ある患者さんのお話です。施術前に、若干の骨盤の歪みがありました。一通り施術が終了し、改めて見てみます。なんと骨盤の歪みは、更にひどくなっていました。
ここで一般的な治療家であれば、慌てると思います。なにせ施術後に症状を悪化させたのですから、当然でしょう。けれど私は、この現象の意味を知っています。ですから冷静に「おや、珍しいケースと出会えたな」という感じです。殆どの場合、症状は改善する例が圧倒的に多いのです。
骨盤が歪むには、様々な原因があります。その中の一つに、内臓の毒素の排出があります。経絡(気の通り道)に乗せて、内臓の毒素を大きな出口である足先に運搬し、外に出そうとする活動です。毒が通過する過程で筋肉を緊張させるので、骨盤がそれに引っ張られて結果として歪むという訳です。
この患者さんの場合には、今まで機能が止まって、この内臓の毒出しが滞ってしまっていたのです。施術によって機能が取り戻され、その活動が突然活性化。今まで内臓に溜まっていたものを外に出そうと、懸命に働きます。つまり身体を良くしようとして、結果として骨盤の歪みが大きくなっただけの事です。前向きな意味での症状の変化ですから、何も心配は要りません。
けれどもしこの事実を知らなかったと思うと、自分でもゾッとします。私は性格が真面目で探究心も旺盛な性質ですから、更に精進を重ねて、この患者さんのケースにも対応しようとするに違いありません。そして何らかの療法や手技と出会い、もしくは開発し、骨盤の歪みを改善する結果を得るかもしれません。
一見症状は改善したように見えます。けれどこの場合での骨盤の歪みは、身体の毒素を外に出すという、前向きな意味のものです。その意味も判らず、ただ表面的な歪みという症状を追いかけるのです。結果として歪みを治せても、それはもしかしたら、単に排毒機能を止める手段を見つけただけに過ぎないかもしれないのです。表面的には改善したように見えて、その内実は、身体をより深刻な状況に追い込むだけです。
そして実際に、病院でも整体などでも、このレベルの治療や療法が横行している残念な事実があります。解熱剤や降圧剤、消炎鎮痛剤などの薬は、身体の自然治癒を邪魔するケースの方が多い。ボキボキ整体や牽引などは、表面だけを整えるもので、殆どのケースで本質的な意味には乏しいものです。
その患者さんには、この本質的な意味をご説明した後に、経絡上に溜まった毒素を瞬間的に出す施術を行いました。本当は長い目で見たら必要のない措置なのですが、言っている事が誤魔化しではないと証明する意味もあります。歪みはその瞬間に完全に修正されました。
けれど内臓に毒が溜まっている内は、排出に伴って再び同じ歪みが生じます。身体が芯から清浄化されていくには、どうしても相応の時間が必要です。排出が一段落すると、歪み癖も出なくなります。私自身も、その経験者です。元々、大きく骨盤を歪めていました。
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