2018/3/13

公務員でもないのに子どもに「国家への参画」を要求する「新科目 公共」  ]Vこども危機
  =高校の指導要領改訂案=
 ◆ 道徳教育推進教師設置を強制
(週刊新社会)


 文部科学省が「大綱的基準として各校の教育課程編成に法的拘束力がある」とする学習指導要領(以下、要領)の、高校版改訂案(2月14日公表。2022年度から学年進行で全面実施。以下、改訂案)は、多出する「思考力、判断力、表現力等を育む」や「多面的・多角的な考察」というキャッチフレーズが、国家主権・軍事等に関する内容では一転、統制・画一化を一層強めている。

 09年3月告示の現行要領から「総則」(全教育課程に関係)に盛った、改定教育基本法の”国を愛する態度”を、改訂案は17年3月告示の小中改訂要領同様、新設の「前文」にも加筆。
 また高校での道徳教育は、特設の時間を設けず「学校の教育活動全体を通じて行う」としてきたが、現行要領から”国を愛する態度”を含む道徳教育の「全体計画作成」を義務化している。


 改訂案は新たに、「校長の方針の下に、道徳教育の推進を主に担当する教師(「道徳教育推進教師」という)を中心に、全教師が協力して道徳教育を展開すること」と規定し、「全体計画作成」について、「各教科・科目等との関係を明らかにすること」と加筆した。
 そして、公民科で新設する必修科目「公共」と「倫理」、特別活動道徳教育の「中核的な指導を行う場面である」と明示した。

 首都圏のある公立高校教諭は、「指導困難校や定時制は、基礎・基本の学力を育てるのに精一杯。一方、進学校道徳と言っても、生徒は相手にしない。道徳の全体計画作成は多忙化に拍車がかかるだけ。文科省の役人は現場の実態に目を背けている」と批判する。

 「国家への参画」まで要求していた文科省その新科目「公共」は、「1目標」に「社会参画」「自国を愛し」などと明記。「2内容」には「国家主権、領土(領海、領空を含む。)、我が国の安全保障と防衛、国際貢献を含む国際社会における我が国の役割など」を明示する。

 このうち「1目標」の「社会参画」は、16年5月26日の中央教育審議会教育課程部会の社会・地理歴史・公民ワーキンググループの会合で、文科省教育課程課が出した原案が「自立した主体として」という語句を冠してはいたものの、生徒に「国家・社会に参画し」と要求していたため、3人の委員が次のように反論した。

 ◇岡崎竜子(りゅうこ)金融広報中央委員会金融教育プラザリーダー:公務員なら「国家に参画」と言ってよいが、一人一人の児童・生徒に(国家への)「参画」まで求めるのは、いかがなものか
 ◇村松剛(つよし)弁護士:まず社会と関係があって、その延長線上に国家がある。対国家というメッセージが強い印象になるので、どうしてもというなら「社会・国家」の順にしてほしい。
 ◇池野範男(のりお)広島大学教授:(教育の目的を規定した改定教育基本法第1条の)「平和で民主的な国家及び社会の形成者として」と、今回(出した文科省)の「国家・社会に参画し」は違う。「社会」はいいが、(児童・生徒を)「国家」に参画させるのは一種の動員だ。
 これらの反論を受け、文科省は16年6月13日の会合で、「国家・社会の形成に参画し」と、文言修正した。
 だが今後、同省の作成する要領『解説』や、各社の新しい教科書に対する検定で、国家主義的な記述や指示が出てこないか、危惧される。

 主権者教育に関わる「2内容」の「防衛」は、一部教育委員会が近年、「多面的・多角的な考察」を許さない指導を学校現場に強制してきており、安倍首相の嫌う「自衛隊違憲論」の比重を抑え、集団的自衛権行使まで正当化し教科書に書かせるのではないか。
 また、政府見解や政権政党の政策に近い主張を教え込んだ上で、アクティブ・ラーニングとして討論やディベート、発表、模擬選挙・模擬裁判などをやれば、18歳選挙権行使で、保守政党の候補者に投票する若者が増える危険性がある。
 こう心配する父母・教職員らは、文科省が3月15日まで同省ホームページで意見募集しているので、改定案を修正させるパブリックコメントを寄せよう、と呼びかけている。
(永野厚男・教育ジャーナリスト)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000959&Mode=0
『週刊新社会』(2018年3月13日)


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