親の仇に陵辱された潜入捜査官

  | 投稿者: 月華守屋

史上最強の弟子ケンイチよりFBI捜査官ジェニファー・グレーの凌辱物です。

裏社会の支配者、フォルトナの警備として潜入しているFBI捜査官ジェニファー・グレーは父を殺した男への復讐の機会を狙っていた。しかし……




 分厚い灰色の雲から霧雨が降り注ぐ中で、少女は立っていた。
 首を隠すくらいまでのセミロングの金髪の下には涙に濡れた瞳。
 歳は十三、四くらいで少女から大人になり始める顔は悲しみと憎しみ、そして苦しさが同居していた。
 顔と同じで成熟に向けて膨らみ始めている胸を隠すのは白いタンクトップのみでブラジャーも着けておらず、雨に濡れたことで肌の色や乳首が透けて見える。恥じらいの心がないわけではなかったが、今いる場所には他に誰もいないため気にしていなかった。
 穿いているジーンズにも雨が染み込んで徐々に重くなっている。肌に生地が貼り付いて不快感がこみ上げてきているが、それもまた些細なことだ。
 目の前に鎮座している墓石の存在感に、全ての感情は向けられている。
 霧雨によって色を変えている墓石に刻まれているのは、ランスロット・グレーという名前。
 共に彫られている生きた年数を歳に変換すると、40を超えたあたり。まだ若い年齢でなくなるのは、彼の職業が陸軍大佐であることからも多少の理解は出来る。危険と隣り合わせでいつ死ぬかも分からない任務に着いていたのだから。
 しかし、少女は知っている。
 ランスロット・グレーという名前に仲間は敬意を祓い、犯罪者は恐怖する。銃の達人であり、たとえ銃火器を持っていても命までは取らずに相手を無力化することができる力を持った男だった。
 敵が銃で武装していれば銃を持つ手の指を飛ばし、素手で立ち向かってくる達人には致命傷にならない箇所を撃ち抜き、制圧する。
 少女――ジェニファー・グレーにとって最愛にして最高の父親だった。
「パパ……あなたの敵、必ず取るから」
 ジェニファーは横に下げていた両手の拳を握る。爪が食い込み、血を流しても握りしめる力を緩めることはない。雨の滴と共に血が地面へと落ちていっても、ジェニファーは気にせずに墓を見続ける。
 父親の勇姿を、見聞きしたこと全て引き出して。最後に見た病院で横たわる姿まで。
 ランスロットの死体は心臓部が陥没しており、死因は心臓に骨が突き刺さったことによる。生半可な力では陥没などあり得ず、野生の獣に襲われたのではないかという憶測まで飛び交った。だが、ジェニファーは知っている。ランスロットを殺したのは、誰なのかを。
「絶対に、私が……逮捕するわ」
 言い掛けた言葉を喉の奥へと引き留めて、口にする。
 ジェニファー・グレー。
 銃の達人、ランスロット・グレー大佐の娘にして若きガンマスター。
 少女の瞳には復讐に揺らめく炎が宿っていた。
 瞳の炎は胸の奥へとしまい込み、彼女は父親の敵を討つためにきびすを返す。次にくる時は敵を捕らえた後だと心に決めて。

 ――そして、三年の月日が流れた。


 * * *


「――あの夢、か」
 ジェニファーはうっすらと目を開けると、横たわっていたベッドから転がって移動し、端で床に足裏をつけて立ち上がる。脱ぎ捨ててあった靴を履き、両手を組んで真上に体を伸ばすと凝り固まった筋肉がほぐされていくのがリアルタイムで理解できた。筋肉の収縮が解かれていくと共に血流がよくなり、首や肩が暖まってくる。心地よさに眠気がまたこみ上げてきたが一つあくびをしただけで頭から追い出した。服のまま寝てしまっていたため、皺になっていないが確認する。姿見の前に立って上から下まで眺め、くるりと一回転しても特におかしなところはなかった。
 首元まで覆われ、リボンでアクセントのついたノースリーブの白い縦縞ワンピースドレス。右足は付け根から布地はなく、左足だけが足首まで包まれている。肘まで白い手袋に包み、剥き出しの右足の太腿には布のリングが着けられている。左足の内側はスリットが入っており、太腿に銃のホルダーが見えた。
 額で横に切りそろえられた髪の毛をいじり、こめかみを通るように二房垂れている髪の毛を右手ではらった。
 服と顔のチェックも終わり、ため息を着いたところで部屋に備えつけてあった電話が音を立てる。わざとけたたましい音を立てて緊急性を強調する電話。しかし、今の時点では本当に緊急事態というものが起こらないとジェニファーは確信している。おそらくは、電話を使用している者もそうだろう。電話の目の前で五回コールが鳴るまで待ってから、ジェニファーは受話器を取った
「はい」
『眠っておられましたか?』
 電話が繋がって一番に尋ねてくる相手の気遣いにジェニファーはくすりと笑う。その気配が伝わったのか、電話口の男は咳を一度してから用件を手身近に告げた。
『フォルトナ様が全員を大広間にお呼びです。警備主任は壇上の警備を実施してもらうとのことです』
「分かったわ」
 簡潔に用件だけ告げて電話は切れる。
 ジェニファーは受話器を置くと金髪に包まれたうなじに両手を差し込んで勢いよくかきあげる。ふわりと舞った金髪は輝く粒子をまき散らすかのように美しい。しかし、顔には暗い色が滲んだ。
「……前に捕らえたFBIのことかしら」
 ジェニファーは瞳に熱い炎をたぎらせる。未だにフォルトナの前で冷静さを保つのは難しいが、堪えてきたことを無駄にしないようにと自分に言い聞かせる。姿見に映る自分の顔を見ながら、呪文のように繰り返す。
「私は警備主任。フォルトナを守る。私は警備主任。フォルトナを警護する。まだ、早い。もう少し。もう少し、耐えればいい」
 瞳に宿る炎が徐々に消えて心の内へと潜っていく。
 その炎は、三年前に父の墓の前で浮かべたものと同じだった。
