日曜日の朝、せっかくの休みだというのに、チャイムが無情にも僕を目覚めさせる。
「(ああ、そうだ、今日は排水管の清掃があったんだ…。)は〜い。」
寝ぼけ眼のパジャマ姿で玄関を開けると、いろんな器具を持った若者たちが爽やかな笑顔で立っていた。
「今日でしたっけ?」
軽くとぼけてみせた後、彼らを部屋に案内する。
「散らかってますけど…。」
「いえいえ綺麗ですねこちらのお宅は。」
「ええ、まあ。」
とりあえず、作業を見守ることもなく彼らに一任して、僕はテレビをつけて携帯のメールチェック。
「ここにサインお願いします。」
「はいはい。」
程なくして一人が書類を差し出してきたので、言われるがままにサインする。
「ご苦労様でしたぁ。」
「お休み中失礼しましたぁ。」
彼らを玄関まで見送り部屋に戻る。
することもなくなったので、ソファに横になってテレビを見ていたらうたた寝してしまったらしい。
「…ポコン。」
なんだかそんな音を聞いた気がした。
きっと作業が終わって水はけが良くなったんだろうな、くらいに思っていた。
またウトウトし始める。
「ポコン…。ボコン。ボコンボコン!」
随分派手に作業しているなぁ。
それにしても音が妙に近くから聞こえるなぁ。
「チョロチョロチョロチョロ…ピチャ」
ん?
「チャパチャパチャパチャパチャパ」
え?
「ジャバジャバジャバジャバジャバ〜ァァァァァ」
最悪の予感はそれ以上に的中していた。
飛び起きて台所を振り返った僕の目に、信じがたい光景が、信じがたい臭いと共に飛び込んできた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
惜しみなく叫びながら「池」をピチャピチャ飛び越え、お風呂場からありったけのバスタオルと普通のタオルを抱え舞い戻る。
「大変だぁ!大変だぁ!」
相変わらずパニックになり叫びながら、とにかくこれ以上「湖」を広げないようにダムを造っていく。
「ボコンボコンボコンボコン。」
ゾッとするような音がまた聞こえてきた。
「(おいおいおいおい!)」
「ジャーーーーーーーーー。」
「やばいやばいやばいやばい!!」
容赦なしとはこの事だ。
台所のシンクには排水にまみれていろんなモノが浮き沈みしている。
床はなんだか、ここでは書けない何かをいろいろ混ぜてぶちまけたような、認めたくないような光景。
気持ち悪いなんて言ってられない。
リフォームしたてで、壁も床も真っ白なのが魅力で引っ越してきた我が家をなんとしても守らなければ…!!
まぁ、ね、上の階の排水管清掃作業が原因だったそうです。
当の作業員たちも呼び集め全力で対処しましたが、台所はほぼ全滅です。
フローリングも水浸し。
悲しいやら怒りが爆発しそうやら、しばらく呆然でした。
まぁ、でもね、作業が終わってからすぐに出かけなくて本当に良かったです。
何も知らずに帰ってきて、玄関の扉を開けたらそこは下水処理場でした、なんて、考えただけでもブチキレそうです。
もちろん全て弁償して頂きますが、少なくとも後一週間は台所が使えない現状と、やり場のない怒りに胃に穴が…。
菓子折りなんかで気が納まるかぁぁぁぁ!!
せっかく家具も全部組み上がって、結構ご機嫌だっただけに、本当にショックゥゥゥ〜。
と言うわけで、夕べは今期最短のサイゴンの稽古を終えて、やっぱりインドカレーでした。
