についての見通しを御考えになるべ きで
しょう。
私は今後日本は、相対的にその豊かさを失い、東アジアの普通の国化していくと考えていま
す。
政治指導者には、瞠目すべき慧眼の士は居ないし、そのような指導者を選び出すほどの見識
は日本国民にはない。
日本の民度はそれ程高くない。
私は、何となくズルズルと坂道を転がり落ちるように日本は衰退していくと考えます。
日本が相対的に貧しくなるのなら、医療と言うサービスを受けるに当たっての資金量も減る
ことになります。
現在は伸び続けている医療費も早晩頭打ちとなり、医療市場も縮小に向かうでしょう。
だとすれば、医師の過剰供給こそ心配すべき問題です。
他の職種と違い、医師の場合、一度医師になってしまった人間は容易に他の職業に鞍替えす
る事はできません。
医師の増加には極力慎重であるべきだと考えます。
と、いうか反対です。

4