今、教育が民主主義が危ない!!
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2008/5/13
「和田中「夜スペ」に杉並区住民58名が監査請求」
]その他
◎ 和田中「夜スペ」に杉並区住民58名が監査請求
しみずえいこ
2008年3月24日、東京都杉並区の住民58名が、杉並区立和田中学校が大手進学塾SAPIXグループを使って行っている※夜間塾経営(夜スペ)について、経営実態について監査を行うよう杉並区監査委員会に請求した。5月1日、請求者代表2名による意見陳述が行われたので、取材した。
住民側によれば、杉並区教育委員会は夜スペを「学校教育外の活動」として認めたが、この処置は「学校施設の目的外使用の禁止」(「学校施設の確保に関する政令」第3条)に反し、公共用財産である学校施設に私権の設定はできないとする「地方自治法」第238条の四第1項に違反しているとし、夜スペ事業の停止と、違法に便宜供与した財産に関する費用を管理責任者に損害補填させることを、杉並区に対して求めている。
(略)
◎以下、監査委員会・詳報
● 傍聴者20名、あの夜スペに住民が「異議あり」
意見陳述の当日、杉並区役所の8階・監査委員室には、傍聴者が20名ほど集まっていた。委員会前、職員は10名分しか椅子がないとして傍聴券を配布していたが、集まった人々から「立って傍聴します」という声が上がった。職員が「立って傍聴はできません。監査委員が落ち着かないので」と説明すると、「そんなことで落ち着きを失う監査委員なんですか?」という人がいて、筆者はちょっと笑ってしまった。情報公開と宣伝しているわりに、せっかく足を運んだ住民が委員会の傍聴もできないなんて。しかし声に押されたのか、結局、椅子が用意され、全員が傍聴できた。
● 「学校教育外活動」「塾と子どもの利害が一致」。だから夜スペはOK?
監査委員は、四居誠、向山清志、伊田明行、田代聡の4氏。その他、監査委員事務局の職員が同席。委員会が始まると、監査請求する住民の代表2名が、請求の主旨を口頭陳述した。
最初の代表者は、2007年12月9日に朝日新聞一面トップ「夜の学校の教室で、大手進学塾の指導が受けられます」をはじめ、新聞各紙による報道を皮切りに、報道に驚いて初めて動き出した杉並区教育委員会、文教委員会の動き、東京都教育委員会が「学校教育外の活動」として夜スペを許可することとなった2008年1月末までの経緯を説明した後、次のように述べた。
「SAPIX社は学校に乗り込もうと、『交通費と教材費を出してくれれば講師料は無料』というダイレクトメールを150通出しました。つまり、夜スペの始まりはSAPIXの顧客獲得戦略でした。これに対して杉並区教育委員会庶務課長は、『塾にとってもメリットがある、それから学校側、生徒側にとってもメリットがあるという中で、そういう意味で利害関係と申しましょうか、お互いの利害が一致した中で、じゃ、これを地域本部としてやっていこう』ということで進めてきたと答弁しています
(2008.1.25文教委員会)。
しかし、教育は長期に渡り子どもを『人格』として育てる営みであり、メリットや利害をすぐに計算できるものではありません。公立学校に利害や経済効率を至上命令とする企業理論を持ち込むことは、公教育の破壊です。教育は全人的なものとして行われるべきであり、成績を上げること、偏差値の高い学校に合格することのみを取り出して、企業論理に基づき子どもを儲けのターゲットとすることは、人間としての子どもを否定することと言えます。
そのことに気がついているからこそ、「つくる会」支持の大蔵教育委員、宮坂教育委員や与党会派の文教委員も批判的なのです。これは政治的な立場を越えた問題であり、人間の尊厳に関わる問題です。藤原前校長や山田宏区長は人間の尊厳に関して非常に低劣な意識しか持っていないと言わざるをえません。これが「夜スペ」の正体です。だから、適正な手続きを経ては実行できませんでした。「学校外」の取り組みと位置づけ、後追いで書類をでっちあげ、なんとか体裁を取り繕おうとはしていますが、こんなずさんなやり方を納税者として認めることはできません。」
2人目の代表者は、「杉並区在住の納税者であり区民である立場から、夜スペ許可は余りにいい加減な公共用財産の管理と目的外使用許可処分であり、区行政内部の規律とコンプライアンス無き業務に唖然としました」と述べ、次の項目の監査請求を行った。
<監査請求の項目>
1.和田中地域本部の実態監査
藤原前校長は、和田中地域本部は杉並区の公認団体であるとマスコミにも公言しているが、その根拠が情報開示請求によっても確認できない。監査請求人らが入手した唯一の文書は、「和田中地域本部連絡名簿」の1枚のみ。電話番号しか書いておらず、所属(企業か団体か)も居住地も保護者か地域住民か、あるいは学生かも不明である。税金を投入している以上、公的に審理・団体認可等書類が無くてはならないにも関わらず、団体の組織実態が不透明。適格性の厳重監査を求める。
2.目的外使用許可処分の規定、前例等の調査に基づく監査
目的外使用許可処分といういわゆる財産許可処分は、例外としての厳重な慎重審査があってしかるべき。しかし、当初から学校側も区教委側も全く審理の形跡が無く不当。区内の学校財産ではどのような前例があるのか?調査の上公表を求める。
