2009/8/28

国民審査を受ける9人の最高裁裁判官の横顔(後)  
 <司法の独立と民主主義を守る国民連絡会議リーフレットから>
 ★ 最高裁を憲法と人権の砦に変えよう!
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 【竹内 行夫】(たけうち ゆきお)
  62才 第1小法廷 行政官出身
  2008年10月21日任命 2013年7月19日定年
  1966年 京都大学卒。67年外務省入省。
● 90年代日米防衛協力ガイドライン見直し時に条約局長。インドネシア大使などを経て、02年から05年まで外務事務次官。事務次官在任中に小泉政権下でアメリカのイラク戦争を支持、03年に航空自衛隊、04年に陸上自衛隊のイラク派兵を進めた。
● 最高裁では、小法廷で、福島県青少年健全育成条例が、有害図書の「自動販売機」への収納を禁止し、その違反に対し刑罰を科することが憲法21条、22条1項、31条に違反するのではないかと争われた事件(註9)につき、合憲判決。


 【竹崎 博允】(たけさき ひろのぶ)
  62才 第2小法廷 裁判官出身
  2008年11月25日任命 2014年7月7日定年
  1967年 東京大学卒。69年判事補。東京高等裁判所事務局長、最高裁判所事務総長、名古屋高等裁判所長官、東京高等裁判所長官などを歴任。
● 09年5月に実施が予定されている裁判員制度の導入に向けて、積極的役割を果たしてきた。最高裁判所判事に任命されると同時に最高裁判所長官に異例の就任。
● 最高裁では、小法廷で、福島県青少年健全育成条例が、有害図書の「自動販売機」への収納を禁止し、その違反に対し刑罰を科することが憲法21条、22条1項、31条に違反するのではないかと争われた事件(註9)につき、合憲判決。



 【金築 誠志】(かねつき せいし)
  64才 第1小法廷 裁判官出身
  2009年1月26日任命 2015年3月31日定年
  1967年 東京大学卒。69年判事補。最高裁人事局長、東京地裁所長、司法研修所長、大阪高裁長官などを歴任。
● 最高裁では、小法廷で、警察庁が新潟県警本部長に送付した通達文書に記載された情報の一部について、その公開は犯罪の捜査等に支障を及ぼすおそれがあるとして、公開すべしとした原判決を破棄して不公開を認める(註8)。

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註5.
 日本に永住帰国した中国残留婦人が、早期帰国の措置や帰国後の十分な自立支援を受けられなかったとして、国に損害賠償を求めた訴訟。中国残留孤児の男性が起こした同様の訴訟が、同じ日に第2小法廷で上告棄却(原告の請求棄却)判決。(09.2.12)

註8.
 警察庁が新潟県警本部長に送付した凶悪重大犯罪等に係る出所情報の有効活用等を要請する通達文書に記載された情報のうち、提供する情報の対象者を限定する罪名、出所事由に係る情報、当該出所情報の活用方法に係る情報について、不公開とした県警本部長の処分に対し、被上告人がその取消しを求めた事件。(09.7.9)

註9.
 客が18才未満であるかを判定するための監視センターに設置されたモニターによる監視機能を備えていたとしても、対面販売の実質を有しているということはできず、「自動販売機」に該当する。福島県青少年健全育成条例が、有害図書の「自動販売機」への収納を禁止し、その違反に対し刑罰を科することは青少年の健全な育成を阻害する有害な環境を浄化するために必要やむを得ないものであって、憲法21条、22条1項、31条に違反するものではないと判断した判決。(09.3.9)


