今、教育が民主主義が危ない!!
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2008/7/2
天窓事故の悲劇がおきた東京都杉並区。和田中でおきたプールの事故は、情報公開請求しているものの、区側が出し渋っているため、期限を延ばされています。全部そろってから記事にするつもりでしたが、大分で同じようなプール事故が起こってしまったため、今までわかっていることを記事にしました。プールの季節、もう2度と同じ事故が起こらないことを願っています。
● 事故は隠ぺいによって繰り返される ― 杉並の天窓転落事故とプール事故
渡辺容子
2001年10月、東京都立富士高校で当時高校3年生の男子生徒が天窓を突き破って転落し、約1ヶ月後に死亡していたことが分かりました。このことは6月23日の杉並区議会文教委員会で結柴(けしば)誠一議員の質問によって明らかにされたものです。
● 都教委の重大な責任
結柴議員は、都教委がこの事故について都立高校校長に口頭で注意喚起しただけで、市区町村教育委員会には報告しなかったことを、東京都教育委員会の重大な責任であると指摘しました。筆者は文教委員会を傍聴し、この事実を知り、JANJANに投稿しようかと考えましたが、市民記者の身分ですぐに都教委に確認を取ることはむずかしいと思っていました。情報公開請求などに時間がかかるからです。
すると、翌24日の東京新聞、毎日新聞の都内版に事実関係を明らかにした記事が出ました。
情報を隠したがる都教委も大手マスコミの取材にはすぐに応じるのだとわかりました(他紙については未確認)。
毎日新聞によると、都教委は市区町村教委に報告しなかった理由として、(1)通常想定しないケース、(2)小中学生とは発達段階の異なる高校生の事故 ― の2点を挙げ、文科省に対しても、こうした事故を報告する仕組みがなく、伝えていなかったとしたそうです。
都教委が市区町村教委にも注意を喚起して再発防止に努めていれば、今回の杉並の事故は防げたと思われます。都教委の責任が問われます。
● 大分で和田中プール事故に酷似した事故発生
6月23日、大分市立植田南中学校でプール事故がありました。1年生の女子生徒が意識不明の重体です。
この事故は昨年7月12日に杉並区立和田中学校で起こった事故に酷似しています。どちらも25mを泳ぎタイムを測定する授業での事故で、2人とも25mを泳ぎ切った後に意識を失っています。和田中の事故は、1年生男子が心肺停止状態になり、現在も昏睡状態ですが、事故は隠ぺいされ、一切報道されませんでした。
杉並区教育委員会が和田中の事故について全国の教育委員会に周知徹底し、注意喚起していたならば、大分の事故は防ぐことができたのではないでしょうか。
■ 和田中プール事故とは?(事故報告書より)
情報公開請求によって出てきた2007年9月12日付の教育委員会資料「区立中学校水泳事故に関する調査結果等について」による杉並区教委の見解を以下、簡単にまとめます。
3校時水泳の授業で25mを自由な泳法で泳ぎ、タイムを計測するもので、当該生徒はスタートを待つ間に「25mを息継ぎしないで泳ぐ」と周囲に話しかけたという複数の証言がある。当該生徒は5コースをクロールで25mを泳ぎ切った後、コースロープをくぐり6コースに移動、この直後に異常が発生し、「手をバチャバチャさせた」(目撃生徒談)後、仰向けになり、足を下方に脱力し浮遊する状態となった。
担当の主幹がプールに飛び込み、救助し、心肺蘇生措置後、救急車で東京医大病院に搬送した。救命救急センターにおける緊急医療措置の結果、心肺機能は蘇生したが、昏睡状態のままである。
■ 東京医大病院の医師による所見
「原因としては、一つは、広い意味での『窒息』がある。少量の水でも『咽頭痙攣』により窒息することがある。また、何らかの原因による『不整脈』(ただし心筋梗塞、心筋症ではない)が考えられる」
学校及び教師の指導や事後対応に問題がなかったか。
