ラクロアの女騎士凌辱譚@〜拉致

  | 投稿者: 月華守屋

カードダスやゲーム、漫画などいろいろなメディアミックスを行っていたナイトガンダム物語の中から、私はコミックボンボンで連載されていた漫画ベースのセイラさんを書いてみたつもりです。ボンボンでも騎士アムロの偽弟カムロとかいた番外編のイメージです。

伝説の石板の守り手の一族として、旅をする騎士セイラは襲われている少年を助けようとするが……



 鬱蒼と茂る草木の中を歩いていく人影があった。空を覆い尽くすほどの枝葉によって太陽の光が足下に届くことは少なく、日中にも関わらず視界は悪い。足を進める速度は徐々に鈍り、荒い息が木々に張り付く虫達の声に混じり、不協和音を奏でる。耳障りな音が更に体力を奪っていくようで、歩行速度は遂に零となった。
「ふぅ……少し休憩ね」
 人影の口から漏れたのは凛々しさと気品を持った女声。左手に持った盾に備え付けられた剣を引き抜いて周囲の草を刈り取り、地面を露出させてから腰を下ろす。それだけで肩に重力が加算されたような重さを感じ取って、ヘルメットに包まれた頭を垂れた。
「はぁ……はぁ……はぁ……せめて、日がある内に森を抜けておかないと」
 衣服の内側にこもる熱気を外に逃がしたかったが、肩から胸元を守っているブレストプレートを外すのは手間がかかる。また、身の危険がある森の中で武装を解くのは生理的に受け付けない。やむなく首元の白いスカーフを緩め、衣服の生地を摘んで前後に揺さぶった。ほんの少しだが服の内側にある空気が攪拌されて心地よさにほっとため息をついた。
「ふーっ」
 大きく息を吐いて空を覆う緑の天蓋を見上げる顔は、まだ少女のもの。それは間違いではなく、騎士セイラは十七歳になる少女だった。ラクロアに伝わる伝説の三種の神器を手にする鍵となるアイテムである石版の守り手の一族に生まれたセイラは、幼い時から石版を守るための騎士としての教育を受けてきた。同時に、女性としての気品を保つための教育も平行して受けており、鎧を脱げば王族にも引けを取らない美貌と内側から溢れ出る気品によって周囲を魅了し、鎧を着て武器を持てば戦場を切り裂く鋼鉄の花びらとなって、周囲を魅了しつつも刃を敵へと食い込ませるほどの騎士だった。
 そして今、騎士セイラは自分の責務である石板の守護者としての責任を全うするために、失われた石板を捜索する旅に出ていたのだった。騎士としての服装は余計な肌を晒すものではなく、全身が覆われている。茶色を主体とした衣服は、上はワンピースタイプでベルトで止められており、残った裾はスカートのように太股の半ばまで下腹部を隠している。下半身は足首まで覆うパンツに膝まであるブーツ。固いブーツは剣撃に必要な下半身の安定さと防御力の向上を兼ねており、男性顔負けの戦闘をセイラが行える一因でもあった。
 左手には剣を納める鞘を兼ねた盾。そして背中には自分の身の丈よりも少しだけ短いスピアを背負っていた。
「もう少しで……森は出られそうね。あまり野宿はしたくないから……村があればいいのだけれど」
 セイラは地図を取り出して自分のいる場所を確認する。ラクロア王国の東にある深い森を抜けると山があり、その手前に村があることは確認できている。ただ、地図自体は数年前の物であるために今もこの村があるかは分からない。王都から離れるほどに情報を最新化するのは遅れる。王国から遠くにあるほど、最新情報が届いた時にはすでに古くなっている可能性もある。実際に、セイラは森に入った時もここまで深く茂っているとは地図を見ても分からなかった。
「じゃあ、行きましょうか――」
「ぎゃぁああああああああああああ!?」
 ゆっくりと立ち上がって尻についた土を払った瞬間、男の叫び声がセイラの耳に届いた。背中から咄嗟にスピアを取ろうとして、すぐに盾から剣を引き抜き身構える。周囲に気を配っても目で見える範囲では変化はない。再度、響いた悲鳴から位置を割り出して、セイラは一気に駆けだした。
(人が……襲われている? もしかして村の人?)