■国民審査とは…

 私達の憲法は、立法、行政、司法の三権分立を大原則とし、相互にチェックしながら平和・民主主義・基本的人権がきちんと守られるように組み立てられています。立法は国会(衆、参両院の議会)が、行政は内閣が、司法は裁判所がそれぞれ担い、特に、裁判所には、違憲立法審査権が認められ、「人権の砦」の役割が課されています。
 裁判所の頂点に立つ最高裁判所の裁判官人事(定員15人)は、内閣が独占し(任命。長官だけは政府が指名して天皇が任命する)、この最高裁が全国の下級裁判所裁判官に対する人事権を握る仕組みになっています。
 最高裁裁判官の人事が時の政府に独占されるのでは、政府や行政、政治に影響力を持つ政治勢力に事実上迎合し、あるいは、国民の常識から大きくかけ離れた判決を下すような最高裁にならざるを得ません。
 かつて、自民党内閣は、最高裁裁判官を恣意的に入れ替えて政府に有利な判例変更を図ったり、司法への介入を疑わせる行動を行なった例が少なくありません。これでは、最高裁は、「人権の砦」、「護憲の府」としての本来の役割を果たすことは期待できません。
 そこで、事後的ですが、憲法第79条は、政府による最高裁の裁判官人事に問題がないか否かを審査し、不適格な裁判官を罷免(辞めさせる)する権利を主権者である国民に保障し、これを具体化するために国民審査制度が設けられたのです。

■骨抜きと活性化…

 しかし、昭和27年2月、最高裁自身が、この国民審査は裁判官を辞めさせるか否かを決める制度であるから、「×」印をつけたい投票者だけを明らかにすれば足り、「何も書かない」票を全て信任扱いして良いとの判例を出し、国民審査制度を骨抜きにしてしまい、そのままこの判例にそくした制度運用が踏襲されてきました。
 現行憲法の下で、過去20回の国民審査が実施されましたが、審査対象の計148名の裁判官で罷免になった者は一人もいません。制度自体が最高裁の判断で空洞化され、国民審査無用論まで公然と叫ばれている始末です。
 そこで、私達は、1970年に入ってから現在まで、各界の皆さんとともに、国民審査をあるべき制度として活性化させるために、政府が選んだ最高裁裁判官に関する情報を国民に十分開示するとともに、投票したくない、または判断できない有権者には棄権の自由を保障すること、早急に国民投票法を改正して「○×」式投票にすること一などを求め、粘り強く運動をしてきました。
 私達は、事前には国民的チェックのないまま秘密裏になされる最高裁裁判官人事を厳密に審査するだけでなく、最高裁の親与党的・反人権的体質や姿勢を裁くまたとない機会として重視し、主権者の意思を正しく反映した国民審査制度の実現を目指していきたいと考えています。

■問題点と×印票…

 現行の国民審査は、くじ引き順に告示された対象裁判官名(多い時には10名にものぼることがある)を1枚の投票用紙に印刷し、個々の裁判官の氏名上欄ごとに、「×」をつけるか、何も書かない(無記載)かして投票箱に入れる仕組みです。
 この制度の最大の問題点は、「×」記載か無記載かしか許されず、無記載票は「信任」票とみなすこと、言い換えれば、「何も書かない」投票を「信任」したものと擬制する仕組みです。
 棄権したい者や、対象裁判官のことをほとんど知らない者、信任に値するか否か判断できない者も、「何も書かないで投票」した場合には、全て信任したものとみなされるのです。もちろん、最初から、投票用紙を受け取らないか、いったん受け取っても、投票したくない場合には、係員に返すことも認められています。
 この書き方や対応を間違えて、用紙全体に×、Oをつけたり、記入欄が正確であっても、「○」、「△」などを記載しますと、その投票全体が無効になされます。
 これまでの審査結果では、対象裁判官の平均値の最高では、投票総数のうち×印票が12.95%(第9回)、無効票が9.86%(第8回)の記録が見られますが、私達は、国民審査をより意義あるものにするため、対象裁判官に関する様々な情報を可能な限り有権者に伝えることを前提に、最低でも、1000万台の×印票、そして、棄権の自由を徹底して2000万台の棄権票を目標に運動をしてきました。

『司法の独立と民主主義を守る国民連絡会議』
http://www.jdla.jp/kokuminshinsa/2009shinsa.html


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