聖書 ルカ10:25-37
1.わたしたちは周囲に壁を作って生きています。目に見える物理的な壁を作る場合と、目に見えない精神的な壁を作る場合があるでしょう。
2.壁を作ってその中で生きるわけは、自分を危険から守り、安全と安心とを確保したいためです。壁のない家で過ごす不安を想像してみてください。
3.世界で最初に壁を作って生きた人は、創世記に出てくるカインという人物です。弟を殺す罪を犯したカインは、敵の復讐から逃れるために、壁のある町を作り、その中に住んだ、と聖書は記しています。
4.壁が与えてくれる安全と安心とが、あまりにも確かなものであるがゆえに、わたしたちは、壁に閉じこもってしまい、壁を越えて生きるのが非常に難しくなることが、往々にしてあります。
5.目に見えない精神的な壁には、人種の壁、民族の壁、出自や門地の壁、身分や階級の壁、グループや派閥の壁があります。アメリカ合衆国では1965年まで、アパルトヘイト(人種隔離政策)が南部諸州で行われていました。ついこのあいだのことです。この「目に見えない壁」を越えることが、いかに難しいことであったか。壁を越えるために、どれほど大きな犠牲が払われたか。歴史が物語っています。
6.今日の聖書箇所の「壁を越えられなかった人物」は、自分の職務上・立場上の制限に縛られて、そこに倒れている人を手助けすることが出来ませんでした。
7.対称的に、「壁を越えた人物」である良きサマリア人は、そこに、歴史的に根深いユダヤ人とサマリア人という人種の壁が存在していたにもかかわらず、深い同情心のゆえに、心の壁を越えて行動することが出来たのです。
8.心の壁を越えて生きることを可能にする深い同情心を、わたしたちも持つために、秘訣が二つあると思います。第一は、助けを必要とする人の中に、十字架を負っているイエスの姿を見ることです。第二に、イエスがわたしを受け入れてくださったことを思い起こして、イエスのゆえに、わたしも他者を受け入れようとすることです。
2005年8月21日(日)三位一体後第十三聖日
説教要約
説教者 山谷 真 少佐