 足下を遮ってくる草を最小限の動きで切り払い、躱しながら進んでいくセイラ。木を避けて地面を蹴ることで生まれる足音の合間に三度目の絶叫が響く。二回目よりも近づいており、セイラは木々がもうすぐ消えることを確信すると日差しが強くなっている場所に腕を掲げて飛び込んでいた。光によって瞳を焼かれないように薄目を開き、着地する。地面をブーツの裏が噛む感触と共にしっかりと踏みしめてから、剣を目の前へと向けた。
「待ちなさい! それ以上は許さないわ!」
 セイラが飛び込んだ空間は、森の中ではあったものの人工的に作られた場所であるかのように木も草もない。開けたセイラの視界に飛び込んできたのは血を流して倒れる三人の大人と、今、まさに斧を振り下ろされようとしていた子供の姿だった。
 黒く揃えた盗賊の格好をした男が三人、武器を構えたままセイラのほうを見ている。
 髭面の男に隻眼・栗毛の男。そして面長の男達は唐突に表れたセイラに、目を奪われている。まだ距離があるため武器を振り下ろされてしまえばセイラには防ぎようもない。だからこそ、自分に意識を向けるために挑発的な言葉を男達へ投げつけた。
「私はラクロア王国の騎士、セイラ! 弱き者を襲う、お前達のような下衆な盗賊など許さない!」
「……へっへ。俺ら、下衆だってよ」
「いきなり現れて言ってくれるじゃねぇか姉ちゃん」
「ずいぶん綺麗だな……これ、高く売れそうだ」
「売る……?」
 人を物として扱うような台詞が聞こえて、セイラは背中に悪寒が走った。自分は男勝りで剣や槍の腕が、並の男に劣るとは思っていない。モンスター相手にも実戦を重ねてきているため戦闘に不慣れと行うこともない。ただ、目の前の男達は歴戦の戦士という気配を覗かせていた。自分以上に戦闘経験があるであろう気配はセイラの心に一抹の不安を投げつける。
(三対一でも、本当に向かってくるのは一人だけ。なら、一人ずつ撃破すればいい)
 セイラは盾に剣をしまって背中のスピアを右手に取る。最初は木々の間で振り回すには長いスピアは止めておいたが、開けた場所ならばリーチが長いほうがセイラには有利。
 しかし、体格差のハンデを補うための武装に男達は笑うだけ。
「俺ら、黒い三連星に出会ってしまったのが運の尽きだなぁ、姉ちゃん」
「痛めつけた後にたっぷり可愛がってやるよ」
「そんな兜なんて取って、可愛い顔見せてくれよ」
 黒い三連星を名乗った男達は子供から離れてセイラへと向かってくる。まずは思惑通りにいったと安堵して、セイラは少しずつ後退しつつスピアを前方へと掲げて牽制した。だが、男達は横一列を保ったまま下卑た笑いを顔に貼り付けて向かってくる。その態度の奥にあるのは自分達が負けるはずがないという確固たる自信だろう。
(黒い三連星……名前は、聞いたことがある……昔はどこかの王国の騎士で、今は盗賊に落ちぶれているって……)
 セイラが正式にラクロアの騎士となった時には既に出奔しており、その悪名だけが微かに耳に入ってきたが、活動している区域が違うだけではなくセイラは独自の任務に就いているため関わり合うことはなかった。悪名が伝わってくるだけに実力は折り紙付き。一人で相手をするには荷が勝ちすぎる相手だと理解する。
(それでも、私は負けない。負けるわけにはいかない)
 セイラを取り囲むように広がろうとしていた左の男に向けて、セイラはスピアを突きつけながら突進した。身の丈に近いスピアは男達の武器の射程外から敵を一突きにするために襲う。
「おっとぉ」
 だが、スピアを顔面に突きつけられた男は持っていた短めの斧で先端を叩き、軌道をずらす。セイラは勢いを殺さないままに横をすり抜けるようにして移動し、立ち位置を入れ替えた。タイミングとしては完璧だったはずの一撃を躱されたことでセイラの心に揺らぎが生まれる。
(この男達……強い……)
 セイラは胸の内の動揺を悟られないように盾を構え、上にスピアを乗せるように身構える。対して黒い三連星達は戦いの最中ではないように談笑していた。
「おい、マッシュ。スピアを叩き落とせないとか腕鈍ってんじゃねぇか?」
「いやいやオルテガ。あの女、結構やるぜ。切っ先ずらすだけで一杯一杯だったぞ。こりゃあ本気ださねぇとな、ガイア」
「お前等。あれをやるぞ」
 男達の短いやり取りでセイラは名前と顔を一致させる。髭面のガイアに隻眼・栗毛のマッシュ。そして面長のオルテガ。連携に名前を出された場合に指示先を把握するために必要なことだ。
 マッシュとオルテガを従えて、ガイアは数歩前に出る。セイラは腰を低くして、相手の攻撃への迎撃体勢に入る。三人が何かを仕掛けてくるのを防ぐのには自分から近づいた方が良いかもしれないが、迂闊に近づけない気配を三人は持っていた。そしてそれは、縦一列に並んだことで更に大きくなった。
(この、プレッシャーは……)
 セイラの頭の中で警鐘が鳴り響く。子供も見捨てて全力で逃げるようにと体を操ろうとするが、セイラは精神力でねじ伏せてその場に足を叩きつける。
(弱い子供を見捨てたりは……しない……私は、ラクロアの騎士、セイラよ!)
