悪い冗談を!
お爺さんは苦笑いをしながら言いました。
これで足りないでしょうか?
お祖父さんは抱えていた風呂敷包みを開き中から札束を取り出しました。
農協の帯布の札束3個
村の人たちからのカンパと村議会からの助成金を集めたものです。
お気持ちは有り難いが工場は目茶目茶で使いないし第一従業員は解雇したばかりだ。
お爺さんは寂しそうに言いました。
でも解雇された皆さんは、やる気ですよ。
横に居たママが言いました。
実は解雇された従業員の人たちがパパの勤める工務店の季節労働に応募してきたのです。
従業員の人たちとパパは顔見知りです。
話は直ぐに村に伝わりました。
そして緊急に村議会が開かれ百万円の特別予算を計上しました。
それからママと叔母さんが村を回ってカンパしてもらったお金が2百万円。
お陰で叔父さんは向こう2年間晩酌が日本酒から焼酎に格下げです。
※「お前も向こう2年間化粧品は無印な」と言った
叔父さんは言い終わらないうちに叔母さんに頭を
叩かれました。
さて、後は場所と材料です。
場所はママが卒業した大学の近くに最近廃業した電子部品を作る工場があり、そこを暫く借りる事にしました。
そして材料ですが村で集めた牛や馬そして鶏の糞尿をママが大学に掛け合って処理してもらう事になりました。
約3ヶ月掛けて作った花火は群馬県の知り合いの花火工場で預かってもらう事にしました。
寒い冬が明け春になり
そして田起し、代かき、田植えが終わると梅雨になりました。
7月に入り待望の土用丑の日です。
会場の明神池横の広場にはささやかながら屋台も数件出ています。
今年の花火はたった3個。
1個百万円です。
しかもダチョウの卵くらいの小玉です。花火師さんが慎重に筒に詰め離れた場所から遠隔操作で打ち上げです。
さん にぃ いちっ!
皆でカウントダウンです。
パン
乾いた音を立て花火は夜空に舞い上がりました。
ドン
花火は赤い火花を広げて直ぐに消えました。
決して鮮やかとは言えない色です。
それに去年に比べると全然小さい花火です。
またカウントダウンです。
そしてまた赤い火の玉を一瞬夜空に広げて消えた花火。
最後の花火が消える前に皆さん、ひとつだけ願い事をしましょう。
いいですか?ひとつだけですよ!
司会のサンジェルマン伯爵が言うと皆笑いました。
いっち にぃ〜 さあ〜〜〜ん!
パン
ヒュルヒュル〜
ドン
花火の消えた夜空を皆いつまでもみあげていました。

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