今、教育が民主主義が危ない!!
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2008/10/16
「あの藤原和博氏が杉並・和田中で行った本当のこと」
]その他
◎ あの藤原和博氏が杉並・和田中で行った本当のこと
〜独断専行と公教育の破壊
渡辺容子
東京・杉並の和田中の校長に就任した藤原和博氏は、「夜スぺ」などでマスコミの話題を集めたが、保護者との関係や教育のあり方などで実に様々な問題を起こしてきた。しかしマスメディアは、そうしたことにはほとんど触れない。地元住民の1人として見た藤原氏の「改革」の実態、「教育への姿勢」を報告する。
藤原和博氏は2003年度に東京・杉並区立和田中学校に民間会社「リクルート」出身の校長として鳴り物入りで登場しました。それ以来、「よのなか科」、有名人による「特別授業」、地域本部(学校支援本部)の立ち上げ、土曜日に補習授業を行う「ドテラ(土曜日寺子屋)」、民間の塾との提携による「夜スペ」と、いわゆる「改革」を次々に行ったとされます。しかしその実態はどうか? 地元住民の1人としてお伝えします。
1.地域本部の実態
● 藤原前校長の取り巻きを集めた地域本部、その不透明な会計
文科省は和田中の地域本部(学校支援本部)をモデルとし、全国の学校に学校支援本部を作るため、今年度50億円の予算を組みました。でも、和田中地域本部が全国のモデルにふさわしいとは到底思えません。情報公開により入手した唯一の文書は、「和田中地域本部連絡名簿」1枚のみで、校長と事務局長の名前といくつかの担当名(例:地域本部会計、安全管理、顧問など)が残っているだけで、まっ黒に墨塗りされています。
藤原前校長は、地域本部は杉並区の公認団体であると公言していますが、団体認可等の書類もありません。出来てから約4年間、規約もなく(夜スペ開始の直前に必要に迫られ、後追いで作成)、メンバーは藤原前校長の独断で任命され、任期も不明瞭で、校長の意向通りに動く「取り巻き」を集めたというのが実態です。区から補助金が約560万円出ており、区議会議員が決算報告の開示を要求しましたが、未だなされていません。
和田中地域本部は出来てから会計報告が全くなく、この7月に初めて和田中地域運営協議会の席上、「決算のようなもの」が出されました。「のようなもの」というのは、そこに書かれているのは公費と私費に分けた収支だけで、明細が一切ないからです。領収書もありません。
昨年度の収入は、なんと1,677万円もあるのに、何に使われたのか、何もわかりません。198万円の収支差益が出て、今年度に繰り越していますが、もとは保護者から集めた受講料なので、余ったら返還すべきものです。驚くべきことに、地域本部には会計監査もなく、千万円台の大金をこのようにずさんに使っているのです。この不透明な会計については、区議会でも取り上げられています。
現在、藤原氏の信任厚い地域本部長は、この「使途不明金」問題で学校運営協議会から不信任され、代わりに元伊藤忠のサラリーマンで現・土曜寺子屋の校長をしている人物が地域本部長に選ばれました(藤原前校長と代田現校長はこの更迭に強く反対したが、学校運営協議会で決定された)。ごく一部の特定の人間が多額のお金を管理、運営することにより、いわゆる個人流用が疑われており、この不信任劇に見られるように「校長の取り巻き」による地域本部のあり方そのものが問われています。
● 学校選択制による地域の破壊
それ以前の問題として、和田中には実質的な「地域」がありません。杉並区では隣接する学校への学校選択制が敷かれており、特に和田中は特別に杉並全域から希望してよいことになっており、特別なカラー刷りのパンフレットもあります。予算面で優遇されているのです。その結果、以前の学区域からの生徒が3分の1、杉並区内の生徒が3分の1、区外からの越境入学が3分の1となっています。藤原氏は「地域を大事に」と唱えていますが、こんな状態で「地域」と言えるのでしょうか。
和田中の隣接地域の町内会長は、新聞に夜スペ反対の投書をし、掲載されました。地元町会は地域本部には入っていません。その代わりに地域本部とは別組織ですが、学校運営協議会に「協力企業」として藤原氏と個人的に関わりの深いゲームソフト会社やIT企業が名前を連ねています。藤原氏は地元の町会よりも企業との関係を重要視しているのです。もともとあやふやな「地域」ですが、これではますます「地域を大事に」しているとは思えません。
最近、東京都江東区や群馬県前橋市で、子どもと地域との関係の希薄化とともに、児童生徒数の偏りによる教科指導や部活動への支障が懸念される、などとして学校選択制が見直されました。学校支援本部立ち上げに予算をつけた文科省も、学校選択制の中で「地域」を大事にすることが可能かどうか、まじめに考えてほしいものです。
2.公教育の破壊
● 公教育の市場開放は政府の方針
2000年に政府の「21世紀日本の構想」懇談会の報告が出ていますが、その中に次のように書いてあります。
―広義の教育における国の役割は二つある。一つは、主権者や社会の構成員として生活していく上で必要な知識や能力を身につけることを義務づけるものであり、もう一つは、自由な個人が自己実現の手段を身につけることへのサービスである。つまり、「義務として強制する教育」と「サービスとして行う教育」である。
