くのいち陵辱絵巻

  | 投稿者: 月華守屋

がんばれゴエモンよりヤエちゃんの凌辱ものです。
帯ひろ志さんの漫画のイメージです。



 鬱蒼と木々が葉をつけ、上空からでは大地は何も見えない森が広がっていた。上空に隙がないということは森の中も同様。太陽の光が届くことがなく、昼間でも薄暗いために森は『魔の森』と言われて恐れられていた。自殺希望者は森の比較的浅いところで死を遂げ、あるいは野生の生物に殺される。だが、深い場所にはとある犯罪組織のアジトがあり、地の利を生かして正義の手が伸びるのをかわし続けていた。
「ふぅ。ようやくここまで進入できたわね」
 忍装束の女性は深く息を吐く。
 解けば腰まで届く髪の毛をポニーテールにして、忍び装束は上着を腰紐一本で止めている。丈が短いために下腹部を覆う赤色の下着がちらりと見えているが彼女自身は気にしていない。更に肌には鎖帷子が手足をすっぽりと覆っている。動きを制限せずに、最低限防御機能を備えた姿だ。
 彼女の吐息には今の位置まで進入してきた際の苦労がにじみ出ている。光も入らず、しかし気温も逃げないために蒸し暑い中を進むと汗が出てくる。更に、敵組織も全く見張りをつけないわけではないため、見張りの目をかわしていく必要もあった。進入がばれてしまえば自分の任務――秘密裏に潜入して、敵組織のボスを殺し、帰還することが破綻する。敵組織のアジトの見取り図さえない中で不可能に近いミッションだったが、彼女にはそれができるだけの力量が認められていた。
 秘密特捜忍者ヤエ。
 ネオ大江戸シティの特殊警察組織の一員だ。
 周囲は光が射さぬ中、監視カメラが設置されているかも常に気にしていることで彼女の精神は削られている。それでも、数多くの任務をこなしてきた彼女には想定された疲労だ。だからこそ、彼女以外では到達することができない場所へと、入り込めている。
「でもここからどうするか、よね」
 ヤエは緑の屋根の下で改めて状況を確認すると嘆息した。目の前に広がるのは湖。そしてその先には岩の壁があった。木々の背は高く、上空からは森しか見えないことからこの岩壁は大した高さではないということは分かる。しかし、左右に視線を向けると横幅は広く、どこまで行けば終わるのか。終わった先に道があるのかさえ分からない。いつ敵に見つかるかもしれないという状況から無駄な移動は極力避けたいヤエは何度か左右に頭を振った上で、目の前の湖に目を向けた。
(ここは……)
 自分の中の第六感が告げている。森の中に広がる湖。どこまで続いているか分からない岩壁。ヤエは一つ頷くと忍法を発動させた。
「人魚変化の術……」
 ヤエの忍び装束姿が解かれて、素肌が晒される。すぐに変化が始まって、ヤエの下半身は魚のものになり、乳房には貝が二つ付けられた。髪の毛はポニーテールから髪の先を結んだ形に変わる。
 ヤエは変身を終えると湖へと飛び込んだ。視界に広がる光景は明るくない。水の透明度は低く、水底に溜まっている汚泥の影響が強い。普通の人間が入れば目も開けていられないだろう。しかし、ヤエは気にせずに進んでいく。魚のように水の抵抗をさほど受けず、軽やかに。目もしっかりと開けて周囲への警戒は怠らなかった。
(やっぱり。汚すぎる。まるで中を見せたくないみたいね)
 ヤエの特徴とも言える人魚変化の術は文字通り人魚に変身する事で水の中での呼吸と自由な機動力を得る。代わりに攻撃手段はなくなるのだが、機械を使わずに水の中を偵察や移動することができることは十分価値がある。
 しばらく泥の中を進んでいたヤエだったが、一瞬で視界が晴れる。目の前には澄み切った水。湖底の形がはっきりと見て取れた。
