「ブラタモリ」。
タモリが古地図を片手に
現代の街並みに見え隠れする歴史の痕跡を探し歩く
「探検散歩番組」。
内容としては“NHK版タモリ倶楽部”ともいえるこの番組。
そして、NHKに長らく出演していなかったタモリが
久りぶりにNHKに出演する番組。
臨時ニュースのために放送が取りやめになってから三週間、
ついに放送される日がやってきた。
タモリファン、タモリ倶楽部ファン、
古地図ファン、地図マニア、散歩好き、
2ch実況民など、
この日を待ちわびた視聴者が
日本にどれだけいたことだろう。
今回ぶらぶら街歩きをするのは
NHKの地元、原宿〜表参道界隈。
街歩きを始める前に
会議室で古地図を眺めるタモリ。

ねずみ小僧が市中引き回しされた経路を通ったことを話し出し、
(「タモリ倶楽部」での話だと思われる)
「『あ、ねずみ小僧だ。あいつがねずみ小僧だ』と見世物にされたのを
今度は俺が『タモリだ。タモリだ』といわれる。
そんなに遠い昔ではない同じところを通るというおもしろさ」
と、古地図好きならではの表現で
古地図の魅力を説明するが、
若い女子アナは困惑気味。
「この番組、降りる?」
と、さらっと毒を吐く。
いよいよ街歩きスタート。
まずは人工的に森が造園されたという明治神宮を訪ねる。
森を管理している方、
玉砂利の参道の落ち葉を清掃している方に話をうかがう。
かつては成長の早い針葉樹だけが目立ち
木立がまばらだったことや、
森の造園の過程がナレーションベースで説明される。
いきなり地理情報バラエティ番組になってきた。
これではタモリが街歩きする必要性が薄い。
次に、
明治神宮から湧き出る水が
原宿駅方向に流れ出ていることに目をつけ、
川の流れをたどってみる一行。

竹下通りを歩くが、
通りがかる人は知ってか知らずが
それほどタモリのことを気にしていない様子。
いつかタモリが
「『本当に生きているんだ』と言われたことがある。
フィクションだと思われている」
と話していたように、
テレビの中ではよく見かけるが、
こんなところにいるわけがない、
と思われているのかもしれない。
竹下通り、ブラームスの小径を進みながら、
半分アスファルトに埋まった石垣を見て
「これは護岸の石垣だ」と暗渠好きの本領を発揮。
道を観察しながら歩いていた一行は、
いつしかキャットストリートにぶつかる。
そこは渋谷川の暗渠の上に作られた道である。
二股に別れた道を見て、
元の川の流れをまっすぐにした名残ではないかと
推察するタモリ。
地元に詳しい方に話を聞くと
大当たり。
渋谷川は東京オリンピック開催のため
そのまま下水道として使用するために
暗渠として突貫工事で蓋をしたそうだ。
勉強になった。
昔は川が流れていたことを
葛飾北斎の絵をCGで動かして表現するが、
このCGはいらなかったな。
続いて、
表参道の高級ショップに残る石垣を訪問。
小高いを丘を削って通した表参道は
両側が崖になってしまうため、
石垣を築いたということをCGで説明。
これはわかりやすくてよかった。
最後は、
青山通りと表参道の交差点・表参道交差点の
細長い書店を訪問。
青山通りの拡張に伴い、
建物を削って
いまのような細い建物になったという。
書店で話をするうちに
路面電車やトロリーバスの話題になると
ますますいきいきとしてくるタモリ。
さすがは鉄道好き。
俺が一番聞きたかったのは
本当はトロリーバスの話だったのだが、
残念ながらワイプの映像だけで終わってしまった。
それにしてもトロリーバスの
映像資料を持っているNHKはさすがだ。
45分間の番組だったが、
内容の濃いものだった。
タモリの楽しそうに話す顔が
非常に印象的だった。
ただ、内容として
あちらこちらに飛んでしまっている印象を受けた。
古地図には関係なく、
その土地の歴史をひも解くような内容もあった。
明治神宮の造園については、
タモリが行く意味があったのが疑問が残る。
暗梁や渋谷川のくだりは、
タモリが街を歩く意味を最大限に活かしていたと思う。
「鶴瓶の家族に乾杯」のように
ぶっつけ本番の旅であるため、
道沿いにあったたこ焼き屋でたこ焼きを買うという
普通では見られないタモリの姿も見ることができたし、
前述したように、タモリの暗渠についての
深い知識を見ることができた。
“お試し番組”という性格上どうしても、
「なんでもやってみて
その中からおもしろいものを拾い出そう」
とするので、
どういう企画がおもしろいのか、
どういうところが視聴者に受け入れられるか、
まずやってみなければわからない。
そのため、いろんな要素を盛り込んでいったのだろう。
できることなら、
明治神宮なら明治神宮だけにスポットを当てる、
暗梁なら暗梁にスポットを当てる、というふうにしたほうが
より深く探求できるのではないだろうか。
そういう点では
本家「タモリ倶楽部」が
一回一テーマでわかりやすい。
その「タモリ倶楽部」は
タモリをはじめとする鉄道マニアなら鉄道マニアを集め、
そこに一人だけテーマに無関心な司会進行役がいる。
一方で「ブラタモリ」は
マニアックな人たちの中に、
なんとかついていこうとする女子アナがいる。
今回の番組を見ていると、
タモリの話や雑学を引き出すには
後者のほうが向いているような気がする。
NHKには「熱中時間」という
マニアックな趣味に没頭する人たちを紹介する番組があるので、
マニアックな趣味、ピンポイントな趣味でも
淡々と紹介する、フューチャーする土壌はあると思う。
今後、企画や構成をさらに練り直し、
もっともっとタモリのキャラクターを活かした
レギュラーに進化することを願ってやまない。


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