「さあ、行きましょうか」
 精神制御を施してからジェニファーは優雅に部屋から出ていく。
 デスパー島警備部警備主任・ジェニファー。
 それが彼女の現在の役職である。
 赤い絨毯が敷かれた廊下を少し早足で歩きながら、いつしか手に取ったヘッドセットを頭部に装着する。口元に伸びるマイクに向けてジェニファーは問いかけた。
「この八時間で異常は?」
『ありません。平和なものです』
「このデスパー島の警備システムのおかげで、我々の出番は監視くらいですよ」
 笑い混じりの声が聞こえてくる。ジェニファーも内心では同意するが、口には出さない。
 人間よりも信頼できる監視システムによって、外部からの侵入者は完璧に迎撃できるようになっている。
 裏世界の支配者と呼ばれるフォルトナが所有するデスパー島は太平洋のある地点に浮かぶ島だ。フォルトナの屋敷の背後は断崖絶壁。前方は小さな港があり、果樹園やエンターテイメントステージなど遊園地さながらの催し物が行われるスペースという構成になっている。事前に来航することを告げて、かつ正規のルートで港に停泊しなければデスパー島の監視システムは問答無用で船舶やヘリなどに銃撃を加える。
 絶海の孤島かつ無慈悲な銃撃により、デスパー島への秘密裏の進入は不可能。
 先日もFBIの潜入捜査官を数名捕らえたところだった。
「そう。くれぐれも油断しないように」
 ジェニファーは一言だけ告げると通信を切って無言で歩みを進める。しかし、頭の中で考えるのは捕らわれた者達のことだった。
(あと四十八時間もすれば、作戦が開始される。それを、悟らせないためのブラフ……ごめんなさい)
 ジェニファーは顔には出さないまま心の中で捕らわれた者達に謝罪する。
(もう少しで、フォルトナを……父の敵を逮捕できる)
 心臓を高鳴らせて早足になるジェニファー。心から湧き上がってくるのは三年前の涙と屈辱。そして警備主任として潜入してからの苦痛に耐える日々だ。
 FBIの特別潜入捜査官、ジェニファー・グレー。
 それが彼女の本当の肩書きである。
 ジェニファーはまだ十代前半の少女でありながら、銃の腕は達人、ランスロット・グレーに勝るとも劣らない域まで到達しており、FBIが特別に捜査官に任命していた。
 任務は裏社会の支配者として武器などを横流ししているフォルトナの傍へと潜り込むこと。
 研修や訓練を経て一年後には警備員としてデスパー島へと入り込み、そこから一年かけて警備主任として事情を知らない周囲の者達にも信頼関係を築いてきた。
 そして、主であるフォルトナからも仕事を誉められるようになったのがつい先日のこと。潜入に失敗し、一矢報いようと特攻をしかけてきたFBIの捜査官達を華麗なる銃撃で生け捕りにしたのだった。
 過去から現在まで思考を重ねていると、いつしか目的地の大広間にたどり着く。ジェニファーは一度深呼吸をしてから扉を開き、部屋の中へと入った。部屋はただ大勢の人が集まる為に作られたような殺風景な場所だった。と言いつつも、床は豪奢な絨毯が敷かれて壁には何千万円もするような絵画が掛けられている。人々が集まる場所の正反対には一メートルほど床が盛り上がってステージになっており、フォルトナが椅子に座って見下ろしている。既に警備員や来賓の者達がほぼそろっていたため、ジェニファーはフォルトナのいるステージ上へと慌てて駆けていった。入り口からは全力で走っても一分はかかる距離。ジェニファーはステージに登るためにかけられた階段を音も立てずに上がりきってフォルトナの傍へとやってきた。
「すみません。遅れました」
「いや、問題ない。所詮、警備など真似事だ」
 フォルトナはジェニファーの咆哮を見ないまま、無機質に答える。ジェニファーはそこはかとない不気味さを感じつつ、少しだけ距離をとって立つとステージ上から集まった人々を見渡す。各国の政財界にいるセレブ達やテロリストまで。様々な者達が一堂に会している姿は、フォルトナがそれだけ影響力のある存在なのだと改めてジェニファーに知らしめる。
 フォルトナはブラックマーケットの中でも特に大きな影響力がある男だ。安価で武器を手に入れ、高価で売る。世界各国の紛争地域に武器を支給してテロリストの抵抗を引き延ばしているため、世界的に消すべきブラックリストに載っている。
 縦縞のスーツを着た恰幅のいい男で、ジェニファーの体が三人は入るほどの巨体を持っている。目にはバイザーをつけており、ジェニファーは二年経っても素顔を見たことはなかった。
「さて、そろそろ皆様もお揃いのようですので、話をさせていただこうと思う」
 フォルトナが椅子にあるボタンを操作すると、マイクが先につけられたアームが伸びてくる。すでに調整されているのかフォルトナの口の前にくると止まり、いつでも言葉を発することが出来るようになる。一度咳払いをしてからフォルトナは言葉を紡ぎ出した。
「先日、FBIの馬鹿どもがこのデスパー島へと進入してきた。ここにいる警備主任が見事に捕らえたのだがな」
 フォルトナに唐突に紹介されたジェニファーはひとまずは笑みを浮かべる。まだ十七歳の少女でありながら銃の腕は超一流ということは知れ渡っており、警備部の者達だけではなく来賓からも拍手が起こる。満面の笑みを浮かべながらもジェニファーは心の中で毒を吐いた。
(フォルトナが捕まれば、自分達の利益がなくなる連中、か……反吐が出るわね)
 瞳に映る来賓の何人かは、テレビの前で戦争反対、暴力には屈しないと声高らかに吼えているのを見たことがあった。人の前では武器の安易な流出を危惧し、恐れていながらも内心では争いを助長したがっている。争いを反対する自分を保つには、争いが起こり続けなければいけないということかもしれない。