(不自然なまでの変わりよう。やっぱりあの泥はカモフラージュ。この先に、進入口があるかもしれない。でも……)
 ヤエは相変わらず周囲を気にしながら進む。もしも予想が当たったならば、監視カメラが配置されていてもおかしくはないためだ。周囲には特にそれらしき器具もなく、自然の美しさを保っているように思える。ヤエはそれでも違和感を拭えなかった。
(魚が全くいないなんて)
 一見して何も変化がない水。もし生物が生息できない毒が撒かれているならば、とっくに自分にも影響が出ているだろう。毒への耐性は特捜忍者として訓練を受けている中でつけており、危険を感じ取ることはできる。未知の毒だとしても、自分の体が汚染されていくかどうかは分かり、逃げる時間くらいは稼げるはずだった。兆候がないからこそ、ヤエの中には余計に違和感が募っていく。
(水に問題がなくて、魚がいないなら、淡水ってことになるけど、この水は海の水。つまり、地下水脈か何かを通って海の水がこっちにまで来ている。きっと魚も少なからず流れてきているはずよ……。だとしたら)
 思考が落ち着き、答えが出ようとした時だった。答えが相手からやってきたのは。
 ヤエの進む先に巨大なクレパスが出現していた。深く、底が見えない大地の裂け目。その上をヤエが通った瞬間に、暗闇の中から何かが伸びてきてヤエに襲いかかった。とっさに進む軌道を変えてかわしたヤエだったが、裂け目から出てきたものに顔をひきつらせた。
 出てきたのは巨大なイカだった。自分の身長を基準とすると体長は六メートルほど。足の一本一本は八メートルはある。十本の足がくねって次々とヤエへと襲いかかってくるのをギリギリでかわしてから、ヤエは全速力で進行方向と逆へと逃げ出した。
(あいつが、ここにいた生物を食べたのね……なんなのあれ!)
 自然には自分の想像もつかないような生物がいることは分かる。しかし、足の動きや自分を襲ってくる様子から見て、明確な意志を持って自分を襲ってきていることは分かった。人工的に作られた何か。すなわち、敵組織の水中の守護者なのだろう。
(このまま逃げきっても、敵に気づかれては意味がない。体勢を立て直さないと)
 今まで積み重ねてきたものが一瞬で瓦解しても、目的を達成することができないと分かれば撤退する。ヤエの最終的な任務遂行率が高いのはこうした思い切りの良さが要因だ。
 だが、今回はそれでも、遅かった。
「きゃあ!?」
 泳いでいたヤエの体の進みが遅くなり、やがて止まる。
 強い力で後ろに引っ張られていることに気づいて振り返ると、巨大イカが水を吸引してヤエまでも飲み込もうとしていた。力の限り泳いで吸引の範囲から離れようとしたヤエだったが、イカも止まっているわけではなく進みながら水を吸っているため、ヤエの尾びれが足の一本に捕らえられてしまった。
「しまった!? きゃあぁああ!」
 足の力で一気にイカの傍まで引っ張られる。あっという間にイカの巨体が近くなると共に、もう一本の足がヤエの腹部に巻き付く。更にもう一本は首へと回って、三カ所で同時に締め上げてきた。
「あ、あぐ……あああ!」
 両腕を振り回して首を絞める足を攻撃しようとすると、今度は両腕をまとめて拘束される。乳房が圧迫され、動けない状態のまま水底と平行にされると、再び力が込められる。
「あぁあああ! い、いやあ!」
 体中の骨がバラバラになりそうな激痛にヤエは涙が溢れてきた。骨がきしむ音が耳に届き、圧迫されたことで息も保つことはできない。そんな状態のままで、イカは移動を開始した。締め上げる力が強くなる中で、ヤエが気を失う寸前を見極めて気を失わない程度に押さえたまま移動する。ヤエはあらためて、イカが自然発生した生物ではないと確信した。