 セイラが覚悟を決めた後、その決意を待っていたかのように黒い三連星は高らかに吼えた。
「いくぞ、オルテガ! マッシュ! ジェットストリームアタックだ!」
「了解!」
 ガイアを先頭にして男三人が一直線に並んだかと思うと、セイラへと向けて突進してきた。重たい鎧を着ているにもかかわらず、移動速度は軽装のセイラに匹敵するほど早く、セイラは接近されるまで行動を起こすことを制限されてしまう。だからこそ、最小限の動きで最大の効果を得るために、スピアをただ前に突きだした。盾に乗せていたためにスムーズに突きへと移行できたが、ガイアは手に持った斧を渾身の力でセイラが突き出したスピアに向けて振り下ろした。
「きゃあっ!?」
 右腕に走る衝撃に耐えられずにスピアを手放すセイラ。咄嗟に後方へと動いて追撃を躱そうとするが、目の前にはガイアはおらず、マッシュが手斧をセイラに振り下ろしてきている。目を離した隙に目の前に迫る人物が変わったことで、意識が一瞬だけ硬直したことがセイラの反応を遅らせた。振り下ろされた手斧を横にずらして躱せないため盾で受け止めるしかなかったセイラは、左腕に右手を添えて衝撃を受け止める。
 しかし、男の膂力には勝てずにセイラは後方へと吹き飛ばされて地面を転がった。
「あぐっ! げほっ!?」
 三度後方に回転した後で起きあがると、オルテガが棍棒を持ってセイラの肩口に振り下ろしてきた。しかし、今度は横に飛んで転がることで棍棒は目標のセイラを失い、地面を爆発させたような音を立てて打ちつけられた。
「はあっ! はっ! はあっ! はっ……はっ……はっ……はっ……」
「俺達のジェットストリームアタックを躱すとは」
「やっぱり久々にやってみると腕が鈍ったのかもなぁ、ガイアよ」
「まあ、いい。しとめるまで何度でもやってやろう」
 ガイアは淡々と言って再び三人を縦に並ばせる。セイラは痛む左腕と背中をできるだけ意識しないようにして、盾から剣を引き抜いた。目に見える被害は躱すために土埃で汚れただけ。しかし、男の力を真正面から受け止めた代償に、セイラは左腕の感覚がほぼなくなっていた。防御するために左腕の高さを保つだけで痛みに視界が濁っても、歯を食いしばって三人を視界に入れる。
(ジェットストリームアタック……一人一撃で、後追いで連続攻撃を仕掛けてくる技……これは、逃げたら不利、か)
 頭の中の冷静な部分でセイラはジェットストリームアタックを分析していく。ガイア、マッシュ、オルテガの三人が攻撃する度に入れ替わって三種類の連続攻撃を放ってくる。
 ガイアは武器破壊。二人目のマッシュが相手を無効化。オルテガがとどめを刺すという流れ。
 その連携を互いの動きの誤差がほぼない状態で行われるため、一人の人間の連続攻撃のように錯覚させられる。本当に一人が行っているのならば力の強弱があるが、実際は一人一人が渾身の力を込めて行うために一人の連続攻撃とは質が違い、セイラには受けきれない。
 受けることができないなら、後は躱して逆に攻撃を仕掛けるしかない。
(……最初のガイアの攻撃を捌いて、攻撃するしかない)
 セイラの目には次の攻撃のビジョンが見えていた。突進してくるガイアの頭上を飛び越えて、後方で攻撃しようとしているオルテガよりも早く斬りつける。自分の反応速度ならできると言い聞かせて、セイラは覚悟を決めた。
「行くぞ、ジェットストリームアタック!」
 ガイアの咆哮と共に三人が一斉に走り出す。セイラもまた、自分から迫り来る男達に向けて走り出した。
 ジェットストリームアタックを回避するのではなく、向かっていくこと。それは暴風に向けて自ら向かっていく勇気が必要だが、効果的な策であり、一回の攻防で気づいたセイラの聡明さは責められる物ではない。
 ただ、彼女にはあと一歩考察が足りていなかった。
