【ウエストミンスター寺院でのウイリアム王子とキャサリン妃の結婚式におけるロンドン主教の説教】
「神が意図されたあなたになりなさい。そしたら、あなたは世界に火を灯すでしょう」
そうシエナの聖カタリナは言いました。今日、その聖女の祝日です。結婚とは、男と女が互いに助け合って、神が意図されたとおり、深い、本当の自分に、お互いがなることです。
こんにち多くの人が世界の将来に恐れを抱いています。しかし、この国が、世界が祝う今日の結婚式のメッセージは、まさに喜びの日です。五大陸すべての人が今日ともに喜ぶことができるのは、素晴らしいことです。なぜなら、どの結婚式もみな、希望の日であるからです。
ある意味において、どの結婚式もみな、ロイヤル・ウエディングであり、どの新郎新婦もみな、王となり女王となって、二人いっしょに力を合わせ、新しい命を生み出し、二人を通して命が未来へ流れ出るのです。
ウイリアムとキャサリン。あなたがたは恵み深い神によって結婚するよう選ばれました。神は、イエス・キリストの人格を通してご自身をお与えになるほどに、世を愛されました。
恵み深い神の御霊において、夫と妻は互いに自分自身を与え合うのです。
霊的な生活は、自己を超え出たところに愛の中心を見出すことによって、成長します。誠実で献身的な関係が、霊的な生活の神秘へと扉を開きます。そこにおいて見出されるのは、これです。自己を与えるほど、魂は豊かになること。愛において自己を超え出るほど、本当の自分になり、霊的な美しさが現わされること。結婚において、われわれはお互いを、全き命へともたらすのです。
もちろん、自己中心的な習い性から遠ざかるのは、容易ではありません。それができたらいいのに、と人々は夢見ます。しかし、厳粛な覚悟を抜きにして、実現はできません。たとえどんな困難があろうと、恵み深い愛において、お互いに身を献げよう、という覚悟です。
あなたがたは、そのことを「いたします」と覚悟しようとしています。あなたがたがこの新しい関係に入ることは、命は霊的に進歩するものであり、人類を創造的な未来へと導くものだと信じることを、意味します。
われわれは、希望と危険に満ちた新しい世紀に向かっています。人類は、20世紀の発見を通して得た力を、いかに賢く用いるべきか、いま課題に直面しています。未来を希望へと転換するのは、知識ではありません。むしろ、愛に満ちた知恵と敬意を、命に対し、地球に対し、お互いに対し、増すことによるのです。
結婚は、夫と妻が互いにいそしむ芸術として、変革して行くものです。この変革は、相手を変えてやろうという野心を抱かないことによってのみ、可能となります。御霊が流れるとき、強制はそこにありません。お互いが、相手に場所と自由を与えねばなりません。ロンドンの詩人チョーサーは、これを短い言葉で表わしました。
「支配者が来ると、愛の神はすぐに
羽根を広げ、さよならを言い、去ってしまう」
西洋では多くの人々の生活から神の実感が消え去りました。そうして、人間関係だけが人生に意味と幸福をもたらすことができるのだという、お互いへの過剰な期待が高まりました。これは、相手に負い切れない重荷を負わせることになります。われわれはみな不完全です。われわれがみな必要としているのは、ゆるがない愛であって、抑圧ではありません。われわれは共に繁栄するために、互いに赦し合うことが必要です。
われわれがイエスキリストの模範にならって相手を愛そうとするとき、聖霊がわたしたちのうちにあって促してくださり、われわれの命を光で満たしてくださいます。これが家庭生活を導くとき、次に生れる世代に最良の環境をもたらし、彼らは賜物を受けて恐れと分裂に打ち勝ち、愛と喜びと平和の実を結ばせたもう聖霊の新時代を温めて行くのです。
わたくしは願います。列席の人々全員、そして、今日この結婚式を見守り喜んでいる何百万もの人々が、その持てる力を尽くして、あなたがたの新生活を助け支えることができますように。わたくしは願います。神が、あなたがたの選んだ人生の道を祝福したもうように。この願いを、今日のために用意された祈りを通して表わします。
父なる神よ。われらの家族のゆえに、結婚をとおして分かち合われる愛と喜びのゆえに、あなたに感謝します。
日々の多忙な歩みにあって、われらの目を、人生において真に大切なことにしっかり留めさせ、時間と愛とエネルギーの用い方において、われらが恵み深くあることができますように。
結婚により強められることによって、われわれが苦しんでいる人々に奉仕し、慰めをもたらすことができますように。
イエス・キリストの御霊によってお願いいたします。アーメン
結婚式次第(PDF)