たぶん出てくるんじゃないかと予想してたところに「やっぱ出たー!」って感じの発言でしたけど、まあ思ったより収束にかかるのは早かったかな?
「
坂本総務政務官が“派遣村発言”を撤回・謝罪」
(2009年1月6日11時23分 読売新聞)
僭越ながら仮にもし私が「派遣村」のみなさんに、この件で何か意見を述べたりできるようなところにいたとすれば「これでますます自信もっていいんじゃない?」というところでしょうか。まあ、もとより部外者がそんなことを言うまでもないのでしょうが。
表現にしても運動体にしても、やっぱり自分たちのやってきたことに対し、あからさまな「アンチ」の声が出てくるくらいになったところで初めて一般社会への相応の波及力を勝ち得た、ということなんじゃないでしょうか。
そもそも、そうした表現やら運動やらを内心ケシカランと思っている人たちなら、まずはそれらを黙殺しにかかろうと思うわけです。つまり世の中的には「ないものと同じ」くだらん連中がやってるくだらん動きなんだから、ほっとけば誰にも見向きもされないし、こっちがわざわざ紹介することで連中の存在を社会に広めてやる必要もない、と。
でも、そういう人たちは、最初は「黙殺しておけばどうせ消えてく」と思ってた「派遣村」みたいな存在がメディアなどを通じて次第にノシてくると、やっぱりそこでアタフタと慌てるわけです。その結果、今回のように半端なリアクションをして、たちまち撤回しにかかる。
だから「できたらなるべく黙っていよう」と思っていたサイドより、先方の焦りからくるそうした「敵失」を何もしないままおびき出せたという意味において、「派遣村」のみなさんは今回の総務政務官の発言をむしろ「成果」であると誇ってよいと思いますね。
ただ問題は、今回の総務政務官発言に対しても「そうだそうだ!」的な支持の声も一方で凄くあるということ。
実のところ「派遣村」に象徴される一連の問題に関する報道に対して「違和感」を覚えている人たちは、もしかしたら今なお「マジョリティ」なんではないかと。ただし昨今の世相から「今そこで異論を言えば自分が悪者になる」ということで黙っているだけなんではないかと。
だってね、1980年代後半のバブルだ地上げだと言われてた時代、マスメディアが「一般市民にはもはや家も変えなくなった!」とか散々告発調でワメいてた時代にしても、一方でそういう儲からない総合週刊誌の損失を埋め合わせてた女性月刊誌の主要読者は田園調布や麻布あたりの(今でいう)セレブな主婦が中心だったわけですよ。
そういう時代を広告業界誌記者として過ごした私にとっては、マスメディアにせよウェブ上にせよ目下言われていることの大半というのは「所詮は今この時だけの薄っぺらなんだろ?」と、やっぱり醒めた目線で眺めてしまう。
もっとも、そのうえで現状「なんとか会社で正社員として働いて子供たちも食わしていけてる」状況にある人たちが、逆に「派遣村」に集まってきた人びとに対して「こいつらを認めるわけにはいかない!」って思ってるんじゃないかというのも、何となく推測できる。
かれこれもう9年前になるけど、茨城県龍ヶ崎市に元オウム信者の子供たちが移り住んだことに対して近隣のニュータウン住民が起こした反対運動を取材したことがあった。
あの時「憲法で認められた基本的人権を守れ!」と乗り込んできた人権団体と、私とほぼ同世代の「なんで苦労してローンとかも組んでようやく家をここに構えた私らがこういうことに煩わされなきゃなんないんだ!」的な住民組織との間に立った私は、しばし当惑を覚えたものだ。
「
本来これは国が考えるべき問題なんですよ!」 と、「オウム反対」の鉢巻を頭に撒いた、私と同世代らしい男性は言った。
「
じゃあ国はどうすればいい?」と私は訊いた。
「
それは国が考えればいい」と彼は答えた。
「
でも納税者や選挙民の一人として、国に対して何かこの件で意見はおありでしょう?」と私は訊いた。
「
あるけど……それと違ってもいいから国が何かやってくれないと困る。だいたい何で我々がこういうことに煩わされなければいけないんだ!」と彼は答えた。
――実を言うと今回の派遣村や昨今のワーキングプア問題にしても、横目に見ながら思い出すのは個人的にこのエピソードだったりする。
正規雇用された会社や団体に忠誠を近い、その前提のもとにローンも組んで家も買って子供の教育費や親の面倒も見て……という、たぶんそれがいまも社会的には「普通」だと思ってる人たちは、「派遣村」関連の報道を、おそらくあまり好ましくないという目線で見ていると思います。逆に「こういう連中がのしてきたら、俺たちの取り分が削られていくんじゃないか?」と。
そんな気がするな。だから今回の発言自体は稚拙であり、むしろ反動的なリアクションを引き出せたという「派遣村」側にとっての意味合いはあったとは思うものの、その発言に対して集まってきたリアクションについては改めてよく分析しておく必要があるんじゃないかなとも思った次第。
(
mixiの日記と同時掲載)

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