「おぉおおおああ!」
 ガイアがセイラに向けて斧を振り下ろす。今度はスピアではなく剣に向けて。しかし、セイラは突進を右足で堪えて止めると後方に下がる。ガイアの斧は地面を爆発させるように抉り、その土塊と共にセイラの体が宙を舞った。前のめりになったガイアの肩に右足を乗せて飛び、後方のマッシュへと剣を振りかぶる。
「えっ!?」
 だが、次の瞬間には棍棒が目の前に現れていて、ヘルメットの前方を打ち抜いていた。
「がはっ!?」
 前に飛んだセイラの頭部をカウンターで打ち抜いた棍棒。その威力に兜がセイラの意識ごと頭部から離れていった。空中で一回転したセイラの鳩尾へ最後に向かってきたオルテガの手斧の柄がめり込んで、地面へと背中から叩きつけると、セイラの肺に残っていた酸素が全て口から出て行き、しばらく痙攣した後で動きを止めた。
 自分がいつ気を失ったかも分からないまま、セイラは意識を手放していた。
「ふん。俺を踏み台にするとはな」
「発想は悪くなかったんじゃねぇか?」
「へへ。やっぱり可愛い顔してるじゃねぇか」
 ガイアとマッシュ。そしてオルテガが繰り出したジェットストリームアタック。
 互いの武器や行動さえも変えてその組み合わせから何十通りもの攻撃パターンを持つ必殺の技。セイラが読み解き、攻略しようとしたのはその一端のみ。敗北は自明の理だった。
「ぁ……ぁぅ……」
 頭部への衝撃で意識を失ったセイラを見下ろして三人は再び笑う。兜に包まれていたのは首の後ろで切りそろえられた金髪。きめ細やかな髪は手入れが行き届いていて、王族にも匹敵するであろう美しさ。瞼を閉じている表情の無防備さは直前まで凛々しく自分達を睨みつけてきた表情とは異なっており、自然とガイア達の股間は膨れ上がった。
「よし、お前もこい!」
「ひっ……!?」
 ガイアはセイラを担ぎ上げ、オルテガは怯えていた子供を無理矢理立たせて歩かせる。マッシュは二人が持てなくなった武器を持って背後から歩き出した。

 * * *

「んっ……」
 ゆっくりと黒い霧が晴れていくように意識がはっきりしてくると、次に浮かび上がるように現れたのは頭部の痛みだった。額から後方にかけて細い糸が振動しているように、脳に直接痛みを伝えてきている気がしてセイラは瞼を震わせながら目を開けた。視界はぼやけていたが、見えた天井は薄暗く、岩を削り取ったような荒さがある。セイラが寝ている場所は何日も洗っていない臭いはしたものの、絨毯が敷かれていて多少なりとも岩の痛みを和らげている。
「……ここ……は……」
 まだ意識がぼんやりとしているセイラは視線を動かす。入り口らしきところには厚手の布がかけられていて、セイラのいる洞窟内のとある場所を部屋としていることが分かる。あとは飾り気のない殺風景な場所で、最後に入り口から反対側に目を向けると壁に背を預けて子供が膝を抱えて俯いていた。自分が助けようとした子供。近くで見て初めて男の子だと知ったセイラは、どう声をかけていいか一瞬戸惑う。おそらくは家族を殺され、自分もまた盗賊に捕まった。希望を見いだせないことも理解できる。だからまずは、体を気遣うように口を開いた。
「……だいじょう、ぶ?」
 セイラの問いかけに子供がびくりと動き、顔を上げる。現れたのは左頬が赤黒く腫れ上がった顔。どれだけの涙を流し続けたのかセイラには分からないほどに目元も赤く腫れていた。
「ぅ……ぅう……」
「ひどい……うっ」
 子供を慰めるために近づこうとして初めて、セイラは自分の両手足が縛られていることに気づいた。麻痺していた全身の感覚が戻っていくと、後ろ手に縛られた両手首に食い込む縄の痛みや、足首と膝で揃えられて一本に結ばれている両足も無理に押さえつけられて痛みが生まれてきた。自分の格好を見下ろすと、肩当てと一体化した胸当ても取られており、衣服のみ。持っていた武器や旅の荷物も部屋の中には見当たらなかった。