(ロボ……? 生物兵器……分からない……わか、ら……な……)
 ヤエは酸欠状態に陥り、思考もバラバラになっていく。イカは拘束を外そうと抵抗していたヤエの力が弱まっていくのを理解したのか、少しだけ拘束を緩めて速度を上げた。イカが向かった先にあったのは洞穴であり、入ってからしばらくすると光が差し込んでくるのが見える。イカは巨体を穴から出してからヤエの体を持ち上げた。
 光に包まれたヤエの体。眩い光が強くヤエの体を隠したが、一瞬で光は収まった。魚の尾びれに変化していた足が人間のものとなり、ほぼ裸だった全身も元の忍び装束に包まれている。意識が消えたことで忍術の効果が切れたのだ。イカは水中で術が切れてしまえばヤエは息ができなくなり、死に至ることを分かっていて気を失わせずいたぶるのにちょうど良い力で彼女を弄んだことになる。
「ぁ……ぅ……」
 意識がないヤエの体をイカは両腕を持って吊り下げる。ポニーテールにした髪の毛の重さに負けたのか顔はのけぞって上を向いている。胸を前に突き出して強調するような格好になっていた。
「グゥルル」
 イカは獣のような鳴き声を発して更に足を伸ばす。両手だけだった拘束を両足に増やして股を広げる。中空に大の字にされたヤエは股間部をさらけ出し、赤い見せ下着がはっきりとイカの目に飛び込んできた。イカはヤエの股間に五本目の足を伸ばした。
「――ぁ」
 イカの足先が股間に触れると、ヤエの体は一瞬だけ震え、声が漏れる。ヤエの服装は変化の力のおかげで濡れていなかったため、イカの足についた水が彼女にひやりとした感触を運んだのだ。イカはゆっくりと足を前後に動かして、ヤエの股間をこすりだす。数往復すると共に六本目、七本目の足が伸びてヤエの乳房に忍び装束の上から先がくっついた。足が動くと共に乳房が形を変える。
「ぁ……く……ん……」
 のけぞっているヤエの顔はイカからは見えないが、漏れ出てきている声は体の反応を受けていると判断できるもの。イカにその知性があるかはこの場に分かる者はいない。ただ、ヤエの反応が大きくなっていくことだけがこの場の真実。
「ぁぅ」
 乳房二つと股間へと足が同時に圧力をかける。三カ所の性感帯を一気に締め付けられたことで顔が真正面を向き、ゆっくりと目が開く。そして自分の目の前に巨大なイカがいることに驚いて飛ぼうとするものの、そもそも中空に吊り下げられていて動けないことにようやく気づいた。両手足と、自分の乳房と股間を触っている足を見て、小さく悲鳴を上げかけたが口を閉じてこらえた。
「――っっ」
 自分の顔が赤くなっていくのを止められない。触れられている箇所から熱としびれが昇ってくる。それが快楽のものであることは分かっているが、こんな簡単に自分の性感帯が堕ちるなどとは考えもしなかった。
(どういうことなの……声出したら……戻れなく、なる……)
 再び股間をこすり、乳房の形を変えられるとこれまで以上に体は跳ねたが、ヤエは声を上げるのを堪えていた。快楽の波は体の中で対流している時も辛いが、一度でも悲鳴を上げてしまえば激流となって後は流されるだけとなる。ヤエは歯を食いしばり続けてダムの決壊を防ぐように四肢を強ばらせた。足を閉じられないならば、体を硬直させて少しでも快楽を体に閉じこめるしかない。
 ヤエは鉄の自制心で快感に耐える。反応がなくなったことに気づいたイカはヤエの体を自分の傍まで近づけて、自分はできる限り水から体を乗り出した。
(な、なにを……)
 巨大イカの動きを分析する前に結果が吐き出される。