(略)
例えば、初等中等教育では、教育の内容を精選して現在の5分の3程度まで圧縮し、週3日を「義務としての教育」にあて、残りの2日は「義務としての教育」の修得が十分でない子どもには補習をし、修得した子どもには、学術、芸術、スポーツなどの教養、専門的な職業教育などを自由に選ばせ、国が給付するクーポンで、学校でもそれ以外の民間の機関でも履修できるようにすることが考えられる――。
和田中はまさにこの報告書にある考え方に基づき、国家として責任を持つ公教育を削減し、市場開放する方向に進もうとしています。少子化の現在、営利企業の一つである塾にとって、顧客獲得合戦は生き残りをかけた熾烈なものです。(略)
● 企業論理を持ち込んで公教育を破壊
(略)
もう一つ、日本の教育にとっての重大な変換を指摘したいと思います。この社会には少し前まで、受験戦争は子どもたちにとって決して好ましいものではなく、できるだけ緩和すべきである、という教育理念がありました。しかし現在では、私立中学受験のため小学生も熾烈な競争に巻き込まれるようになり、いつの間にかそれを当たり前とする社会になってしまいました。そのため、和田中のみならず公立学校に塾を入れ、受験のために成績を上げることを公立学校の一部で率先して行うようになりました。受験戦争への問題意識を捨て、競争して(受験のための)成績を上げることは当然のことだ、と社会が認めたということになります。これは子どもたちにとって、非常に大きな教育理念の変換です。
● サピックスへの利益誘導
杉並区は「実費程度しか取らないから営利性はない」として目的外使用を許可し、公立学校施設を1企業であるサピックスに無料で貸与しています。しかし、住民監査請求の監査結果でも、「私塾の主観的意図はどうであれ、客観的には私塾の本事業への関与は営利事業として行われているとみることが妥当である」としています。(略)
3.プール事故の隠ぺいと過剰すぎるマスコミへの露出
和田中では2007年7月にプール事故があり、1年生男子生徒が意識不明の重体になって、しばらくの間、植物状態でした。現在、意識は回復しましたが、養護学校の訪問学級在籍です。このような重大事故を、藤原前校長に傷をつけまいと、杉並区は徹底的に隠ぺいし、事故調査委員会さえ作りませんでした。事故報告書も紙1枚のズサンこの上ないものしかありません。
その後、大分県でも同様の事故が起こっています。杉並区長、藤原氏は子どもの命をなんと心得ているのでしょうか。区民はこの重大事故について取材、報道するようマスコミ各社に訴え続けましたが、現在に至るまで報道はありません。ちなみに、今年起こった同じ杉並の小学校の天窓転落死亡事故では校長と担当教員が、是非はともかく、刑事告発されました。藤原氏はここでも特別扱いされているのです。(略)
4.低い地元での評価
和田中についてはマスコミが大きく取り上げ、絶賛したので、それを見たり読んだりしている限り、本当の改革であると錯覚させられても不思議ではないと思います。しかし、地元・杉並での評価はいたって低く、「つくる会」支持の教育委員や与党会派の議員の間でも藤原氏の評判は芳しくなく、酷評されていると言っても過言ではありません。夜スペ開始にあたっては、野党会派はむろん、与党会派の議員からも次のような疑義が出されました。夜スペに賛成した文教委員、教育委員はゼロでした。
・富本委員(自民党) 新聞報道で先に知って、文教委員会では初めて報告された。教育委員会が平等とか機会均等という視点を持ってチェックすべきである。その上で学校や地域の自主的な取り組みを重んじるというスタンスがあるのではないか。それがないように見える。厳しく言えば教育委員会が藤原校長に引きずられている。(略)
・青木委員(公明党) 富本委員とだぶらない点について。マスコミ発表は必要なかったのではないか。藤原氏の実践にはよい点もあるが、マスコミ優先、報道優先で子どもが利用されている部分もあるのではないか。子どもや保護者はどう思っているのか?(略)
・小川委員(民主党) (略) 今回のことについて和田中の先生は全員が賛成したということだが、反対の先生もいたが言えなかったという話を聞いている。学校選択制があるために、生徒が減らないよう、次々にいろいろなことを始めているという、うがった見方もあるようだ。また、和田中に集まってくる子どもだけをよくすればいいと考えているとも見られているようだ。夜の安全対策は区としてどう考えているのか。和田中だけやって隣の中学はどうなるのか。公教育なのだから地域が同じスタートラインに立ってやらなければならない。
(3氏の発言は2008年1月25日の文教委員会で)
(略)
和田中の地元では、仕方なくついていってはいるものの、辟易としている保護者もいて、春には和田中の保護者が区内の全小中学校PTA会長宛てに匿名で内部告発の文書を送り、PTAの間で話題になりました。また、和田中の教員は藤原氏の「改革」を全く評価していません。和田中から異動したいという教員が多くいます。
5.まとめ
(以下略)
※全文は下記から
『JANJAN』 2008/10/10
http://www.news.janjan.jp/culture/0810/0810089013/1.php
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