「――――っ」
「――――――――!」
「――――っっ」
 仕切られた布の先から聞こえてくるのは男達の笑いあう声。おそらくは自分を倒した黒い三連星のもの。セイラは頭の痛みがはっきりすると共にようやく自体を把握した。
(私も捕まったなんて……不覚……それに、こんな子供まで……)
 セイラはもう一度子供の姿を見る。自分に向けられる怯えた視線に胸を痛めながら、セイラは再度口を開こうとした。だが、先に子供が口にする。
「僕、死ぬのかな」
「……死なないわ。死なせない」
 考えるよりも先に口が動いていた。体に刻まれたラクロアの騎士としての誇りが言わせたかのように、自分の意志を離れて動く口。だが、セイラも同じ気持ちだった。絶対に子供を死なせないと自分に言い聞かせる。しかし、子供は頭を振って膝に額を押しつける。
「でも、お姉さんも捕まって。もうダメだよ……」
「絶対に逃げる機会はある。だから、諦めないで?」
 男達に聞こえないように静かに告げるセイラ。だが、子供の嗚咽が大きかったのか、布の先から雑な足音が聞こえてきて勢いよく布が舞った。
「おぉお? 目が覚めたかよ! どうだい? 捕まった感想はよぉ」
「……最低ね」
 現れたオルテガの顔を睨みつけてセイラは吐き捨てるように言う。セイラの強気な口調にオルテガが笑いながら近づいて、胸ぐらを掴んで無理矢理持ち上げる。両手足を縛られてバランスがとれないセイラは締め上げられる苦しみに顔をしかめたが、鋭い視線はオルテガから崩さない。
「たっぷりと可愛がってからどっかの金持ちに売りつけるかしてやるよぉ」
「離しなさい。汚らわしい!」
 セイラは勢いをつけて上半身を動かし、左肩をオルテガの胸板にぶつける。ほんのわずかだが後方によろめいただけでオルテガにはダメージはなかったが、セイラの行動に目の色が変わった。獲物をなぶり殺す狩人のような瞳だとセイラは思い、悪寒が走ったことを隠すのに必死になる。
「気に入ったぜぇ。その強気。崩すのが楽しみだ」
 オルテガはセイラの胸ぐらを掴んだまま部屋の外へと歩きだした。
「お姉さん!」
 子供の涙混じりの声にセイラは体重を後ろにかけて動きを止めると、振り向いて笑みを向ける。自分にできる限りの微笑みで、少しでも安心させるように。すぐにオルテガはまた歩きだして部屋の外へとセイラを連れ出した。
 セイラ達のいた部屋を出るとすぐに広めの空間に出た。セイラはまず広さと出口を確認する。男の足で十歩は歩きそうな広さのやや半円形の部屋で、出口はちょうどセイラが出てきた部屋の反対側にあった。部屋の中央ではガイアとマッシュが焼いた野生生物の肉を食べ、酒を飲みながら手に余る程度の宝石を眺めていた。
「おぉ。目が覚めたのか女騎士」
「へっへっへ。いい格好じゃねぇか」
「……」
 二人の前につれてこられたセイラは正座をさせられた。両足が縛られているためその体勢でしか座れないのだが、岩肌によって膝や脛が痛む。オルテガが髪の毛を掴んで無理矢理上体を起こしているところにガイアが近づいて、顎を油が付いた指で掴み、自分へと向けさせた。
「へへへ。綺麗な肌だねぇ」
「……っ!?」
 セイラが抵抗する間もなく、ガイアはセイラの唇に自らのソレを押しつけた。突然柔らかい感触が口に押しつけられ、更に舌が進入して口内をなめ回す。今、ガイアが食べていた肉の味がセイラの口の中にも広がって、吐き気にセイラは咳き込んだ。それでも舌の挿入を止めないガイアにセイラは歯で舌を挟んでいた。
「うぐっ!?」
 口を押さえて慌てて離れるガイア。同時にセイラは頭を殴られて岩の床に叩きつけられる。悲鳴は歯を食いしばって堪え、殴られた頭からの痛みに目から涙が出るも、視線は鋭くオルテガに向ける。
