バキュームカー3台で運んだ牛や豚の糞は長岡市内の化学工場に持ち込まれて加工されました。
たった、これだけ!?
お祖父さんはテーブルの上に置かれた直径30cmくらいのステンレス製のボウルに山盛りにされた硝石を見て言いました。
チリ硝石だと加工し易いんだが、こいつは結構難物だ
お爺さんが腕組みをしながら言いました。
しかし今時こんなものを『欲しい』なんて奴の気が知れないがね
加工した工場の技師長さんが呆れ顔で言いました。
こんなものタダで作る奴の気も知れんな!
お爺さんが言うと2人は顔を見合わせて笑いました。
2人は高校の同級生です。
ひと月後3個の花火が出来上がりました。
その夜、早速川原で実験です。
ヒュルヒュル〜 ……
パン!
花火は夜空で赤い輪を一瞬広げると直ぐに消えました。
それは歪んだ非常にブサイクな『だ円』でした。
品質のいいチリ硝石や高価なマグネシウム・銀などを使えば色や形を綺麗に整えるのは簡単です。
でも、それは、お爺さんの職人としての向上心をかき立てません。
こいつは厄介だな!
お爺さんは、そう言うとニッコリ笑いました。
全くだ
技師長さんも笑いながら言いました。
それからも何度か未来の村から糞を採取したバキュームカーが長岡市まで往復しました。
9月・10月と「あっ!」という間に過ぎました。
そして10月も下旬の或る日、突然の地震で新潟県の町や村が破壊され多くの人が亡くなりました。
化学工場も花火工場もメチャメチャです。
怪我人が出なかっただけでも幸せでした。
でも花火どころではありません。
−続く−

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