矢倉岳に初めて登ったのは、忘れもしない2006年冬・・・
山歩きの楽しさに目覚めて間もない頃だった 。
師匠の潤平さんが お勧めしてくれていたこの山を、
家族旅行で訪れた先で、一人サク〜っと登って見た富士山 。
標高870mと低いのに、独立峰ならではの眺望の素敵さは、
気侭〜なあの時の心地好さと共に、印象深く残っていた・・・・
新宿から急行で新松田へ、地蔵堂行きの箱根登山バスで20分、
矢倉沢バス停の横断歩道を渡ってゆくと、民家の壁が案内板に・・・

小さくても目的を持って辿る山ほど楽しいものはない
自然と足並み軽く空を見上げた

バス停から20分の舗道歩き・・・
いつしか雲はきれて青空が冴え渡る
陽が照り出して、汗がほとばしる山道 えんやこらっ

ほんのり紅葉し始めた木々の下、ゆっくり登って1時間10分

行くてに空が開けた頂上直下
ミズヒキやノコンギクの出迎えに汗も吹き飛び

最初に目に入った景色はススキ穂と・・・
ヤグラから空を仰ぐ一人の男性だった

そして雲低く 富士山の美しい姿・・・
思いっきり深呼吸して眺めるパノラマ
ふかふかのカヤトに腰を下ろし、トマトを頬張る 。
地中海生まれシシリアンルージュ

どちらかと言うと調理向きのトマトだけれど、
甘酸っぱく、歯ごたえのある味に嵌まっていた・・・
今や、トマトは山の必須アイテムになっている 。
最近 やたらと軟弱モードの身体、
チョコやドライフルーツなど無しでは、少しも前には進めない 。
一番に効くのはフレッシュなものだけれど、
バナナやミカンの様なのは、皮を持って帰るのがイヤだし・・・
トマトの瑞々しさホンノリ酸味が、疲れた身体に浸み渡ってく
ず〜っとヤグラから降りて来ない所を見ると !?
「 お邪魔しまぁす 」 と言って、ヨイコラッと這い上がる


ヤグラの上に立つと、空は一段と近くなり、下界は両手で掬えるよう 。
平日とは言っても、頂上には3人だけだった・・・
乗車した20人程のハイカーも、矢倉沢で降りたのは私だけだったっけ 。
左から明神ヶ岳、神山、金時山、足柄峠の向こうにはウッスラと
呼子岳、越前岳が見てとれた。。やっぱりココからの眺めは好いなぁ ♪
粋なテンガロンハットの方は、やはり鳥を見にやって来られていた 。
今年サシバの渡りを初め、オオタカ、クマタカ、隼も見定めたとか・・
すっかり嵌まり、この特等席にやって来ては空を眺められているという 。
返す返す 時を逃した事を悔み、益々空へのロマンは募るのだった

上昇気流の沸き立つ空、まるで身体が持ってゆかれる錯覚さえして
楽しいお話と、飽きる事なく目をこらした30分、
一人ヤグラから下りると、カヤトにシートを敷いて仰向けになった 。
眩しい太陽に目を開けていられない程だったけれど、
一羽すら逃すまいと見つめていた空・・・・
サシバは本州北部以南の各地の低山や丘陵に、夏鳥として渡来する。
体長は50cmほど、翼を広げると1m位になる中型のタカだ 。
繁殖を終えたサシバや、巣立った若鳥たちが9月〜10月にかけて
南国の越冬地である、東南アジアに向けて旅立ってゆく。。
気流に乗って高く舞い上がり、伊勢湾を渡り紀伊半島を目指し、
鹿児島は佐多岬へと、時速約40キロで4〜5日掛けて渡るのだとか 。
そして集結した群れは、季節風に乗り、遥か海上の島々へ再び旅立つ・・・
矢倉岳は 上昇気流が発生し易く、
多くのサシバが、頭上を渡るのを観察できると知ったのは去年、
サシバの調査をされている
サイトを見ながら楽しみにしていた 。
が・・仕事や天候、約束や野暮用に阻まれて、機会を逃してしまう 。
それでも前日までの観察を拝見して、もしかしたらと登ったこの日・・・
寝っ転がってどれ位立ったか? ヤグラの君の「 タカだっ 」 の声 。
頭上高く飛ぶ姿をハッキリ見た・・・カッコイイ〜〜!!
超スピードで雲の中に消えてってしまった、クマタカだと教えて頂く 。
「 カラスが飛んでいたら、その方を見るとタカが現れる事がありますよ 」
そう教えて頂いた、唯一カメラに収めたカラスの群れだったけれど、
その後、私が下山するまで二度と現れることは無かった・・・・

頂上に着いてから、の〜んびり2時間、
お徳用マロングラッセとアイスティを飲みほすと

また来年・・・・
ヤグラの君にお別れを告げ、地蔵堂へ向けて下る

暫し富士を見ながらの復路は
アザミ、ミズヒキやヤマトリカブトなど咲く道

土・日ならば万葉公園からバスが出ているものの
平日は地蔵堂止まり・・・お楽しみが待っていた 。

地蔵堂への道も緩やかで
ひっそり咲くヤマジノホトトギスやヤマハッカに和んだ

開けた視界には、さっきまで居た大らかな矢倉岳
諦めた空・・沢山のサシバが飛んでゆくのを想う

3年振りにまた地蔵堂でお参り
バス停はこの向かい側にあり

14時前・・・次のバスまで1時間半あった
目的のもう一つ、
万葉うどんは地蔵堂のそば
一本130円のおでんは、
うどんを打っている間に自分で取りにゆく
辛子ほんのり甘味噌が、
出汁のしみた おでんに良く合って美味しい・・・
潤平さんのレポに魅かれ
3年前に立ち寄って以来の味は また格別だった
夕日の滝から流れくる 箱根の水で捏ねるというツヤツヤ麺は、
どんだけの大きさにのばすのか、1本が長〜くて箸で掬えない。
つくづく食べにくさが妙に楽しく、おかわり一枚100円の嬉しさ、
串おでんのバイキングと、茅葺き屋根の趣きには ホ〜ッと和む 。

そして その
夕日の滝へ・・・
地蔵堂バス停の脇道を徒歩で15分、金時山への分岐を左に
程なく、赤い橋の先に見えた滝は 想像以上に美しく迫力があった
二人のご婦人が写真を撮っている横で
明らかに挙動不審の男性が一人・・・・
気になりつつ、滝の間近で マイナスイオンを浴びていると
ふと私の視界に入ってしまった、男性の上半身裸の姿〜

ズボンも脱ぐ勢いだったので 長居は無用と早々に退散して来た 。
夏場は水遊び、真冬の滝行と、
決して入水は不思議じゃない様だけれど、
独特の危なさ〜があって、気分は最悪だった 。
何はともあれ、ちょっぴりケチの付いたシメも
夕日の滝の清涼が、洗い流してくれたと思うことにしよ
矢倉岳 (870m)
10/13 新松田8:45〜9:05矢倉沢バス停9:10
〜10:50矢倉沢頂上12:50〜14:00地蔵堂