何もかも無くなってしまった!
お爺さんは地震で目茶目茶に壊れた花火工場を見て言いました。
父さん、もう行くよ!
息子さんが言いました。
2人はこれから3km離れた避難所の小学校へ戻らなければなりません。
一時帰宅の時間は夕方までです。
工場内は飛び散った火薬に引火して何時爆発するか分からないので立ち入り禁止です。
だから何も持って帰れませんでした。
小学校では未来ちゃんのパパとママが待っていました。
群馬から乗って来た軽トラックには村で集めたカンパを元手にカップ麺や医薬品そして紙おむつや粉ミルクを一杯積んであります。
父は忙しくて来れませんが『宜しく』との事でした。
ママが言いました。
お爺さんと息子さんが喜んだのは言うまでもありません。
パパはママを残し再び村へ戻りました。
※食料や毛布を運んでくるためです。
ママは泊りがけで避難所で具合の悪くなった人の診察です。
※ママはお医者さんです。
その頃、未来は土砂に埋まった車から男の子が助け出されるのをテレビで観ていました。丁度未来と同い年くらいの男の子です。
未だ4才の未来には、何がどうなっているのか良く分かりませんでした。
でも、オジサンたちが大事そうに男の子を抱える姿が目に焼きついています。
その年の冬、避難所から仮設住宅へ移ったお爺さんと息子さんは花火工場を閉鎖する事を決めました。
従業員の人たちに貯金を取り崩して退職金を払い無一文となってしまいました。
そして東京へ出稼ぎに出るために準備をしているところに、群馬からお祖父さんが尋ねて来ました。
来年の花火は、お願いできますか?
お祖父さんは顔を合わせると、いきなり切り出しました。
−続く−

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