 ヤエの頭上から降り注ぐのはイカから吐き出された墨だった。噴水のように噴き上がった墨はヤエの髪の毛から上半身を黒く染める。さらにドロリと体を伝って股間部や太股と伝っていく。墨を吸わないように頭を前に倒して避けても、頭部を伝ってある程度は顔面へと回ってしまう。それでもシャワーのように浴びせられた墨は最後までヤエの顔全体を濡らすことはなかった。顔の部分は前面だけのこり、あとは髪の毛も体も黒く染まっていた。
「いったい、なにする、の……はうっ!?」
 右目の方へと髪の毛を伝って目に入りそうになる墨を目を閉じて逸らしつつ言ったヤエだったが、突如体が跳ねた。それまで体の中を走る痺れは少なかったが、唐突に痺れが走る神経が広がって、拡張に反応して通る量まで増えたかのようだ。ヤエは巨大な衝撃に翻弄されて口を閉じることさえ忘れてしまう。一度決壊したダムは止まることを知らずにヤエの体をかけ巡った。
「あぁああ! ああ! なにこれぇえええ! ひぃいいい!」
 乳房や股間だけではなく、両腕両足までもヤエに気持ちよさを運んでくる。脳は蕩けてドロドロに液状化し、現状を把握するようなことされもできない。正確に言えばそんな思考でさえできなくなっていた。イカが触れているところが全て性感帯と化して、ヤエは空気の流れだけでも快感を得てしまっていた。拘束を外そうとしても力は入らない。脱力感と共に快楽が体を包み込み、自分の意志ではもう体は全く動くことはなく、快楽に体が反応するときだけ四肢の拘束に負けずに体が跳ねた。
「ぁああ……あぅ、あ……ぃい……ぃ、い、やぁ」
「さすがの秘密特捜忍者も女ということだな」
 空洞の中に反響する声に、ヤエの中に残っていたかすかな理性が反応した。体を震わせながらも唇を噛んで血を流す。生まれた痛みが快楽にうつろになっていた脳内に刺激を与えて思考を取り戻させた。
「ぐ……」
「ほう。まだ理性があるのか。やはりただでは落ちないな。秘密特捜忍者」
「おまえ、たち、は――ぅ」
 言葉を発するだけで熱がこみ上げてくる。自分が生み出す声の響きが体に広がり、性感帯と化した体中が反応してそれ以上口にすることができなくなった。
「我々の拠点にここまで入り込めたのはお前が初めてだ。我々が改良した巨大イカがいなければ進入を許していただろう」
 ヤエは唇を再び噛んで血を流す。快感に意識が飛びそうになるのを痛みで何とか持ちこたえている。頭は熱でぼうっとし、視界は潤んでほとんどぐにゃぐにゃになっていても、ほんの少しでも理性を保ち、相手に屈服しないように耐えていく。
「お前がイカから被った墨には、弛緩材と媚薬が大量に含まれている。それだけ被ってよく理性を保てていたと誉めてやろう。次に会う時には、理性が残っていればいいが」
 ぶちっ、と音が聞こえて声は聞こえなくなった。洞窟の中のどこかにスピーカーがあり、マイクから声が流れていたのだろう。ヤエには最後までどこから聞こえてくるのかは分からなかった。考えようにも、イカは少し動いて再び墨を吐き出したことでヤエに降り注いだ。
「――ぁああああ!!」
 ヤエの体が全て黒く染まる。液体がかけられた衝撃だけでもヤエの快感は限界を突破して、激しくのけぞった。イカは体を反らして震え続けるヤエをそっと地面に落とし、四度目の墨を吹きかける。
「いやぁああああ! もう……だめぇえええ!!」
 増幅される快楽から逃げたくとも弛緩剤の為に体は動かない。ヤエは糸が切れた人形のようにその場に倒れたまま、意識を失った。全身を黒く染めて、顔も全てイカスミにまみれた姿はその場に人がいれば黒い固まりが落ちているようにしか見えなかった。

 * * *

