うりんこ時代にひょんな事から知り合った福寿 奈央という東京の女優がいる。
文学座の研究所などを経て、現在は「スターダス21」という事務所に所属し、舞台や
映像で頑張っている。
今でこそお互いの舞台を観合うこと以外顔を合わせる機会はなくなってしまったが、
上京したてで府中の今は無きボロ安アパート『第二霞荘』に住んでいた頃は、夜勤で
僕が部屋にいないとき良く泊まりに来ていた。
出会った頃はまだまだ可愛いらしい19才だった彼女は、妊娠7ヶ月の新婚妊婦を見事
に演じられるようなすっかり大人の女優になっていた。
初日打ち上げで少しだけ呑んで話ができたことがチョビッと嬉しかった。
『時計屋の恋』は、もちろんそれ自体は素敵な役者が練り上げられた演出の中でイキ
イキと生きていた事で非常に堪能できたのだが、淡い想い出や苦い想い出をほのかに
頭の片隅によぎらせる、僕にとっては特別な時間となった。
それにつけても、ストレートプレイからとんと遠ざかってしまった最近の自分に焦り
を隠せない今日この頃だ。
いい芝居を創らなければダメだ。
これは数日前の話である。