8才の未来(みく)は、いつもお話をしてくれる、お祖父さんが大好き。いちばんのお気に入りは魔法でネコに変えられたお姫さまの話。何度聞いても涙ぐむ未来でした。他には人に化け、うどん屋になったタヌキの話も大好きな未来でした。
ねえねえ、お祖父ちゃん、何かお話して!
そういって未来は新聞を読むお祖父さんの首にしがみついた。
そうだな、なにがいい?
運動会とイワシ雲
俺、運動会嫌いだった
学生の頃、友人Kが言った。
それは苦手な経済原論の試験が有った日
私がkに借りた経済原論のノートを返しに
行った時だった。
お礼の積もりで途中の酒屋で買ったレッドを
2人で飲み、少し酔いが回り始めた頃彼は
ポツリと言った。
8つの時両親が離婚して俺は母親に引き取られ
2つ下の妹は親父が連れて行ったんだ。
悲しそうに話す彼。
何のきっかけも無く唐突に話し始めた彼に
少し面食らったものの普段は何を言っても
笑顔で聞いているだけの彼が噛みしめるように
話す姿は何時もと違っていた。
俺の母親は土曜も日曜も無い夜の仕事で
もちろん運動会の日も昼間は家で寝ているんだ。
だから弁当なんてありゃしないから家に帰って
食べるのさ。家で昼食を取ると何時も切なくなって
学校には戻りたくないから午後からはサボる。
或る日、家に向かって駈けていた時真っ青な空に
無数に浮かんでいるイワシ雲を見た時何だか泣けて
来たのを思い出した。
彼はそう言うと一気にグラスを飲み干した。
彼は今当時の彼と同い年の大学生の息子が居る
偶に遊びに行くと何時も息子の運動会のビデオを
見せられたものだ。
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