2017年度森の風の生活 今年度 テーマ「いのちと出会う」
5月のテーマ「いのちと出会う」
5月の聖書の言葉「野の花がどのように育つのか、注意してみなさい。」
マタイによる福音書6章28節
4月と同じテーマで過ごします。
今年は、お隣のおばあさんが「今年は先生、泣かんな〜張り合いないわ〜」と言われるぐらい、新入園のお友達は激しく泣きもせず、ようちえんの生活にす〜っと入ってきてくれました。もちろん、一日に何度か、「おかあさんは?」と聞く姿や、3時降園になってからはちょっと寂しくなる姿もありますが、でもやっぱり目に入る草や小さな虫たちやお友達に励まされて3時を迎えますね。この3週間、あちらこちらでおそらさんやおひさまさん達の優しい姿を見ました。斜面を降りることがちょっと怖いもりさんを見つけて手を引いて下ろしてあげたり、そこからは行っちゃだめだよと引き戻してあげたり、お花を積んでプレゼントしてあげたり、、、、よく気が付き、本当に優しいのです。時に「言うこと聞いてくれないんだもん」と涙の姿もあったりもして、小さい子たちに育てられますね。
さて、一つお伝えしなければならないことがありました。
先週の木曜日、やすはるさん達は田んぼへ出かけました。お昼過ぎ、籾播きをしているときに、
Aちゃんが中央の水路へ落ちて右耳の後ろを切ってしまう事故がありました。そして、道で田車を押していたH君が自分の責任だと思って藪の中に隠れてしまいました。Aちゃんのことに気を取られていたスタッフ達はH君が隠れてしまったことに気が付きませんでした。水路にAちゃんが落ちた時も籾播きに気を取られて見ていなかったということもありました。二人とも大きな事故にはならなかったのではありますが、大きな落ち度でした。大変申し訳なくお詫びをお申し上げます。「いのちと出会う」ということを大切にしようと始まりましたが、子どもたち自身の心の動きや命そのものを大切にする、守るということをもう一度最初から考え直さなければなりません。繰り返し、スタッフ間で話をしています。
早急に今、することは、
1、フィールド全てをもう一度スタッフで歩き直して、一つ一つの場所にある危険をチェックする。またそこで起きたケガやヒヤッとした瞬間を拾い出す。
2、田んぼの拠点(荷物置き場)としているところを変えておひさまさんの田んぼの上の場所にする。南北の道より東では遊ばないようにする。
大正田を遊ぶ場所にするにはもう少し手を加えなければなりません。まきば幼稚園の田んぼの会の人達と2005年から田んぼを開いてきて、まだ充分ではない状態でした。道半ばでした。おうちの皆さんとも協力をしていただいて、これからも少しずつ良い環境にしていきたいです。
3、オープンデーが6月にありますが、その際、皆さんから感想や意見をいただこうと思います。皆さんの不安などもお聞きしながら、どのような気持ちで、どのようなことを願いながら保育をしているか、また野外保育の醍醐味も知っていただき、よりよい関係を創って行きたいと思います。
これまで出したお便りの中にも書きましたが、今年は原点に返って、田んぼとの付き合い方、畑とのかかわり、そして森とのかかわりの一つ一つを見直していきたいと思っています。自然との関わりだけではなく、そこで使われる道具の扱いや、物の置き場、管理などについてもです。
小さなリスクは子ども達の伸びしろになります。しかしハザードは私たちの能力を超えます。このハザードからは必ず子どもたちを守らなければなりません。そして、危険は人の意識の中にありますから、保育者の意識、保育の内容などを子ども達の心の状態などをよく見つめていくことが肝要だと改めて肝に銘じています。
森の風で子ども達が育ちあがっていく場所はすべて、在所の人達が大切にしてきた場所です。最初からあったわけではなく、作り上げてきた場所です。大正田の田んぼも手で一枚一枚作ってこられた田んぼ、水路も道もずっと守り(管理)をしてこられて、今があります。私たちも次へ繋いでいくために同じように守りをしていきたいと思います。
「空の鳥をよく見なさい、野の花を注意してみなさい。」と言われたイエスは目に見える衣食住に心を奪われる事無く、目に見えない「神の国と神の義」を求めなさいと言われました。一番注意しなければならないところは私たちの心の中です。目に見えることに心を奪われる事無く、そこに同時にある目に見えない大切なことに目を注ぎながら、子ども達と過ごしていきたいと祈ります。