「彼らはひとまず捕らえた状態でそのままにしている、が。生かす理由もないのでな。明日、殺してしまうつもりだ」
 ジェニファーは不意にフォルトナの言っていることが理解できなくなっていた。わざわざ人を集めて告げるようなことではない。フォルトナの性格を二年の潜入によって理解しているジェニファーには、いろいろと『実験』に人質を使いたがること。用が済めばあっさりと命を奪うことも分かっている。だが、それを人の前で告げることに何の意味があるのか。
 理解できない行動に、ジェニファーの背中に汗が流れ落ちる。
 その答えは、すぐにやってきた。
「せっかく生きたまま捕らえた人質を殺される気分はどうだ? 警備主任」
「……私はただの警備主任です。フォルトナ様のお好きになさればよいかと」
 出来る限り無感情で淡々と回答するジェニファー。フォルトナはジェニファーに視線を向けることなく笑い、次の言葉で場の時を止めた。
「FBI特別潜入捜査官、ジェニファー・グレーとしてはただではすまないだろう?」
 その言葉の意味を来賓のほとんどは理解できず、かろうじてテロリストの数人がFBIの名に反応する。警備部の動きは素早く、それぞれ備えていた銃を手に持ってステージ上のジェニファーへと突きつけていた。だが、ジェニファーも誰よりも早く、自らの右太股につけたホルスターから小型銃を抜いてフォルトナのこめかみに突きつけている。
 自分へと向けられた銃はまだ距離は遠く、明らかにフォルトナをしとめる方が早い。
「……いつから気づいていたの?」
 自分へと向けられる銃がいつ火を噴くのかと気をつけながら、ジェニファーはフォルトナに向けて問いかける。フォルトナはけして馬鹿ではない。FBIだけではなく世界中の警察組織から逃げ続けている男だ。普段はデスパー島にこもって鉄壁の防御に守られ、外に出る時も足跡を残さない。只者ではないとジェニファーも考えており、常に細心の注意を払っていた。それにも関わらず気づかれた理由が気になってしまう。
「ふふ。なに、簡単なことだ。警備主任」
 フォルトナは軽く笑った後で告げる。世間話でもするかのように軽い口調で、血なまぐさい話を。
「銃の達人、ランスロット・グレー大佐と同じ動きをしていたのでな。FBIを捕らえる時に」
 父親の名前を親しい友人であるかのように出されたことで、ジェニファーは一気に頭へ血が上っていた。犯罪者として捕らえるという意識は一瞬で憎悪の炎に焼かれて消える。沸き出す炎に従って、ジェニファーは絶叫しながら引き金を引く。
「フォルトナぁあああああああああ!」
 こめかみへとニ連続。そしてわき腹へとニ連続という【コロラド撃ち】にも似た銃撃を一瞬で行う。あまりにも素早い動きに銃を突きつけていた者達は誰も反応できなかった。警備用の小型拳銃では連射もままならないはずなのに、ジェニファーは問題なく扱う。それは銃の達人を継ぐものとしては当然のこと。
 あまりにもあっさりとした銃殺劇が起こった後で、場の空気はまた凍り付く。その中で最初に立ち直ったのもまたジェニファーだった。
(――これは!?)
 硝煙の向こう側にあるフォルトナの顔と腹部からは別の煙が上っていた。慌ててフォルトナの背後に隠れて傷口を見ると、内部から配線が伸びている。近くにいても気がつくことが出来ないほどに精巧なロボットを撃ったに過ぎないのだと気づいた瞬間に、背後に生まれたおぞましい気配に振り返りざまに発砲した。
「ああああっ!」
 頭と体がある位置それぞれ二発ずつの銃弾を放つ。しかし、弾は人間の肉体に食い込むことはなかった。目の前に巨体があるというのに、まるで陽炎に向かって撃っているように手応えがない。
「ど、どうして!?」
「躊躇なく人間の急所を撃つのは感心するが、ワシには効かんなぁ」
 目の前に立つ男は、先ほど破壊したロボと同様にジェニファーの三倍はある体格を持つ大男だった。目元のバイザーも見覚えのあるもの。頭髪が黒々と逆立っているのはロボットとは異なっていた。いくらでも狙える場所があり、かつ躱しようのない体の中心部を狙っているにもかかわらず銃弾は撃ち尽くすまで綺麗にフォルトナの背後へと抜けていったのだった。
「くそっ……痛っ!?」
 ジェニファーは銃弾がつきた弾倉を交換しようとする。しかし、弾倉を持った右手を覆い隠すようにフォルトナの掌が握って止めた。
「あぐ……はな……せえ! ぐ……あああっ!?」
 万力で絞めつけられるような激痛に、左手に持った銃の柄を叩きつける。フォルトナの腕はジェニファーの太股よりも太く、彼女の打撃にも全く動じない。数度殴りつけた後で、握りしめられる右腕からの激痛に喘ぎ、銃を取り落としてしまった。
「が……うう……」
「その勇ましさ。後でたっぷりと堪能することにしよう。カッハァアアアア……」
 フォルトナは口を大きく開いて息を吐くと、歯を食いしばって右拳を突き出す。ジェニファーはその軌跡を目で追うことはできずに、鳩尾に強烈な一撃が入った衝撃によって抵抗する間もなく意識を吹き飛ばされていた。

 * * *

 ジェニファーは俯せに倒れている状態からゆっくりと体を起こすと、すぐに夢を見ているのだと悟った。体はまだ十代前半の幼い肉体であり、かつ自分が十七歳だと自覚している。幼い自分は視線の先に、父親が闘っている光景を見ていた。
 凛々しく筋骨隆々。銃は友達が合い言葉のランスロット・グレーは雄々しく立ちながらも肩を大きく揺らしている。すぐ傍には幼稚園バスがあり、中には十数人の園児がいる。
 そして、武装した大人が銃を園児達に突きつけていた。
(パパ……)
 ジェニファーの心の叫びは誰にも届かず、ランスロット・グレーはジェニファーに背を向けたまま顔を弾かれ、腹部を貫かれて巨体が宙に浮く。
(パパ! どうして銃を使わないの!?)