 次にヤエの意識が戻ったのは、息苦しさに自然と酸素を求めた時だった。とたんに水が口の中へと入ってきて咳込む。微かに残った空気が泡となって水の中に消えていくと同時に両足が引き上げられた。胃の中に入りかけた水を吐き出してようやく目を開けると、下には水槽があった。黒く濁った水槽の水。顔を逆方向に向けようとしても力が入らなかったが、両足が縄か何かで縛られて吊り下げられているということは分かった。ポニーテールにしていたはずの髪がほどけて垂れ下がっているのが自分の視界に入っている。色は地毛のものだったが一部黒く染まっていた。
(そう、か……私……気絶して……)
 巨大なイカの弛緩剤と媚薬が含まれた墨を浴びて、強烈な快楽の波に飲み込まれて失神してしまった。自分の耳の奥に残る嬌声に自然と顔が熱くなる。敵に捕まるという失態を犯した上にみだらな姿を見せてしまったということで二重の辱めを受けてしまった。拷問で口を割らされる前に死を選ぶべきかと考えるが、その選択肢は本当に最後の時にしか使えないとも思っていた。秘密特捜忍者として、ヤエは情報を持ち帰ることが最優先事項。諦めずに隙を探して、一瞬でも穴が開けば突破すること。そのために地獄の苦しみに耐えなくてはいけなくても、ヤエの任務だった。
(でも……こんな、うごけない……)
 水槽から出されたヤエにまた液体がかけられる。水槽の中につけられて洗い流された墨の残りをシャワーが落としているのか、逆さまの視界を黒く染まった水が落ちていく。頭に血が上り、思考力が低下する中で自分の体の各所を確認したが全く動こうとしない。墨を洗い流した水槽の中身や今、浴びせられているシャワーからの水にイカ墨と同様の弛緩剤が含まれているであろうことを推測した。体のうずきはないことから媚薬についてはないと考えて、ヤエはひとまずほっとする。
(でも、ずっとこんな状況だと、動けないわ)
 秘密特捜忍者としてある程度の毒や薬の抗体は持ち合わせている。一日ほど寝て過ごせば体内で毒素は中和されて行動が可能になるが、絶えず薬を浴びせられている状況では中和は間に合わない。どうするかという考えをまとめる前に、状況が動いた。
 シャワーが止まり、水槽の位置からスライドされていく。水槽の横にマットが用意され、ゆっくりとヤエはそこに横たわらされた。両足を結んでいた縄をほどかれ、控えていた白衣姿の男達に担架に乗せられると別の場所へと運ばれる。水槽があった部屋から通路を通る間に視線が動く範囲で内部を見ようとしたが、部屋を出ようとしたところでアイマスクを被せられて視界を遮られてしまった。
(油断してくれないわね、さすがに)
 捕らえて動きを封じただけでは満足せず、極力ヤエが情報を収集することを押さえようとする。その姿勢はヤエの力量を侮ってはいないということ。それほどまでに自分達のアジトの防衛に自信があったのかもしれない。難攻不落と思われた敵アジトの深部にまで到達したヤエ。彼女を捕らえたのは最終防衛ラインだったに違いない。
(今は堪え忍んで、機会を待とう)
 忍びとしての本分を心に決めて、ヤエは一度思考を止めた。余計なことを考えて体力や思考力を低下させては後で必要な時に使えなくなるからだった。
 ヤエが思考も緩やかにしてすぐに、担架の動きが止まって体が何かに移された。背中の感触からしてベッド。手術台のような形状ではなく、本当に人が眠る際に用いるようなもの。
「ふふ。改めてようこそ。秘密特捜忍者」
 かけられた言葉にヤエは反応しない。アイマスクをつけられていることを利用して、気絶したふりをしていれば何か情報を漏らすのではないかと思えた。しかし男は特に気にした気配もなく次の行動を開始する。しゅるり、という音と共に忍び装束を前で重ねていた細い帯が抜かれた。
