2018/6/10

2018年・グループZAZA連続講座第2回  ]平和
 ◆ 「メディアの現場から―歴史をふり返り、今を考える」
   〜下地毅さん
(朝日新聞記者)講演会「報道の縦軸と横軸」報告記


 6月3日、2018年・グループZAZA連続講座「メディアの現場から―歴史をふり返り、今を考える」の第2回目、下地毅さん(朝日新聞記者)講演会「報道の縦軸と横軸」は、70名近い方々の参加をえて、盛況のうちに行うことができました。参加いただいた方々、ありがとうございました。

 下地毅記者の講演の報告です(山田肇)
 新聞記者として何を取材し、何を報道するか、その価値判断は「報道の縦軸と横軸」。
 報道の縦軸は歴史性であり、横軸は社会性・・・豊かな民主主義を築くための広がりということ。
 瀧本邦慶さん『96歳 元海軍兵の「遺言」』の本の「あとがき」を中心に、現状の朝日新聞の批判。瀧本邦慶さんが、なぜ、「語り部をやめる」と言ったのか?瀧本さんを孤立させたものは何か?誰か?


 また、沖縄戦の体験者が、「天皇が大キライ」と申し訳なさそうに、なぜ、言うのか?
 天皇の戦争責任を問うのは遠慮しなさいと、自ら沈黙して、人々に沈黙を強いている。暗に発信している。政治的主張をするなと言って、従わない者への殺し文句を発している。

 朝日新聞の責任は重い
 「いまの『朝日新聞』からは(戦争につながる)『芽』を見つけだす能力が失われた」。
 「はてしなく現状に心身をすり寄せる。大勢に同化・同調し、適応・適合し、順応・順守し、応化・即応し、千代に八千代に服従する」。
 「『なにをしたのか』をかえりみない社会は『なにをしているのか』も『なにをしようとしているのか』も見うしなう」。

 そして、南京大虐殺を「南京事件」と表記させられる。
 「慰安婦」報道では、「被害者」と書くなと言われる。
 朝日新聞社内での生々しいやり取りのようす。
 「苦情が来る」とか、「危ない」という「圧力」を作り上げ、育てている社内の上の人たち。
 “いい人たち”だが、流れに従うプチ・アイヒマンを感じる。
 怖いことに私の中にも、それがある。
 しかし、記者として、絶対、譲れないものがある

 下地記者の日々の取材と、また、朝日新聞社内での苦闘ともいうべき話から、「報道の縦軸(歴史性)と横軸(社会性)」をもって、真実を伝えるメディアの役割を貫こうとする下地記者の気概と信念を感じました。ここに朝日新聞の希望を感じます。

 後半の話は、大阪に転勤する前に福井に3年間いた時の話。
 東尋坊で自殺を止める活動に参加し、取材した。そのルポは3年で500回に達したという。

 入社した頃、「目の前に溺れている人がいる。助けるべきか、取材するべきか」という設問を出された。
 どちらもやればいい。助けて取材すればいい。自殺しようと考えて東尋坊にやって来る人に対しても、自殺を止めて、取材した。
 自殺を止めるのは簡単。しかし、自殺を止めたあと、自殺に至った問題は何も解決していない

 第一歩は生活保護を申請し、いっしょに考えていこうと、窓口に行って、申請に同行した。ほぼ100%申請が通らせるほど、生活保護の申請について勉強した。

 追いつめられて自殺しようとまで思いつめ、東尋坊にやって来る人々の生きてきた現実を知った。
 家族の風景がない。学歴が低い人が多い。非正規や派遣で200も300も職業を点々とした人たち。
 今の社会がどうなっているのか、考えさせられた。

 その下地記者の関わりがハンパじゃないことを話の中から感じた。
 娘が母に電話したら、「死ね」と言うのを聞いて、東尋坊からその人を車に乗せて8時間、和歌山の母の所まで一緒に行く。
 行ってみたら、その母が娘に「死ね」と言うような現実を知る。しかし、もう取材の域を超えている。
 下地記者は、自殺しようと東尋坊までやって来た人に生活保護をふくめ親身に生活の相談に乗り、そこまで関わる。
 何とかして助けたいという人間としての関わりを感じる。できることではないと思う。
 こういう話の中から、下地記者の人間性の一端にふれた気がした。

 そして、「ネトウヨ」に流れる人たちについての話。
 オレは耐えている。お前もガマンせよ。
 孤独、怒り、虚無感から、他者への攻撃に走る。自己否定と他者否定は一体。
 彼らの心にひびく言葉は何か、と考える、という。

 この国の、この社会の“生きづらさ”を伝え、伝えることによって、どうすればいいのかを投げかける報道。また、日本は「何をしたのか」を伝える報道。
 それを下地毅記者は、朝日新聞というメディアの最前線で奮闘されている。「絶対、譲れないもの」をしっかりと持って。
 6月3日の下地毅記者の話は、私の心に強くひびいた。

 ◆ 次回の案内
 2018年グループZAZA・連続講座【第3回】【第4回】は、朝日新聞・中村尚徳記者の講演です。
 中村尚徳記者は『反骨の記録』を朝日新聞夕刊に2016年4月19日から6月24日まで42回にわたって連載されました。

 中江兆民、与謝野晶子、幸徳秋水、大石誠之助、宮武外骨、黒島伝治ら侵略戦争に反対した闘いを知らせ復権するものでした。
 『反骨』の闘いの歴史から学び、安倍政権の憲法改悪・再びの戦争に対してNOをつきつける闘いの道を考えたいと思います。

 【第3回】9月9日(日)2時〜 エル大阪・606号室 
   演題は、「なぜ『反骨』を書くのか、その今日的意義を考える」
 【第4回】10月8日(月)2時〜 エル大阪・南734号室
   演題は、「『反骨の記録』から考える憲法問題―改憲に抗うために」


『グループZAZA』(2018-06-06)
https://blog.goo.ne.jp/zaza0924/e/e6b557852c9c6e8b70f121aae0027790


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