(1)施設・設備の瑕疵は認められない。
(2)一連の指導において基本的には安全への配慮は果たされていた。
(3)事故後の対応は学校としてできる限りの行動がとられた。
今後次の改善に取り組む必要がある。
(1) 最近の水泳事故例を踏まえ、長時間息継ぎをしないで泳ぐことに起因する「ノーパニック症候群」に関する注意喚起を、潜水等の計画の有無にかかわらず安全指導の内容に含める。(「ノーパニック症候群」とは潜水等により、血液中の酸素濃度が低下することによって意識が喪失し、意識喪失において生じる呼吸の反射によって、溺水に至る危険を起こす状態を言う)
(2) 中学校における水泳指導の充実と監視の強化のために、現行体制を見直し、指導体制を拡充する。万一の事故に備え、AEDについては、プールサイドに移設する等、設置場所を工夫する。
事故再発防止に向け、次の取り組みを行った。
(1)水泳指導の充実と監視の強化のために、中学校の水泳授業に対して指導補助員を配置
(2)8月30日に、すべての小中学校を対象とした「水泳指導にかかる臨時連絡会」を開催し、安全指導を行った。
● 事故報告書は真実か?
ここまで、教育委員会資料を簡潔にまとめましたが、ここに書かれたことが事実であるかどうかには疑問があります。当該生徒が「仰向けになり、足を下方に脱力し浮遊する状態」になった時に救助したのかどうか? 生徒を発見したのは誰なのか? 報告ではこの時点で主幹が発見したかのように書いてありますが、仰向けに浮遊した状態で救助したなら、心肺停止には至っていなかったはずです。
大分の事故では別の生徒が深さ1.2mの底に沈んでいるところを発見したと報道されています。どちらの授業でもタイムを測定していたため、教員の目はそちらに向いていたのではないでしょうか? 和田中の地元では、学校は生徒たちを当該生徒のお見舞いにも行かせないという噂があり、目撃証言も違っています。「口外するな」という緘口令が飛び交うだけで、まじめに原因究明する気がなかったこともわかっています。
当該児童は昏睡状態のまま、藤原和博元校長によって和田中から籍を抜かれ、区立済美養護学校に異動させられました。保護者の希望ということですが、誰が自分の子どもの籍をあえて養護学校に異動することを自分から希望するでしょうか! 親は子どもがいつか治ると信じているものです。
● 重大事故の隠ぺいによって事故は繰り返された
この事故について杉並区教委は杉並区立の小中学校に注意喚起したにとどまり、新聞報道もされませんでした。大分の事故では業務上過失傷害の疑いもあるとみて、警察が捜査し、大分市教委が安全管理徹底を指示したことを翌日も報道しています。この対応の違いはどこから来ているのでしょうか。事故の教訓を生かすことのできなかった杉並区教委の責任は重大です。
筆者は隠ぺいされた和田中のプール事故を知る杉並区民として責任を果たしたいと思い、またこのような、防げたはずの事故を二度と起こしてほしくない思いで、マスコミの記者たちにぜひ取材、報道してほしい旨、手紙やメールでお願いしています。教育委員会が隠ぺいしたとしても、マスコミは子どもの命を守るために教育委員会の閉鎖性を告発し、真実を明らかにして報道し、二度と同じような事故が起こらないようにする責任があります。
杉並区では2年続けて重大事故が起こりました。「夜スペ」などでマスコミを賑わし、いい気になって、肝心な子どもたちをないがしろにしてきたツケが回ってきたのでしょう。ここに明確になった杉並区の教育「改革」の正体をマスコミは見抜くことができるのか? 「子どもの命」という最も重大なテーマについてどれだけ報道できるのか、マスコミの良心が問われています。
『JANJAN』 2008/06/28
http://www.news.janjan.jp/area/0806/0806260622/1.php
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