 息を飲む音を出さなかったのは反射的なもの。体の動きは弛緩剤が働いているため悟られないだろうが、自分が動揺した気配は伝わるかもしれない。その遮断に成功したのかは分からないが、男は反応せずに自分の作業を進めていく。帯を取り、忍び装束を両側にめくると中の鎖帷子が露出した。胸元は下着をつけていないため乳首が見え、臀部には帷子の上から赤い下着――見えてもよいものだ――をつけている。その下には何もつけてはいない。ほぼ裸身と変わらぬ姿を男へと見せてしまっている。
「くかか……いい肉体じゃないか」
 男はヤエの肌を鎖帷子の上から指でなぞる。乳房の中央にぽつんとついている乳首の上で人差し指の先を止めると、何度かつついていく。
「……ぁ……んん……」
 媚薬の効果は十分残っているのか、つつかれた場所からさざ波のように快感が広がっていき、ヤエの脳をとろけさせる。あらがおうと唇を噛もうとしても口を動かす力もなく、半開きになった口元からは刺激に反応して反射的にでるあえぎ声が漏れ出てきていた。
(ぅう……そんな……)
 乳房や乳首。脇腹やへその周りといった箇所を一通りつついた指先は、やがて下着にかかる。ゆっくりと両手を使ってずりおろされると、帷子の向こうに黒い茂みが見えた。先にあるクレパスからは汗とも小水とも異なる匂いの液体が流れ出してきている。
「気持ちいいなら、素直にそう言えばいい」
 鎖帷子の上から液体を舌でなめとる男。筋を縦に舐められたことで堅い鎖帷子もクリトリスに擦れた結果、これまでの箇所とは大きさが異なる衝動がかけ上った。
「あんっ!? あっ……はぁっ!?」
 膣から液体が勢いよく出て、声を漏らした口からは荒い息が出てくる。上と下の口から流れ出す快楽の余韻。男は懐から雌を取り出してから鎖帷子を摘んで引きあげる。隙間を通して縦に動かすと、帷子はまるでただの布のようにちぎれて陰部を晒す。
「そ、ん、な」
「この俺が開発したメスだ。帷子など簡単に切ることができる」
 膣の縦筋に沿ってメスを走らせるとあっと言う間に隙間ができる。それは膣の入り口にかかる防衛ラインをついに突破すると言うこと。男はメスを置いて下半身を露出させてペニスを丸だしにし、ヤエの膣口に先を擦り付ける。溢れ出てきた愛液に自らの亀頭をすりつけると、亀頭からもスペルマが流れ出す。
「ひぃう……い、いや……やめ、なさい……やめてぇ……」
 ヤエは荒くなっていく息の合間に告げるも、説得力はなく男の性欲を増長させるだけ。しばらく丹念にペニスを愛液まみれにしてから、するりと中へ挿入していた。
「――――っっ!!?」
 ヤエの目と口は自然に動く。目は閉じ口は開く。圧迫されてかつ快感が押し寄せてきて息ができなくなったため、何とか酸素を取り込もうと大きく開く口。だが、酸素は思うように入らず、魚のようにパクパクと動かすだけ。
 ペニスが奥深く入る度に膣はくわえ込んで離さないように締め付け、男に絶頂までの道を登らせていた。同じくヤエも媚薬を浴びせられて快楽に失神した時の感覚がよみがえってくる。体の中に染み込んだ媚薬が性感帯の刺激によって再び彼女を支配し始めている。
「ぅあ……あんっ……はぁ……はっ……はうっ……んぅう……」
 顔を上に向けていられず左に倒し、開いたままの口からは涎とあえぎ声が漏れる。顔は真っ赤で汗と涙が混ざりあって落ちていく。体を覆う鎖帷子の隙間からも汗がにじみ出ていた。
 男はリズミカルに臀部を打ちつけていたのを止めると、一度抜き取る。瞬間的に圧迫から解放されてヤエは生暖かい息を漏らした。その息を顔を近づけてめいっぱい吸い込んでから男はヤエの体をうつ伏せにする。一本の棒のようにまっすぐ寝かされたヤエの尻の割れ目に沿ってメスを走らせて鎖帷子を切ると男は再びペニスを膣へと入れた。