 誰かと素手で闘っているのを見ながら、ジェニファーはもっともな疑問を口にする。ランスロット・グレー愛用の拳銃は二丁とも遠く離れた場所に転がされている。ジェニファーは上半身だけ起こしていた状態からふらつきながらも立ち上がり、銃に向かって歩き出す。
 銃の達人ランスロット・グレーならば銃があれば必ず勝てる。そう信じて歩み始めたジェニファーの耳に何かが深く貫かれる音が届いた。
「――パパァアアアアアアアア!」
 心臓を貫かれて絶命する瞬間の父親と、太い腕で胸元を貫くバイザー越しの笑みが目に入ったことで、ジェニファーは夢と現実の境界線から体を起こしていた。
 実際のジェニファーは仰向けに倒れており、夢の中の父へと伸ばした右腕で勢いをつけて上半身を起こす。崩れそうになる体を、左手を支えにして止めて叫んだことにより崩れた呼吸を反射的に立て直す。
「はぁ……はぁ……はぁ……こ、こは……」
 目覚めたジェニファーがいるのは、殺風景な部屋だった。壁も天井も白く扉が一つのみ。広さは十メートル四方といったところでただの寝室にしては広すぎる。人が数人横になって寝られそうなベッドが、入り口とは反対側壁の傍に設置されている。ジェニファーがいるのはちょうど入り口とベッドの中間点。床から起きあがって床を踏みしめると、わずかではあるがクッションが働いていて、衝撃を吸収しているらしかった。
「ここは……どこなの……?」
 警備主任であるジェニファーはフォルトナの屋敷構造は把握している。どこにどんな部屋があり、どこに監視カメラがあり、防犯システムがあるのか。見張りの配置や見回りの時間までも一つ一つ丁寧に記憶している。
 しかし、今、自分がいる場所だけは全く記憶にない。存在すらも分からぬ部屋に困惑しかけたが、逆にそれがジェニファーの中の記憶を引き出す。
「知らない部屋……そうか、ここが……」
「特別室だ」
 ジェニファーの言葉に応えるようなタイミングで扉が開かれ、フォルトナが姿を表した。ジェニファーはとっさに太股につけたホルスターから銃を抜こうとするが、そこには何もない。気絶している間の武装解除に思い至らない時点でまだ混乱が回復しきっていないと、ジェニファーはフォルトナから離れるように後方へと飛ぶ。まだ八メートルほど距離があるが、フォルトナから沸き出してくる禍々しい気配にジェニファーの第六感が危険と判断していた。
「ふむ。手加減していたとはいえ、もうそこまで回復するとは。さすがはランスロット・グレー大佐の娘と言ったところか」
「……」
 ジェニファーは油断せずにフォルトナの姿を視界に入れる。気を失う前まで見ていたスーツ姿と異なり、今のフォルトナはビキニパンツ姿だった。スーツを着ていても下にある筋肉による体の膨張は見ていたが、改めて肌を晒すとその筋肉と骨の濃い密度を見せつけられる。記憶の中にある父親の肉体に負けずとも劣らない筋肉の鎧は、小型の銃では弾丸をはじき返してしまうのではないかとさえ思う。
「特別室……監視カメラも通信手段もない、密室。警備部でもそこだけは存在が秘匿されていた場所、ね」
「そうだ。ここは私が楽しむための場所でねぇ」
 フォルトナはジェニファーへの距離を詰める間に両腕を真上へ伸ばし、そのまま背後へと腰を捻る等の準備運動をしていく。上半身を捻り、アキレス腱を伸ばす。両手足が怪我をしないようにと続ける運動を、フォルトナは動きを止めないまま行っている。動きの滑らかさの原理が理解不能で、ジェニファーは上半身を守るように両腕を掲げて拳を握りながら、後方へと下がった。それでも距離は五メートル、四メートルと縮まっていく。
「私はねぇ。達人に興味があるんだ。裏社会を勝ち抜いてきて、私は真の強者とは肉体を鍛え上げたものだと確信し、達人の体のメカニズムなどに興味を持った。そして研究し、追求し……いつの間にか私自身が達人クラスになっていた」
(――達人クラス!)
