マァムVSミノタウロス

  | 投稿者: 月華守屋

ダイの大冒険から武闘家マァムがぼこぼこにされて凌辱されます。
ポップじゃなくても発情しますよね。



 それは一瞬のできごとだった。マァムの目の前が真っ暗になったかと思うと、次にはもう見慣れてしまった石造りの通路が目に入る。だが、一瞬前と違ったのは、共に進んでいた仲間の姿が周囲から消えていたことだ。
「……ダイ? ポップ? レオナ!?」
 最初は少し前にいるのかと声を大きくしてみたが、反応はなかった。次に後ろを振り返って声を出しても反応はない。少なくとも、声の届く範囲に仲間達はいなかった。
(どうやら……何か装置か、魔法が働いたのね)
 自分達が分断させられた。おそらくは、他の三人も一人になってしまっているはず。自分達がいる迷宮がどれだけ広いのか全く分からず、さらに転移させられてしまったために
もう入り口もどちらか分からない。マァムにはダンジョンから抜け出す魔法も使えないため、普通に考えれば餓死してしまうだろう。しかし、マァムはかすかに何かを感じ取り、瞳を閉じて意識を集中する。背筋を伸ばし、両脇を締めて拳を腰のあたりに置く。両足は肩幅まで開いて深呼吸して意識を安定させる。すると、うなじのところにかすかな風の流れを感じた。
(風……風が吹いてきている)
 マァムは反転するとゆっくりと歩き出す。風の流れがあるということは入ってきているところがあるということ。自分達が入ってきたところか別の場所かは分からないが、少なくとも無目的で歩くよりはマシだろう。
(多分、皆も何かしら脱出しようとするはず。信じてまずは自分が助かるようにしないと)
 マァムは心によぎる仲間達のことを一度横に置いた。今、この場で最も命の危険があるのはマァムだったからだ。他の三人はマァムにはない方法で迷宮を抜ける方法を持っている。レオナとポップはダンジョンを脱出する呪文を取得しており、ダイに至っては強引に地上へと風穴をあける大威力の技を持っている。斜線上に人がいると危ないため、実際には天井を少しずつ破壊していく根気のいる作業となるだろうが、それでも最終手段が存在する。しかし、マァムにはそんな大威力の技はない。しかも、いくら力が強いとは言っても筋肉質なモンスターと力比べをしてかなうほどではない。あくまで女としては並の男よりある程度。修めている技も生物には効果はあるが無機物にはない。
(必ず生きて帰る。こんな所で立ち止まっていられないんだから。私達は大魔王バーンを倒すんだから)
 マァムは仲間との誓いを再確認する。
 大魔王バーンを倒す旅を続ける勇者ダイ、魔法使いポップ、パプニカの王女レオナ。そして武道家マァムは、ある森の中で地下に続く通路を発見した。世界地図はほとんど完成しており、その森にも調査団が入っているため、地図に乗っていないということは魔王軍が関係しているかもしれない。そう考えたダイ達は四人で地下へと入ることにしたのだ。そして、そこが巨大な迷宮のようだと分かった時、目の前の光が現れた。そして、気づけば一人。進入者を混乱させる罠か、あるいは魔王軍の罠か。どちらにせよ、マァムに今出来ることは、風を頼りに進むこと。
(少しずつ……強くなっている)
 前に進むようになってから、風は顔に触れている。最初はほぼ無風で感じ取ることも並の人間には出来ないほどだったが、少し歩を進めると前髪が揺れるようになってきた。いつも集中している必要はなく、十字路になった時にどちらから来ているか確認すればよいため、風が衣服まで揺らすようになるところまでは楽にたどり着けた。風が強くなっていることとはつまり出口に繋がっていること。そう考えてマァムはほっとする。歩む足も徐々に早歩きになり、一刻も早く地下迷宮から脱出したいと考えるようになっていた。
(なんなの……この不安感は?)
 風の吹く先へと向かうと共に、心に広がっていく嫌な予感。実は、自分は地上ではなく地獄の入り口へと進んでいるのではないかと思うようになってきた。歩いている間に階段を昇りも降りもしたため、すでに階の感覚は消えている。地上に向かっているならば空気が濃くなるはずだが、通路の中の空気はむしろ淀みを増しており、嫌な臭いが漂ってくる。通路を照らす、壁に置かれている松明の間が進む度に広がっていて、通路が薄暗くなっていることも精神的に追い打ちをかけた。
(早く終わって……!?)