「あぶっ……んん゛……」
 ベッドの敷き布団にうつ伏せになっている状態から顔を上げる力もないため、息苦しさが増す。突き上げられる反動を利用して何とか顔を左に向けて息の流れは確保できたが、連続で脳へと運ばれてくる快感がまた視界をふやけさせた。股を閉じていることでペニスがさらに圧迫されて男は気分良くピストン運動を続ける。対してヤエは意識がもうろうとしてあえぎ声を止めることもできない。あえぎ声も絶え絶えで、ヤエの体力が限界に近いことを物語る。逆に男は絶頂を迎えようと尻を掴んで抽送を激しくしてきた。
「ぅあ……あんっ……あっ……あ゛っ……んん゛んぅ! あんっあんっあんっあんっあんっあんっあんっあっあっあっあっあぐっ!?」
 突如髪の毛を首の後ろで捕まれて仰け反らされる。引きちぎられそうな力に激痛が生まれるが、膣からの快楽と混ざりあって心地よくも感じる。自分が何を感じているのかさえ曖昧になり、境界線が消えていく。
「あ゛っあ゛っあ゛っあ゛っあ゛っあ゛っあああ゛! あ゛ぁああ゛!」
 男の突き上げがねじ込まれたところで止まり、精液が吐き出される。膣の内部に吹き出した液体がぶつかる衝撃でヤエは絶頂に達し、再び気を失った。

 * * *

「ぁあはぁ……うぇ……はんっ!? はぁ、あ……ああ……」
 背もたれがある椅子に座らされて、ヤエは快感に飲まれて喘いでいた。背もたれにぴったりと背筋をくっつけるために喉輪をつけられて背もたれに固定されている。両腕と両足もそれぞれ椅子とくっつくように固定されて身動き一つとれない。何度となく快感で体が跳ねるために固定されているところが傷ついて痣が出来ていた。特に喉元からは血もにじみ出ている。
 体につけていた鎖帷子は脱がされて、全裸の状態。頭にはヘッドギアがつけられ、乳首とクリトリスにはクリップに似たものがつけられている。それぞれの豆を摘んだクリップは時折震えてヤエの性感帯を刺激する。
「もう一度聞く。お前は何者だ? お前の知っていることを全て話せ」
「わ、わたし、あっあっ……は、ヤエ……。ひみ、つ、とく、あっあっあっ……そう、にんじゃ……あんっ!? はぁんんんっっ!?」
 自分の名前と所属を伝えたところでヤエは絶頂に達し、愛液を膣口からほとばしらせる。台座から液体が流れ落ちていき、愛液が足下へと貯まっていく。どれだけ流したのか拷問にかけている者達でさえ覚えておらず、臭いが気になってマスクを着用するほどだ。ヤエのいる部屋の中には二人。外からモニター越しに見ている者達は多数。いずれも白衣を着た研究者のような出で立ちだった。
「またですね。名前と秘密特捜忍者という自分の所属だけ答えると絶頂して気を失うなんて」
「ここまで来れば疑いようがない。この女。自分で絶頂に達するタイミングを制御している。意識か無意識かは分からないが。そして自分が不利なことを言おうとするのを防いでいるのだ」
「まさか、そんなことが……」
「恐ろしい女だよ」
 男達の会話を余所に、ヤエは気を失った状態から目覚める。部屋の外にいたものがヘッドギアを制御して無理矢理覚醒状態にしたのだ。
「こんな状態で三日ですよ……どうしましょうか」
「まあいい。じっくりこの女が堕ちる様を見ていこうじゃないか」
 二人のうち、位が高い男は笑いながら部屋を出ていく。若い男はヤエの半開きになった口と緩んだ目元をもう一度見てから去っていった。
「あぁああ……んぁああ……」
 ヤエは一人、弱々しい嬌声を上げ続ける。
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