映画『キャタピラー』は壮絶!な映画でした。
若松孝二監督の映画は2年前の5月に同じフォーラム山形で見た、2008年ベルリン国際映画祭最優秀アジア映画賞を受賞した『実録・連合赤軍』以来だ。その時も同じく監督の舞台挨拶付きの映画だったが、今回は若松監督と一緒に舞台に立ったのは2010年ベルリン国際映画祭最優秀女優賞を受賞した女優の寺島しのぶ。
上映会場には多くの30〜40代の女性の姿が目立つ。たぶん多くの方々は女優・寺島しのぶを見に会場に来たものと思う。彼女は以前に渡辺淳一の『愛の流刑地』の映画化で冬香の役をやっていて「女としての存在感」のある女優さんで密かなファンでした。
寺島しのぶファンとして見に来た方々はどんな気持ちであの映画を見ていたのでしょう… 若松監督なんてたぶん眼中に無く?もちろん監督の免疫?すら持っていない多くの会場にいた女性たちはどんな思いで映画を見ていたことでしょう…
それほどまでに本当に壮絶な映画だった。
「究極の反戦映画」とか「戦争は恐い、今も同じことが繰り返されている」と口で言うのは簡単だが、あのように圧倒的な適役とも言える寺島しのぶの演ずるスクリーンを見ていて、戦争への怒り、戦争の悲惨さ、そのなかでの男と女の葛藤など、正直なところ怒りや悲惨さに対して涙する間もないくらい映画に圧倒されてしまった。
「軍神」を演じた大西信満も『連合赤軍』での板東國男の役以来で、寺島しのぶと同じく壮絶な「もがき」は圧巻だったし、クマさんこと篠原勝之の演ずる役柄も戦争を思う適役だった。
世界三大映画祭と言われるベルリン国際映画祭で何度受賞してもなかなか国内での映画配給網にのせてもらえない若松監督作品。
今回はベルリン映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)をあのかつての左幸子、田中絹代から35年ぶりの日本人女性の受賞ということで多くの会場で上映されることを期待したい。
ここ庄内では8月28日(土)より
鶴岡まちなかキネマにて上映されるようです。
ぜひ多くの方々に見てもらいたいと思う。
ただし、「
忘れるな、これが戦争だ」と叫び続けている若松孝二監督作品だとお忘れなく。当日の夕方からはイルカの殺りくで上映騒ぎのあった『ザ・コーブ』も見て来るはずでしたが、一本目にあまりに圧倒され早々に酒田に帰ってしまいました。
最後に、1985年にヴァイツゼッカー元ドイツ大統領がドイツの敗戦四十周年にあたって行った演説の中の言葉を思い出しました。
「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目になる」