 それは考えての行動ではなかった。反射的に足を止めて右足で後ろ回し蹴りを放つ。後ろの上空から飛びかかってきた影の、おそらく顔にかかとが入る感触。首の骨を折る手応えと共に襲撃者は壁へと激突。そのまま動かなくなった。壁は陥没しており、衝突した際の威力を伺わせる。マァムは油断なく構えながら見下ろすと、サルに似た魔物が事切れていた。
(やっぱり、油断禁物ね)
 襲われたことで逆に不安感が落ち着く。やはりここは魔物がおり、自分は檻に閉じこめられてると言ったところか。そこまで想像してマァムは不適に笑う。
「そんな檻。こじ開けてやる」
 左掌に右拳を打ちつけて、マァムは気合いを入れ直した。マァムはまた歩き出す。今度はもう少しだけ早く、足を踏み出し、先を急ぐ。追いつめられたことで逆に力が漲ってきたマァムは、先ほどのモンスターがきかっけとなったように襲いかかってくる敵モンスターを次々と叩き殺していく。通常の打撃で死ぬ相手には小手に包まれて両手と鍛えられた足を振っていたが、やがて目の前に現れたモンスターは棍棒を持ち、厚い脂肪をたっぷりと体につけたボストロールだった。マァムは即座に自分の打撃が通らないことを悟ると呼吸を整えて両拳を顔の前で構える。
「ぶっほぉ。お前のような女の拳など通るかぁ!」
 ボストロールは棍棒で女の体を殴る時の感触を思い出しているのか恍惚とした表情でマァムへとかけてくる。動きは鈍重で、見た目通り遅い。その遅さがマァムに時間を与えた。かつて僧侶戦士として、回復魔法とパワーを元に戦った。そのスキルを複合させた格闘術。拳聖ブロキーナに師事して手に入れた、マァムの力。
「閃華烈光拳(せんかれっこうけん)!」
 技の名前を吼えて、マァムは突進してきたボストロールの懐へと飛び込む。鈍重なボストロールは接近されたことに気づいたのも遅れてのこと。力以外は全て、マァムに劣るボストロールの腹部へとマァムは拳を突き立てた。
 そして、光が溢れ出す。
「ぶぁあああああああああ!!!」
 ボストロールが拳を打ち込んだ場所から溶けていく。生物の細胞を壊す禁呪「マホイミ」をモンスターを倒す必殺技へと昇華した、生物に対する必殺技だ。相手が生きているならば、この閃華烈光拳に倒せぬ相手はいない。だからこそ使う場所を慎重に考える必要があるのだ。
「ふぅうううう」
 完全に溶けてなくなったボストロールの前で、マァムは息を吐く。体の中に貯め込んだ空気が入れ替わり、体の中には濁った空気が入ってきた。マァムも顔をしかめると華まで手で覆う。
「これは……」
 魚が腐ったような臭い。腐臭。様々な「臭さ」が前方から風を伝ってやってくる。いよいよ出口が近いのかと考えたマァムだが、自分達がやってきた方向にこのような臭さを発するようなものはない。どうやら自分は入り口とは逆方向へと来てしまったようだ。
(それならそれで……奥へと進むだけよ)
 道しるべは一つしかないのだから、信じるしかない。この状況を打開する何かが先にきっとある。まずはそう信じて行動することで、自分を鼓舞した。
 歩みを再開してすぐに角を曲がると今までと少しだけ様子が違った。通路の先に、広い空間が見える。そこに、巨体をさらすモンスターが座っていた。
(何……あれは……)
 頭は牛。体は人間という出で立ちのモンスターだ。マァムは記憶を呼び起こして、ミノタウロスと呼ばれる魔物だと推測する。強敵に思えるが、閃華烈光拳があれば倒せるはずだと思うと少しほっとした。ただ、マァムの不安が完全に消え去らず、大半を占めているのはミノタウロスの巨体だった。ミノタウロスはマァムの五倍にもなろうかという身長で横幅もある。口の大きさだけならマァムを食べてしまえるのではないか。
(実際に、人間を食べているのかも……)
 人を食料にするモンスターは存在する。ならば、ミノタウロスのあの巨体は人間を食べるために必要な大きさなのかもしれない。しかしマァムの頭に疑問がよぎる。
(人間を食料にするなら、どうしてこんな迷宮に?)
 マァムの見える範囲には――ほとんど通路の幅くらいのためたいした範囲ではないが――食料はない。いかもミノタウロスは通路よりも大きく、入ることは出来ない。ならば、どうやって食料を取っているのか。
(あの、後ろの扉……)
 ミノタウロスの巨体に合わせたかのような大きな扉。もしかしたら、その後ろに『旅の扉』があるかもしれない。一定の場所を行き来する『旅の扉』ならば、人間をさらってきて食べることでここにずっと暮らすことは可能だろう。旅の扉のある場所さえ分からなければ、人間は行方不明のままだ。
(つまり、あのミノタウロスは知能がある。そして、狡猾なのかもしれない)
 マァムはそこまで考えて覚悟を決める。相手が反応する前に、突進して閃華烈光拳を叩き込む。そしてすぐに後ろの扉を開く。扉の先が地上に繋がっていれば、知った場所へと変える手段はあるはずだ。
 脳裏に自分が進む道のりを思い描いてから、迷いなく飛び出した。
 そう。その時までマァムには迷いなどなかった。だが、通路から抜けて部屋には行った瞬間に、一気に広がる臭気と、ミノタウロスを目指す中で視界に入ってしまった女達の体に足が鈍った。
(――これは!)