 武術の階層――弟子と達人。そして達人の中でも特A級の達人クラスまでと幅がある。
 ジェニファーも銃を持った上での戦闘力は若くして達人クラスに上り詰めるほどだったが、フォルトナの言葉が正しいのならば、銃を持っていないジェニファーには不利でしかない。
 達人クラスと弟子クラスの実力差は神と蟻くらいのものだと噂されており、実際にそれくらいの差があるのだと知っていた。
「ランスロット・グレー大佐にも、私の実験に付き合ってもらったのだよ」
「……父に? 実験?」
 ジェニファーの脳裏に蘇る光景。幼稚園バスの人質。銃を置いて闘う父親。
 そして、父親の胸を貫くフォルトナ。その光景をジェニファーは見たわけではない。死体の状況や目撃証言から少女の頭が組み上げた再現映像。
 ランスロット・グレー大佐は、幼児達を人質に取られたため、銃を手放したまま戦い、命を落とした。
 父の最後を見ることが出来なかったジェニファーが作り上げた映像は、夢の中で難度も再現されて、状況を作りだした相手――フォルトナへの憎悪へと変わっていく。
「銃の達人が、銃を奪われたらどれくらい闘えるのか。実に有意義なものだった。私の予想を大きく上回って、善戦していた。貴重なデータ収集となったよ」
「ふざけるな! お前の実験のモルモットにされるなんて……そんなこと……!」
 ジェニファーは怒りに表情を歪ませ、拳を強く握りしめすぎて血が流れる。怒りで爆発しそうなジェニファーを見てもフォルトナは全く動じずに鼻の穴をホジりながら告げた。
「弱い者は強い者の糧になる。それが裏の世界だ。お前の父親は弱かったから負けたのだよ」
「パパは弱くない!!」
 遂に一メートルの間合いへと近づいてきたフォルトナに、先に仕掛けたのはジェニファーだった。掌から流れ出した血を、腕を振ることでフォルトナのバイザーに向けて飛ばす。目潰しの効果がどれほどのものかは無視して、ジェニファーが狙ったのは股間だった。上半身へと攻撃すると見せかけての下半身攻め。しかも、男の急所への躊躇ない左足の蹴り。
 しかし、体格差を帳消しにする一蹴りは股間へと届かなかった。
「なに!?」
 フォルトナは内股になって両太股でジェニファーの左足を挟み込んでいた。下から上への渾身の蹴り上げを挟み込むことで止める。力の方向が全く異なるにも拘わらず止めることが可能なのは、挟み込む力が桁違いに強いため。上から振り下ろされる刃を両側から挟み込んで止める真剣白羽取りの要領だが、内股になるだけで可能とする脚力にジェニファーは背筋へと悪寒が走った。
「躊躇なく金的蹴り。さすがだなぁ……だが、そんな分かりきった攻撃では私は倒せない」
「くそ! 離せ! この!」
「同じ銃の達人でも男女でどれくらい差があるのか。親子二代で実験台になるがいい」
 フォルトナは内股のままで右拳を振り上げる。自分を気絶させた一撃が放たれると直感的に判断して、ジェニファーは体を丸めて両腕で前面をガードした。直後にぶつかってきた衝撃は挟み込まれていた左足を解放して宙空に飛ぶ。ジェニファーの体は体勢を変えることもできないまま、後方にあったベッドにぶつかっていた。
「がはあっ!?」
 簡素なベッドに背中を打ち付けて、ジェニファーは息が止まってしまった。ベッドの足が床に完全に固定されているため威力が逃げず、背中側にくの字に歪んだ体は床へと俯せに倒れる。
 背中からの激痛に呼吸が止まったままでも、ジェニファーはどうにかして息を吸おうとしながら起きあがる。すぐ傍にはフォルトナが迫っている気配。捕まってしまえば何をされるかというのは正確なところは理解できていないものの、なぶり殺しにされるということは直感的に悟っていた。
 情報から脳内で再生された父親の死に姿が自分へと重なり、死への恐怖がジェニファーを突き動かす。
「――っっ!」
 俯せのまま四肢に力を込めて横に飛ぶ。流れる視界の中で背中を踏みつけるように飛び込んできたフォルトナを確認し、飛んだ体を両足で床を踏んで動きを止めてからジェニファーは前に出る。呼吸もすぐ回復したが、深く息を吸うと背中に痛みが走る。その痛みを気付け薬にして飛び上がると、ジェニファーはフォルトなの首へと右足を叩き込んだ。
「ぁああああ!」
 筋肉で覆われた首筋への一撃には手応えを感じる。右足での渾身の蹴り。主に銃を撃つ際の姿勢制御のために鍛え上げた下半身は、固い筋肉の鎧こそまとっていないがしなやかで強靱なもの。鞭のようにしならせた右足の一撃は、達人クラスに近しい威力を発揮する。
「いい蹴りだ」
「ひっ!?」
 だが、フォルトナは蹴りを受け止めたままで頭を左に倒し、ジェニファーの右足を首と肩で挟み取っていた。そのまま体を回転させてジェニファーの体は宙を勢いよく回る。事実上、首だけで挟み込んでいるのに右足はロックされて、ジェニファーの長い髪の毛が全て遠心力で外側へと流れていく。
 十回、二十回と回転が増していくとさらに血も頭へ上っていって、ジェニファーの意識は朦朧とし始めた。
「ふんっ!」
「きゃあああああ!」
 ジェニファーが気を失うタイミングを見計らったかのように、フォルトナは頭の位置を元に戻す。今度はベッドとは逆方向に吹き飛んでいき、床を転がって数メートル進んだところで止まった。床はショックを吸収する素材で出来ており、ジェニファーは投げ捨てられてから床に激突したにも関わらず、致命的なダメージは受けていない。
「あう……が……は……ぅう……ぁ……」
 仰向けで転がったジェニファーは立ち上がろうと両手足を動かす。膝を曲げ、両手の指で床を掴むように大きく開く。歯を食いしばり、上半身を起きあがらせようとしていたが、目の前に立ちふさがったフォルトナがジェニファーの服の胸元を掴んで引き上げた。
「はな……せ……」
「ふむ。期待はずれ、か?」
 フォルトナは親指で人差し指を押さえ込んでから一気に解き放つ。俗に言うデコぴんで、ジェニファーは額を撃ち抜かれた。ただのデコぴんでも達人クラスの指はゴム弾を頭に食らったような衝撃をジェニファーに与えて、彼女の意識を一瞬だけ飛ばす。だが、デコぴんが連続してジェニファーの体を撃ち抜いていくことで彼女の意識は電灯のスイッチのオンオフのように点いては消え、消えては点く。
「あぐっ! あっ! ああっ! ぐはっ! んっ! あっ! あ゛! あ゛! あ゛! あ゛! あ゛! あ゛! あ゛! あ゛あ゛ぁああ゛!」
 額に。頬に。剥き出しの肩に。腹部に。衣服の上から太股に。
 指一本によって与えられる打撃はジェニファーの体から闘う力を奪っていく。骨が折れる、ということはないまでも打ち据えられた肌は赤く腫れていき、フォルトナの指の威力を物語る。
(こんな……遊ばれて……何も、できない……パパ……パパ……)
 痛みと苦しみ。そして悔しさにジェニファーは瞳から涙が滲む。
 武器を奪われ、圧倒的な力の前になぶられる自分に上書きされるのは、父親の姿。
 父に銃の腕前が匹敵したかは自分でも分からないが、同じく銃の達人とまで言われるようになった自分が、父と異なり全く抵抗できない屈辱に彼女の心が蝕まれていく。
「どうした? もっと抵抗するんだ。何のために軽くしてやってると思ってる?」
「……ぅ……ああああああ!」
 あからさまに手加減を告げてくるフォルトナに対して、ジェニファーが体の底から引き出したのは怒りだった。打撲痕から漏れ出ていくように思える体力を、傷口を閉じるように全身に力を入れることで閉じこめる。胸元を掴んでつり下げているフォルトナの手を掴み、ジェニファーは力を振り絞って体を回転させる。捕まれた部分が引きちぎられ、乳房まで露出するも飛び上がってフォルトナの顔面を狙った。
 金的も首筋もダメなら、残るのは頭部に直接の打撃のみ。
「ぁあああああああああ!」
 フォルトナの腕を掴んだまま、宙空で体を回転させて突き出した右足は真正面から顔面を貫く。足裏から伝わってくる固い感触にも怯まずにジェニファーは連続して両足蹴りを叩きつけた。
「ああああああああああああああああああああああ!」
 喉が張り裂けて血が吹き出しそうなほど吼える。両手でフォルトナが突き出したままの腕を掴み、顔面を蹴る反動で宙空に姿勢を保つ。額やバイザー。鼻や口など蹴りつけることで時折血も吹き出し、ダメージを与えられているはずだと自分に言い聞かせる。
(――言い、聞かせる?)
