丁亥印社社員の雨人氏が、1/5〜1/11までの一週間、川崎駅の駅ビルデパート、「ラゾーナ」にて実演販売を行っています。
予てから、私、希夷斎も実演販売をしてみたいと思っており、この際雨人氏を師匠と仰ぎ、搬入から実演・販売テクニックや注意事項など、さまざまなことを学びたいと思い、4日夜の搬入から、初日の丸一日をご迷惑承知で雨人氏に張り付き、どのような流れで行われているのかを実際に体験してまいりました。大変勉強になりましたので、ここに少しくご報告させていただきます。

雨人氏曰く、「僕は自分の工房を実演販売する各催事場に転々と移している感覚なんですよ。」と、約二年ぶりだというここラゾーナでも、搬入から滞りなく様々な物品が粛々と並べられ、作業場が設置されていきます。私も手伝いたいのですが、全く勝手が分からずただ呆然とするのみ。

催事場所は丸善という大規模な書店の一角にあり、それが川崎駅までのコンコースを兼ねた通路に面していて、午前10時の開店前からすでにかなりの人通りがあります。
早速お客さんが一人二人と現れ、注文されています。

お客さんの来店には何か目に見えない波があるようで、雨人氏はそれを身体の感覚で掴んでおり、「希夷斎さん、今、何となくワサワサ感が来たから、これからお客さんが沢山来ますよ」
予言めいたことを仰るのですが、なんと5分と経たないうちに一人二人、三人と皆覗き込むように現れ、印の注文をされていくのです。これには吃驚しました。
長年やっていると通常の人にはない感覚が養われていくのでしょう。

仕事の様子を見ていると、お客さんに対する気配りや捌き方、覗きに来たお客さんにいかに嫌悪感を与えずに、一分でも長くその場にいさせるか。その覗いているお客さんの姿を見て、通りすがりのお客さんがまた覗き込むためにはどう話を進めるかなど、実演販売の高度なテクニックをまざまざと知りました。う〜む、深い!

基本的にこういった催事は、お惣菜のおかずを買いに来た普通の主婦や、会社帰りに小腹がすいたのでフードコートに立ち寄ったサラリーマンに印を買っていただくわけですから、非常に難易度の高い商売なわけです。最初の頃は全く売れず、心底萎えたそうです。
しかし雨人氏の持ち前のバイタリティーで乗り切り、今は売るためのコツを完全に掴んでいます。
黙っていても人が寄って来て、ああだこうだといいながら買っていく。雨人氏も特別しつこく売りつけているわけでもなく、どちらかといえば寡黙にコリコリとやっている姿を見せているだけです。それでも人が寄ってくる。人が来てもほとんどセールストークをしません。そしてお客さんが帰ろうとした瞬間に、一言二言声をかけると、お客さんはなぜか印材を手にし、暫く眺めながら、「じゃあこれでお願い」となるのです。
そう、完全に「雨人」というキャラクター全体の雰囲気で買わせてしまうのです。
ある意味これは魔法です。

そして一番驚いたたのが、小さな子供さんが欲しがり、親を引っ張ってきてねだるということ。
私がいた初日だけでも子供さんは十人以上訪れました。実際に買っていった子も、欲しそうに見て帰った子も。この写真は、買ったお子さんがかぶり付きで刻すところを興味津々で覗いています。日本中にあまたおられるいわゆる篆刻家といわれる人たちも、こういった経験は全くないはずです。

私希夷斎も作業場に座ってみましたが、これほど似合わない姿もありませんねwww
とにかく勉強になりました。
印を彫って、それを売って飯を喰う。間違いなく印人の王道です。かくありたし。
1/11までやっていますので、興味のある方は是非ご来場ください。
「丁亥印社のブログを見て来た」と言っても割引はありません。

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