● ロータル・マハタン (2002) 『ヒトラーの秘密の生活』 文藝春秋
>>> Lothar Machtan (2001), Hitlers Geheimnis, Alexander Fest Verlag, Berlin
【珠玉の名言★引用】
◆ (p.1) 「本書はヒトラーの伝記ではない。本書はむしろ、今後ヒトラーの伝記が再考されることを促すために書かれたものである。本書がテーマとしているのは、ヒトラーの私生活、なかでもその要といえる部分である。ヒトラーが同性愛者であったという事実を証明し、この事実を知ることが、ヒトラーの人格とその経歴を理解する上で不可欠であることを論じることが本書の狙いである。」
◆ (p.2) 「そこから浮かび上がるのは、自らのホモセクシュアリティを完全に否定することもできず、かといって真に体験することもできない男の姿である。ホモセクシュアリティという烙印を隠すと同時にそれを利用するために、借り物のアイデンティティとポーズに身をまとった俳優の姿である。生涯にわたって脅迫者と戦うことを余儀なくされた、後ろ暗い過去を持つ男の姿である。自らの性的指向が世間に漏れることを、何としても阻止しようとした男の姿である。」
◆ (p.415) 「1945年春、破滅が迫ったとき、ヒトラーは自己の根本問題に再び直面せざるを得なくなった。再び、自己を偽りカムフラージュする必要に迫られたのである。それには、自殺と遺体の焼却処分だけでは不十分だった。個人的書類および押収した書類の破棄によって、エヴァ・ブラウンとの結婚によって、遺言によって、そして何より、彼が引き起した際限のない破壊行為によって初めて、彼は私人としての自分の特徴を消し去ることに成功したのである。」
《訳者あとがき》〈ヒトラーは、友人との親密な交際、家庭生活での団欒の体験を欠き、個人生活の内容は貧弱で、あった〉(平凡社世界大百科事典)というのが従来のヒトラー観だとすれば、本書の描き出すヒトラー像はまさにそれを覆すものである。本書はまた、国家社会主義運動自体に濃密に漂っていた同性愛的な雰囲気をも見事に描き出している。
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