 まるで自分を洗脳するかのように言い募ることに違和感を覚えた時、彼女の抵抗は終わっていた。
 まず捕まれたのは左足。続いて、勢いを止められずに放った右足も大きな手の中へと収まる。自由を封じられたことに集中が乱れたジェニファーの隙をついて、腕を掴んでいた両手もフォルトナはあっという間に両手首を掴んでいた。
「あぐっ! いやっ! ああああっ!」
 両手と両足を捕まれ、そのままフォルトナの頭上に掲げられたジェニファーは一本の棒のように縦長の体勢にされて引き伸ばされる。臍まわりからまっぷたつに引き裂かれそうな膂力に、息苦しく叫ぶこともままならない。体中がきしむ音の中でフォルトナの声はやけに大きくジェニファーの耳に届いた。
「ふん。まあ、こんなものか。銃の達人といえどもランスロット・グレー大佐にはまるでとどかん。大人と子供の差か……」
 血を流しているはずなのに、フォルトナの口調にはダメージが感じられない。ジェニファーは仰向けの状態で掲げられているためにフォルトナの顔は見えず、自分の攻撃が無駄だったことを言外に知らされていた。
(痛い……苦しい……ごめんなさい、パパ……敵……とれなくて……)
 五分ほど頭上で両手足から引き伸ばされたジェニファーは、解放されてベッドへと投げ捨てられる。最低三人は寝られそうな巨大なベッドはジェニファーの体を受け取り、跳ね上げて衝撃を吸収する。ベッドの端まで転がって停止したジェニファーの頭はベッドの外に出ており、顎を仰け反らせて金髪を垂れ下げた。息苦しい体勢でも自力で動くことができずに体を震わせるだけ。
 その体を、フォルトナが引き上げて改めてベッドに横たえる。次にジェニファーの耳に届くのは生地が引き裂かれる音。元々破れていた胸元からフォルトナが力任せに引きちぎっていき、時間も経たずにジェニファーの裸体が露わになる。生まれたままの姿を憎い敵の前に晒したところでジェニファーは朦朧としていた意識を取り戻し、羞恥に顔を赤らめて体を震わせた。
「ゃ……ぁ……あ……」
「なかなか強かったから次の実験だ。お前には私の子を産んでもらう」
「こ……ども……!?」
 フォルトナの言葉を理解した時には、すでに準備は始まっていた。フォルトナはすでに股間を晒して屹立する肉棒を露わにしている。その太さが自分の腕くらいあるように見えて、ジェニファーは顔を青ざめさせた。逃げるために体を起こそうとするも、両足を捕まれて広げられた状態で引き寄せられる。まだ少女の幼さを残している膣は固く閉ざされていたが、そこに肉棒の先が当てられた。
「ひいっ! や! やめ……やめろっ……!!」
 フォルトナはサイズの合わない鍵穴に、無理やり巨大な鍵を突っ込んで開けようとしている。ジェニファーはペニスの大きさが腕くらいというのは大げさだったと悟るが、未貫通の膣口には大きすぎる先がねじ込まれていく。
 前戯もなく、ただフォルトナが種付けをするためだけの行為が始まろうとしていても、ジェニファーにはもう抵抗らしいものはできなかった。
 両腕が痺れていてペニスを挿入しようと力を込めると共に前傾姿勢になる顔に打撃も与えられない。ねじ込まれる痛みに息を止めて耐えるしかなかった。
「ぬぐ……っ! 狭いが……そこを侵略するのもまたいい!」
「ア゛ッ……ガハッ!? ア゛……ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!?」
 ペニスが閉ざされた膣口を突き破ったこと。そして処女膜をも蹂躙する激痛にジェニファーの体は思い切り跳ねていた。自らの力では動かない体が外部からの刺激によって動かされる。自分の体が自分のものではなくなったかのような錯覚と激痛に、ジェニファーの意識は混濁していく。だが、腰を捕まれてペニスの抽送が始まると、意識を失うことすら許さない。
「アグッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ!」
 一つ一つが渾身の突き込みであり、引き抜かれるごとに傷つけられた膣内の血液が溢れ出す。同時にペニスの先から流れ出しているスペルマが血の色を薄めていく。
「うむ! 狭い! 痛いぞ! お前と闘って……一番痛めつけられているかもしれないなああっ!」
「グッ! ン゛ッン゛ッン゛ッン゛ッン゛ッ……こ……この……ン゛ッ……ア゛ッア゛ッア゛ッそん……な……ア゛ッア゛ッア゛ッ……ングゥウウウ゛! ギッ……く……そお……」
 フォルトナの侮辱の言葉が伝わってきても、今のジェニファーにはどうしようもない。一突きごとに脳に火に焼けた鉄棒を押し当てられるように痛みと灼熱を感じ取り、見開いた目から涙がとぎれることなく溢れてシーツを濡らすだけ。
「や゛め゛……や゛め゛ろ゛お゛! やっ……ああ! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ! はな゛ぜえええ゛え゛え゛ ンアア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! ア゛ッ! アアアアアッ!」
