ちょいワル、イタリアオヤジ

どころではない、大ワル、フランスオヤジ

が、『ディパーテッド』のディカプリオとマット・デーモンなみに火花を散らす。
その昔は友人同士であった二人のオッサン刑事、ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドゥパルデューは、今は、激しく憎み合うライバル同士。職場も、BRI「捜索出動班」と、BRB「強盗出動班」に分かれている。互いに、BRIとか、BRBと、背中に大きくプリントされたジャンパーを着ているが、これが、どうも、FBIのようになじみがない。よくある縄張り争いに始まり、密告、裏切り……などなど、このテの刑事モノにつきもののできごとが並ぶ。ハリウッド映画を見慣れた目には、どうも、脚本にイマイチ、キレがない。しかも、主人公の二人が五十代後半の俳優で、せいぜいが30代半ばの俳優を使うハリウッド映画に比べて、バッチイ(笑)。しかも、彼らの妻たちは、十歳以上若い女優が演じていて、「責任者出てこ〜い!」

(笑)である。
でもぉ〜、でも、でもぉ〜(←「高校生3人で1人1000円」キャンペーンの女装したほっしゃんの「三本の矢」のコーマーシャル風に読んでください(笑)って、どれだけ、知られているか知りませんが)、フランス映画であるから、ハリウッド映画に求めるものを求めてはいけないの。それこそ、大ワルオヤジの醍醐味を味合わなければ……。たとえば、本作では、
人情味の厚い、イイもの刑事(オートゥイユ)、出世しか頭にない、悪もの刑事(ドュパルデュー)たって、その差がほとんどわからない(笑)。しかも、刑事とチンピラギャングである「情報屋」の差もわからない。そういう犯罪的ごった煮状況のなかでも、人情を大切にする刑事がいる……っていうハナシなのである。こういうのを、
「フィルム・ノワール」とか言うらしい。
また付けられた邦題がすごいかっこいいでしょ。『あるいは裏切りという名の犬』なんて。原題は、『36 Quai des orfevres』。「そのまんま」パリ警視庁の住所です。
あえて、日本語にすれば、『オルフェーブル河岸36番地』。昔、『港町13番地』って歌がありました? あれと同じですわ。
さらにこだわるなら、私の記憶が確かなら、「オルフェーブル」は、鍛冶屋みたいな意味だったのでは? つまり、その昔は鍛冶屋とかが住んでたところだったのかな? てな連想も働きます。とにかく、その街にあった、職業の名前だと思いますが。
それが、
『あるいは裏切りという名の犬』ですからね。誰が付けたか知らないけど、これくらいの題を付けないと、日本の観客は、フレンチの香りを嗅ぎ取ってくれないんですね。もちろん、おフランスでは、オートゥイユ+ドュパルデュー、両オッサンの刑事モノ、で、もうこの香りは感じ取れるんです。