「この女ぁ……調子に乗るんじゃねぇぞ。盾突くようなら、あのガキを殺す!」
「っ!?」
 唐突に引き合いに出された子供の存在に、セイラは顔を青ざめさせる。そして同時に、自分と共に子供が拉致された理由も悟ってしまった。
(私を従わせるために……子供をさらったというの? 私がいなければ、あの子は……)
 セイラの中で後悔の念が渦巻く。ただ、状況は簡単ではなくセイラがいなければそもそも子供は死んでいたはずで、今、生きていることを考えると状況はほんの少しだが好転している。だが、自分と関わらなければ、そもそも黒い三連星に負けなければ余計な危険に晒すこともなかった。
「くっ……卑怯、者……」
「へっへっへ。お前が大人しく俺らの言うことを聞いたら、あいつは見逃してやってもいいぜ」
「あんなガキは売れねぇだろうからな」
「お前が俺らの好きにされる限り、命だけは保証してやるよ」
 オルテガだけではなくマッシュ。そして舌を噛まれて離れていたガイアも倒れたセイラを取り囲んでから見下ろす。その目には欲望にギラついた炎が灯っており、男達がこれからなにをするつもりなのかセイラも理解してしまう。女としての辱めを受ける屈辱と恐怖が汗を浮かばせ、体温を下げると共に体を震わせた。
「じゃあ、まずは……」
 セイラの青ざめた表情を見て言うことを理解したと判断したのか、オルテガはベルトをわざと音を立てて外して性器を剥き出しにした。閉じこめられていた生臭さとゴミがこびりついている肉棒の見た目にセイラは喉の奥に悲鳴を押し殺すのが精一杯で、上半身を少しだけ後方に動かす。だが、オルテガはセイラの後頭部を掴んで自分のペニスへと押しつけるように力を込める。
「俺の三日洗ってないチンポを、舐めて綺麗にしてもらおうか」
「そんっ……な……汚らわしいモノ……」
「断るなら今すぐあの子供殺すぜ。そしてお前もめちゃくちゃにしてやる」
「……男のくせに……こんな卑怯なことしかできないなんて……軟弱者!」
 セイラは内から生まれる屈辱と無力感を強い言葉でオルテガにぶつける。しかし、オルテガは唾をまき散らすほどに勢いよく笑ってから鼻先にペニスの先を押しつけた。
(くっ……臭い……)
 漂ってくる臭気はセイラの鼻腔を汚染するかのように、痺れを伴う臭さを発揮していた。必死に意識をそらそうとしても鼻腔に入りこみ、鼻の粘膜を溶かして体内に広がっていくのではないかと錯覚する。セイラはできる限り口で息をしようと口を開くが、直後、ペニスが入り込んできた。
「むぐぅううう!?」
「おっと、噛むなよ? ガキを殺す!」
 反射的にペニスを噛みちぎろうとしたセイラはオルテガの言葉に何とか踏みとどまる。脳裏に浮かんだのは子供の弱々しい表情。捕まってしまい、未来に光が見えない中、セイラは彼に諦めないでと告げたのだ。そして、子供の瞳にほんの少しだが光が灯るのを見た後でここへと連れてこられた。
(私が折れてはいけない……耐えなければ……これくらい、耐えられる……ラクロアの騎士の誇りにかけて……あの子は無事に住んでいた場所に返す……)
 セイラが大人しくペニスを咥えていることを確認するために動きを止めていたオルテガは、抵抗がないことから抽送を開始する。後頭部から側頭部に両手を移動させ、しっかり掴んでから動かしていく。セイラの舌の上をペニスが滑り、ペニスの下部に付着していたカスが舐めとられていくとオルテガは心地よさに身悶えする。
「うっ……ううっ……ぐっ……ぅえ……おぶっ……ぶぶ……ぉええ!? げほげほげほっ!?」
 逆にセイラはこみ上げてくる吐き気に耐えきれずえづき、咳込んでしまう。ただ、上半身をまっすぐに伸ばし、上向きでペニスを咥えさせられているために逆流する胃液もすぐに胃の中へと収まる。激しいえづきに肺や食道が痛む中、オルテガはペニスを口内で縦横無尽に動かしていく。