また、和田中地域本部から申請(平成20年1月23日付け)を受け、区教委が許可した4教室等の使用料免除(全額)とは具体的にいくらなのか、監査を求める。本来、規定無く目的外使用許可の対象とならないはずであり、料金規定がないのに免除とはいかなる解釈なのか極めて不透明。学校教育外の活動であるSAPIX社及び和田中による夜スペ事業は独占禁止法に抵触している疑いもある。これらの観点から充分な監査を求める。
3.夜スペ事業の経理監査
目的外使用許可を与えた理由の中に「実費程度しかとらないから営利性がない」という非常識な暴論があるが、まずどのような実費計算をしたのか監査し、更に区教委の実費の基準、営利性の基準を具体的に監査結果として公表を求める。
● スーパーの半額セールは公益事業か? 夜スペは公益事業ではない
また、同代表者は次のように述べた。
「企業は営利活動を行う組織であり、マーケティング戦略として製品計画、価格決定、プロモーション、マーケティングチャネル(立地・商流)、物流計画などを通して利益を追求するものです。授業料(価格)だけを取り上げて実費程度だから営利性はないなどという初歩的な誤りは、産業界・企業社会ではこっけいであり、結論ありきのための杉並区教委にしかない論法にすぎません。
SAPIX社にとって、夜スペは経費ゼロのプロモーションです。たとえ無料授業としたり、更に受講生らに景品をつけたり、正規本講習の割引券を渡すと言っても、これらはマーケティングの一環であり、公益性ある社会活動でも何でもありません。スーパーの店頭で目玉商品に『通常の半値!』という表示があっても誰も公益事業をやっているとは思わないわけです」
● 質疑応答
陳述が終わると、監査委員より質問があった。
田代委員:
Q.和田中は英検対策授業もやっているが、これについては監査請求しないのか?
A.そちらで疑義をお持ちであれば、監査してください。
Q.和田中では年に3万7,000時間も補習授業を実施している。線引きが難しいのだが?
A.それを調査するのが監査委員ではないのか。なお、私たちは杉並区が行った財産許可処分に対し監査請求している。授業内容の良し悪しの判断を求めているのではない。
向山委員:
Q.請求の主旨は、費用弁償ということですね?呈示している金額を払えばいいのですか?
A.違います。措置請求として、そちらが費用弁償としてはいくらになるかと補正で求めてきたので、金額は呈示していますが、私たちが求めているのはお金ではありません。公共施設という区の財産の管理をきちんと行ってほしいということです。
四居委員:
Q.独占禁止法違反について述べていましたが、もう少し詳しく説明してください。
A.藤原前校長は、保護者への事前説明会で夜スペを「学校教育の一環だ」と説明した。ところがフタを開けてみたら「学校教育外の活動」。これは独占禁止法に禁じられている欺瞞的勧誘です。消費者である保護者には「学校だから安心」という安心感がある。夜スペはその安心感に依拠した塾のサービス商品だった。しかし、夜スペは「学校教育ではない」商品になった。景品表示法にも違反する不公正な取引ではないですか?何度も言いますが、夜スペは、放課後に地域のバレーボールチームが学校の体育館を使用するのとは違います。SAPIX社という私権の設定なんです。主催の主体は地域本部だと言いますがその実態は不透明です。たとえ住民であったとしても、公共施設への私権の設定です。入札はしたのかという話です。
最後に、監査請求の代表者は、「監査委員の方々には、マスコミによる和田中の宣伝にのせられないで、和田中の実態を調査し、区の財産管理をきちんとやってほしい」と結び、委員会は閉会した。
◎ 委員会後の傍聴者の集まりで
閉会後、傍聴者からは、あの監査委員たちできちんと監査ができるのだろうかという不安の声がいっせいに上がった。「請求人の請求している主旨を理解しているのか不安だ」「お金を払えばいいのかと言った委員がいたが、万引きをしたら返せばいいの? おかしな質問だった」「監査委員の給与は高額だ。区議会議員の監査委員(2名)は区議としての給料と政務調査費の他に監査業務のために月に15万円の手当てをもらっている。ちゃんと監査してほしい」。
そのほか、和田中に関する報告や疑問の声が相次いだ。
「地域本部と言っているが、町内会とうまくいっておらず地域とつながっていない」「和田中の地域本部のメンバーは、ほとんど校長が選んだ卒業生保護者のOG・OBで構成されており、選挙によって選ばれているのでもない。これで地域の声が反映されているといえるのか」「昨夏の和田中プール事故で意識不明のままの生徒は養護学校に転校になった。和田中だと事故ももみ消されてしまうのか」「夜スペの受講者は19名だったが、今年度の募集では40〜50名で大幅に増え、習熟度別クラスになるという」「ふきこぼれ対策なら、きちんと教員を雇ってやるべき。塾に無料で学校を使わせて、保護者が無償労働で支えるなんておかしい」
(以下略)
『JANJAN』 2008/05/04
http://www.news.janjan.jp/living/0805/0805036289/1.php
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