 下腹部を圧迫される苦しみに首が締まり、無理やり出す声はしゃがれている。涙と鼻水で汚れる顔は、闘いが始まる前の凛々しいジェニファーの顔とはかけ離れていた。
「おっ! おおっ! いいぞお……まず一回目だ……」
「はぁうあぐああ!? え……いっか……い……やっ!? やめろ! やめろぉおおおお!」
 フォルトナが告げる「一回目」の意味に気づいてジェニファーは絶叫する。
 動かなかった両腕が最大の危機感に突き動かされて、腰を掴んでいるフォルトナの腕を叩く。だが、フォルトナは腰を掴む力を強めて自分に引き寄せるようにするとジェニファーの尻は浮かび上がり、ベッドと平行な状態でペニスが突き込まれる。
「ぅ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ! やめ゛ろ゛おおおお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛! ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!?」
 膣の内側を高速でえぐっていくペニスは、その窮屈さに限界を迎えて精液が出されていた。熱く粘ついた液体が膣内に放出されて奥まで届くと同時にジェニファーは両手でシーツを強く掴み、硬直した。フォルトナが精液放出の度に腰が動き、波が上半身にも伝わる。仰向けでも形を崩さない小降りの胸に波が立って、最後に開けっ放しの口から喘ぎ声が漏れた。
「あぁあ……んあっ……はぁ……ん……あ……」
 肌を上気させて荒い息を吐くジェニファー。
 そこにいるのは、もはや特別捜査官ではなく、犯された哀れな女だ。
(パパの敵……の……子供なんて……いや……や……だ……)
 実験と称して父親を殺した男に陵辱される。それだけでジェニファーの感情は怒りに満たされ、自らの感情までも焼いていく。だが、屈辱の余韻に浸る間もなくフォルトナはまた動き出していた。
「えっ!? どうして!?」
「まだ終わらないからだ」
 フォルトナは再び腰を動かし始める。自ら出した精液が潤滑油となり、ペニスの抽送がスムーズになっていく。引き抜かれる度に激しい水音が外へと漏れて、シーツを白く汚していく。
「早く終わる代わりに、五回くらいは出さんとな。残り最低四回だ」
「――ひいっ!?」
 おぞましい男の子種をそそぎ込まれる。一回だけでは最も恐ろしい結末である妊娠までいく可能性は低い。しかし、それが四回、五回と続けば分からない。それに、受精する可能性は乳首に触れられて快感を得てしまったことで更に高まる。
「ほう。お前は乳首が弱いのか?」
「んあぅ! あっ! ああ……んんっ! んっ! あっ!? アッ! アッ! アッ! アッ! ヤアッ!?」
 フォルトナは腰から乳房へと腕を移して、指先で丁寧に乳首をいじり始める。ジェニファーの体格に見合う小さな乳房とツンと勃つ乳首は綺麗な色をしていた。男の舌によって転がされたことがないような美しさにフォルトナもにんまりと笑顔になる。
 実際、ジェニファーは銃の腕を鍛え続けていたためにその美貌に反して恋人はいない。父の敵であり、裏社会の支配者であるフォルトナを逮捕するために自分の生活のほとんどを犠牲にしてきた。
 フォルトナの顔を苦渋に歪ませるために費やしてきた時間がいまや、皮肉にもフォルトナを喜ばせている。
「突き込みと同時に乳首を摘むと、反応が違うな……子宮もおりてきている……」
「ヤッアッアッアッアッアッアッヤッ……ヤメッ……ろぉ……ちく……び……いじらな……いじるなあ!」
「ふむ」
「ンキャアアアッ!」
 自分でも出せるとは思っていなかったような、可愛らしい絶叫。
 フォルトナは乳首をいじられることによるジェニファーの反応も実験と言うように、ペニスの突き込みのリズムを変えながら乳首のいじり方を模索する。指で挟み込み、強く弾く。指の腹でいじり回す。両方を同時に触る。片方だけ乳房を揉んで乳首を陥没させるなど次々と変えていった。
「アンッ! ハァンッ!? キャウッ! ンハッ! ンハアアアッ! アッアッアッアッアッアッアッ……ダメッ……ダメェエエエエエエッッ!」
 自分でも恐ろしいくらいに体の奥から快楽がこみ上げてくる。ジェニファーは処女であり、一人で慰めることも生きてきて数回しかない。それなのにフォルトナは性に疎い肉体から快感を引き出して、彼女を支配しようとしている。裏社会を統率してきた男の性技はいともたやすく処女を弄ぶ。
「締め付けもよくなってきたな。では、二回目だ……」
 二つの乳首を指でコリコリといじりながら突き込みを激しくする。あっという間に膣が締まり、圧迫感を得たペニスは精液を吐き出す。一度目の液体を上書きするように放たれた二発目は子宮の入り口までノックするように飛んでいった。
「ヒアウァアアアアアアア! イヤアアアアアアアアッッ!」
 二度目の射精。またしても憎い男の精が注ぎ込まれる。ジェニファーは自分の体に起こっている変化に気づいて、また全身が震えだした。
(気持ちよく……なってる……からだが、受け入れているの?)