「オラオラッ! 下手くそだなぁ! もっと自分から舐めろよ!」
「むぐぅう! あづおあうう! ぉあおお゛ぉおおおお!?」
 前後運動だけではなく円運動で口の内側全域にペニスが擦り付けられる。異物の蹂躙に危機を感じた体は反射的に唾液を分泌させていき、抽送の激しさと共に水音を発する。セイラが舐めていく内にオルテガのペニスの先からもスペルマが流れ出して、唾液と混ざり合うと口内の許容量を超えてセイラの胃の中へと流れ込んでいく。
(臭い……にが……い……吐きそう……でも……耐えない……と……)
 セイラは液体と共に吐き気も飲み込んで、セイラは拳を力強く握って堪える。目を閉じて頭を揺り動かされるままに身を任せる。下手に抵抗すると自分の体に負担がかかると悟り、できる限り力を抜くようにするとほんの少しだが苦しさが和らいだ。
「んっ……んっ……んっ……んっ……んっんっんっんっんっ……んっんっ……んっ……んっ……んっ……んっんっんっんっんっんっ……んっ
……」
 前途への激しい動きとゆっくりとした動きを交互に繰り返す中で、セイラはペニスが引かれると共に涎が外側に落ちていくのを感じる。目を閉じているために見えないが、正座している膝の上に熱い液体がかかった感触が伝わる。自分の涎が熱を帯びているのだと分かり、涎を流す自分を想像したくないため飲み込もうとした。しかし、オルテガは余計な動作をする事を許さずにこれまでで最も激しくセイラの頭を揺さぶる。頭蓋骨を掴む力も強まってセイラは激痛に苦悶の表情を見せるが、言われた通りにペニスに歯をたてることだけはしない。
「おぉおお……気持ちいい……イッちまう!」
「んっんっんっんっんっんっんっんっんっ! んっんっんっんっんっんっんっんっんっんっぅぅうううあおおあおおお!?」
 絶叫と共にオルテガはセイラの唇を思い切り臀部に押しつける。黒い茂みの臭いが鼻にぶつけられたと同時に、喉の奥までねじ込まれたペニスの先から液体がほとばしり、喉の奥の壁にぶつかった。何度も肉棒がびくつく度に液体が飛び、喉の奥にぶつかってから食道を通っていく。最終的にオルテガの動きが止まったのは七回ペニスが震えた後。ゆっくりと舌の上を滑るようにペニスを引き抜くと、セイラの口とペニスの先に透明な橋がかかった。
「えほっ! げほっげほっげほっげほっ……ごほっごほっごほっ……げほっ! げほっ! あ゛ぁ……」
 解放された口で咳込むと口内にたまっていた涎が一気に外へと流れ出した。それでも飲み込んでしまった白濁液は出てこずに、胃の中に異物が入り込んだ不快感でセイラは呻く。
(なんとか……耐えた……)
 体力をかなり消費してしまったが、セイラはオルテガの拷問じみた行動に耐えることができてほっとしていた。少なくとも、自分はまだ耐えることはできて、子供の命も失われていない。三人には見えない、俯いた表情は笑みの形に変わっていた。
「よーし、じゃあ次は俺だ」
「あぐっ!?」
 次にセイラの髪の毛を引っ張り上げて上向かせたのはマッシュだった。既にオルテガと同じくらい汚れたペニスを晒してセイラへと近づけている。だが、セイラは最初に比べて臭いへの嫌悪感が鈍くなっていた。
(臭さに鼻が麻痺した……? なら、この場を切り抜けることは……できるはず……)
 受け止められる許容量を超えて鼻の機能が麻痺したならば、臭いによる苦しみは減る。セイラは瞼を閉じてマッシュからの攻めに身構える。だが、マッシュは口の先にペニスをつけた状態でセイラへと告げた。
「目ぇ、閉じるな。俺を見上げながらしろ」
「……」
