土曜日の朝6時、いつもの通りラジオのNHKFM[バロックの森」を聞く。今日はバッハの特集である。大好きなチェンバロ協奏曲第一番を久しぶりに聴いた。目を閉じていると、旋律の美しさに涙が出そうになる。
土日担当の松田輝男アナウンサーの優しさに満ちた声に励ましを感じる。
番組の最後で、大阪の方がリクエストに、こんなことを書いていたのを紹介していた。
−脳梗塞になりました。その時、救ってくれたのがバッハの「ヨハネ受難曲−第67曲−安らかであれ」でした。私は、持っているCD,レコードのすべてをこの1曲と代えてもいいくらいこの曲に感謝を持っています−
ハ短調の静かな旋律が流れる。女性の合唱に追いかけるように男声合唱がうねるように重なり合っていく。キリストの遺骸に向かい別れを告げる人々。罪も悔いも悲嘆も、一気に洗い流す曲。「安らかであれ」というバッハの想いが朝の空気の中に広がっていく。私の愛するマタイ受難曲第47曲「主よ憐れみ給え」の哀しみとも違った旋律に心惹かれる。
このところ、私は大きな病いにはかかっていない。しかし、夜中から歯が痛かった。小さな痛みでも、眠る事さえ出来ない。
精神的にも、物質的にも幾つか気になることがある。人はいつも、何かしら問題を持って生きている。しかし、旋律の与える「安らぎ」を忘れずに、遙か遠くを見据えて生きていくことはできる。
松田アナウンサーは、いつも
「今日も良いことがありますように」
と、言って番組を閉じる。良いことも、悪いことも受容し、或る意味での諦観のようなものが、自分の中に生まれてもいい頃だと感じている。
春の朝の日差しが、白い雪を強く照らしてきた。

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