 とろけて歪んだ視界に荒く、しかし快感を引き立たせる吐息。フォルトナの動きが止まっている時はかろうじて冷静な思考が出来るものの、動き始めれば痛みと快感に流されるだけ。
「さあ、三度目だ」
 背中に腕を回されて体を起こされる。フォルトナはあぐらをかき、その上にペニスが突き刺さったまま乗ることになる。重力によってより深く刺さったペニスの先は子宮口に押し当てられて、更にねじ込まれた。
「ギャアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛! ンハアアアッ! アンッ! アンッ! アンッ! アンッ! アンッ! アンッ! アンッ! アンッ! アンッ! アンッ! アンッ!」
 苦しさに仰け反るジェニファーの乳房にフォルトナはしゃぶりつく。右左と交互に乳首を舌の上で転がし、空いている乳房はしっかりと指でいじりまわす。乳首から広がっていく甘美な電流は膣に到達し、男の精を受け入れて子供を産むための準備を進めていく。その動きも手に取るように分かるのか、フォルトナは幼子に高い高いとするようにジェニファーの脇を掴んで揺さぶる。
「んふいっ!? いっ! イヒィイアッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アンッアンッアンッアンッアンッアンッアンッアンッアンッアンッ……ンンンッ!?」
 フォルトナの腰が動くのではなく、自分の体を揺さぶられることで快感を与えられてしまう。なすすべなく上下に揺さぶられ、支えを失った頭は前後に揺れて何度目かの脳しんとうを起こしたジェニファーは、最後に膣深く突き刺されたことによって意識を取り戻す。
「がふっ……ア……が……」
 フォルトナは再びジェニファーをベッドへ押し倒し、今度は乳房ではなく首へと掌を伸ばした。固く大きな掌がジェニファーの首を締め付けると、全身に力がこもった。当然、膣にも。
「ほうほう。締め付けがよくなったな。女の首を絞めながらのセックスはよいと聞いていたが。鍛えられていると更に良さが増す」
「ゴッ……オッオッオッオッオッオッオッ……オ゛ッオ゛ッオ゛ッオ゛ッオ゛ッオ゛ッオ゛ッオ゛ッ……」
 実際に喉の締め付けは膣を収縮させていた。それはフォルトナのペニスを圧迫して射精させるだけではなく、ジェニファーにも気持ちよさを増す役割を果たす。首を絞められたことで呼吸がうまく行かず、圧迫感に顔が真っ赤になる。瞳は充血し、熱があってもフォルトナは激しい腰の動きを止めない。
(ダメ……なにか……くる……きてしまう……こわい……きもちよくなって……ダメ……ダメ……ダメダメダメダメダメダメェエエエ!)
 口から漏れる絶叫は遮られたまま、ジェニファーはこみ上げてきた衝動を押さえられずに全身が大きく震えた。
 初めての絶頂はフォルトナの射精のわずかに前。
 直後にフォルトナも三度目のオーガズムに達して、子宮の中に直接精液を注ぎ込んだ。快楽により精子の受け入れ準備が整った直後の放出によって、ジェニファーは連続して絶頂の高みへと上る。目の前に火花が散り、一瞬だけブレーカーが落ちたように真っ暗になった後で、視界がぼやけた状態から元に戻っていく。
「さあ。次だな」
 フォルトナは精液をほとばしらせた後でもテンションはほとんど変わらず、結合した状態でジェニファーの体を180度回転させた。ベッドに俯せになり、シーツに顔を埋めるジェニファーは自分の汗と涙が染み込んだ臭いを嗅ぎながら呟く。
「ぅ……ああ……や……もお……いやあ……ひゃめ……てぇ……ンアアアッ!?」
 か細い悲鳴はしかし、フォルトナには届かない。体勢を変えて四度目の抽送が開始されると、すぐにジェニファーの頭の中は快感に支配される。二回目までは痛みによる苦しさだけだったのに、三回目にイかされたことで敏感になった体はフォルトナのペニスを受け入れてしまう。一突きされる度に膣から頭のてっぺんや指先まで快感が行き渡り、何も考えられなくなる。シーツを掴んでいた両腕を捕まれて、上体を持ち上げられると宙空に開放された口からはもう嬌声しか発せられない。
「ンアッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッ……ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ツッッ!? はぁ……ハウッ!? アッアッアッアッアッアッアッアッアッ……ああ゛うううああ゛!? カハッ……ンッンッンッンッヤッアゥアアッ! アンッアンッアンッアンッアンッアンッアンッアンッアンッアンッアンッアンッ……」
 止まらない抽送の中で何度も小さな絶頂に押し上げられる。
 その度に神経が焼かれ、過剰な快楽が全身を支配していく。ジェニファーは口から涎を垂らし、瞳は白目だけとなってほぼ意識を失ったまま犯され続ける。
「キャァアアアアアアアアアアアアアアアッッ!」
 四度目のフォルトナの射精と、ジェニファーの絶頂が重なり、結合部から液体が勢いよく吹き出していた。
「ふふははははは……少しは慣れてきたようだな……どれ、もっともっと、出してやろう!」
 フォルトナは精液を放出している間にも抽送を繰り返す。精液が奥にぶつかる衝撃と、膣がペニスでこすられる刺激にジェニファーは体の力も抜けて、頭も大きく揺れて髪を振り乱し、涎と涙と鼻水が前方へと飛び散っていく。
大量に射精されていてもジェニファーの体は汗をかき、肌が上気しているくらいでほとんど変わらない。ただ、膣の中にはもはや射精四回分の精液がたまり、下腹部が前方へと膨らんでいく。
 それでもフォルトナは腰の動きを止めない。臀部と膣がぶつかり合い、ペニスが引かれるごとに大量の精液が溢れ出す。どれだけ圧迫しようと、精液まみれになろうとフォルトナは関係なく動かし続ける。
「ォアアアアッアッアッアッヤッ……アッアッアッアッアッアッヤメヒェエアアアアアアアアア!?」
 ほとんど意識がない中で叫ぶジェニファー。全力で叫ぼうとも、フォルトナは構うことなく、自らの性欲が満たされるまで腰を突き込む。
「アッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッアッ……」
 ひたすら衝撃に上げさせられる喘ぎ声が消えたのは、それから数時間が経過した後。
 フォルトナの絶倫を受けて精液を注がれるだけの存在として、ジェニファーはしばらく飼われることになるのだった。
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