 マッシュの命令にセイラはゆっくりと目を開ける。目の前には陰毛の大群。そこから視線をあげると目元にも力を入れなければならず辛かったが、何とかマッシュの顔まで見ることができた。見下ろしてくる視線と交差すると、マッシュはゲラゲラと笑いながら次の命令を下す。
「口を開いて、チンポ咥えろ。でな、口をすぼめるんだ」
 セイラは言われたとおりにペニスを咥え、水を大げさに吸う時のように口をすぼめる。頬が窪んで見上げてくる顔にマッシュは興奮したのか、両手で頭を掴んですぐ高速で腰を動かしていく。
「んっんっんっんっんっんっんっんっんっんっ!? あむっ!? んぅんっんっんっんっんっんっ!?」
 オルテガはセイラの頭を動かしていたがマッシュは逆に全力で固定させ、自分の腰を動かしていく。狭くした口の入り口でこそげ落とされていくカスの味が口内で攪拌されて吐き気が上ってきたが、嗚咽となる前にマッシュのペニスの先から精液が迸っていた。
「ぅうううっっっ!? んむぅううううううううううううううう!」
「何だよマッシュ。もうイッたのかよ。相変わらずはえぇな」
「俺は数で勝負するんだよ」
 オルテガに悪態をついてからマッシュはセイラの口からペニスを抜く。オルテガの時と同じように透明な橋がかかり、セイラはまた咳込んで口内の唾液や精液を吐き出そうとしたが、一足早くマッシュがセイラの頭と喉を掴んで、仰け反らせていた。
「あぐっ……げほっ!」
「全部飲み込めぇ……げひひひ」
 無理矢理上を向かされて、口内を汚した液体が垂直にされた食道内を伝って全て胃の中に入っていく。嫌悪感に苛まれていた脳は考える力を失っていき、されるがままに男達の体液を飲み込んだ。口内に液体がなくなったことをマッシュが確認して頭部を離すと、セイラはまた俯いて息を切らしてしまった。
「はぁ……はぁ……んはぁ……はふ……ふぅ……」
 額から流れる脂汗。開かれた口から呼気と共に垂れてくる涎が石の床を汚していく。酸素が足りずに気を失いそうになったセイラはは瞼を伏せて背中を丸め、少しでも楽な体勢を取るようにした。だが、それもすぐガイアによって髪の毛を引っ張られることで崩される。
「ぁあ……ぐ……い゛ぐ……」
 きめ細やかな金髪を汚れた掌で捕まれる嫌悪感。痛みに目を開くとガイアは手触りを楽しむように掴んだ髪の毛を指の間で弄ぶ。すでに下半身は裸になっていて、剥き出しのペニスが他の二人と同様に、セイラへ向けてヌラヌラと光っていた。
(この一本を咥えれば……終わるわ……もう少し……)
 セイラはガイアに向けて視線を鋭く送る。息を切らせ、体温の上昇により頬が赤くなっているセイラは、元々白い肌の色が際だっているため対比が激しい。ガイアは時間をかけてセイラの姿を眺めた後で髪の毛から手を離すと命令した。
「自分からこいつを咥えろ」
「……そんなこと、できるわけ……」
「なら、あのガキを殺すだけだ」
 はっとしてセイラはガイアを見上げる。今のやりとりはほんの少し前に演じたもの。その記憶が薄れているのは今の状況に体力の精神力も削られているからだった。自分が思っているよりも限界が近いことにセイラは歯を一度食いしばり、気合いを入れ直す。
(こんなことで、負けるわけには行かない)
 セイラは口先をゆっくりとペニスの先に近づけていく。既に鼻は麻痺して臭いはほとんど感じていなかったが、鈍った感覚でも感じ取れるほどの臭気がペニスから発せられている。
(もし、最初に咥えさせられていたら……気絶していたわ……)
 躊躇するセイラに向けてガイアはゆっくりと、一言一言はっきりとセイラに伝えた。
「口を開いて、舌を出して、ゆっくりと先から舐めていけ」
「……」
 セイラは従順な下部のように口を開いて舌を出し、ペニスに奉仕を始めた。

 ――続く。
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