 部屋のいたるところに、女達が倒れていた。誰もが体を白い液体に染めて、ほとんど息をしていない。中には人形のように完全に動きを止めている女性もいた。全員に視線は向けられなかったが、前方に進む時に見えていた分だけでも十人以上。それだけで、マァムの突進は鈍り、ミノタウロスの注意がマァムに向けられるのに十分な時間を与えていた。
「グォオオオオ!」
 ミノタウロスが吼えて右手を振りあげる。マァムは弱まっていた突進の速度を上げて、少しでも巨体に近づこうと駆けていく。水たまりのようなところを踏み抜き、足にぬめり気のある液体がかかるも、何も考えずにただミノタウロスを目指す。
 そして、大きな腕が振り抜かれてマァムが駆けていた場所を薙ぎはらった。
「はっ!」
 マァムは飛び上がり、そのままミノタウロスの腕の上を走っていく。ミノタウロスとの体格差があるとはいえ、マァムくらいの体格の人間が乗ったほうの腕は重力に従って落ちようとする。しかし、ミノタウロスは踏ん張り、上に振りあげてマァムの体は宙を舞った。しかし、それは彼女の思い通り。体格差のあるミノタウロスの頭部の上に、マァムは飛んでいた。そして頭の頂点まで来たところで、拳をとき放つ。
「閃華烈光拳!」
 光輝く拳がミノタウロスの頭部へと突き刺さる。絶叫をあげたミノタウロスはのけぞり、次に横へと倒れていく。巨大な音の後に着地したマァムは、ミノタウロスの目が自分を向いたのを目撃した。
(なんですって!?)
 慌ててその場から逃げると、一瞬後でミノタウロスの腕が空を切る。自分を捕まえようとしたことは明白。つかみ損ねたその手は頭の上にやってどこかにぶつけたというようにさすっていた。その光景にマァムは息をのむ。
「マホイミが……効いてない!?」
 細胞を死滅させるマホイミの力がミノタウロスには効いていない。そんなことがあるのかと目を凝らすと、拳をぶつけた部分が煙を上げていた。その様子から、マァムは一つ仮説を立てる。
(ミノタウロスの生命力が、マホイミの力を凌駕しているってこと……? 死滅するそばから、再生してるんだ)
 細胞が死んだその下から新しい細胞が出てくる。その細胞もマホイミの力で死んでいく。境界線上の戦いが、ミノタウロスの頭の上で起こっている。
「もう一発、同じところに打ち込めれば……」
 マァムは拳を腰だめに構えて、次の動きをとろうとする。だが、その気迫は一気に霧散していた。視界に写ったある者のために。
「あ……ああ……」
 部屋はマァムが思ったよりもとてつもなく広かった。入り口が小さいだけで、中は巨大な城の庭が入りそうな面積を誇っている。巨大なミノタウロスが住んでいるのだから当然かもしれないと最初は思ったが、それにしても広すぎた。それは簡単な答だったのだ。
 住んでいるミノタウロスは、一体だけではない。
 マァムの視界には、十体以上のミノタウロスが、一体ずつ片手に女の頭を掴み、引きずりながらマァムへと向かってきていた。
「なんて……ひどい……」
 自分と同性がぼろぼろにされて、ミノタウロスのおもちゃにされている。おもちゃというよりも、性の奴隷だということまでは、マァムには分からない。鍛えられた肉体は一般の女性よりも大きく育った乳房をしっかりと支えていて、仲間の魔法使いも含めた男達の好色な視線を集めてはいたが、マァム自身はそんな視線には鈍感であり、気にしていなかった。ただ、性の営みに関することは一通り知識としては知っており、いつか子を成したいとは思っている。だが、その行為が目の前の女性達の惨状と結びつくとは思ってもみなかった。
 女性達は一般人にも見えたし、自分と同じく体を鍛えているようにも見える。しかし、全裸にされて力なく横たわった頭を引きずられている状況だと誰もが同じに見えた。
 誰もが同じ。つまり、自分もまた彼らにとってはもてあそぶ存在でしかないということ。マァムは生理的な嫌悪感と、恐怖を飲み込んでから駆けだした。
(先手を取るしかない!)
 もしも全部が最初に攻撃を加えたミノタウロスと同程度の再生能力を持っているとしたら、マァムの圧倒的不利な状況へと追い込まれる。生物に対してアドバンテージを持っていたマァムの閃華烈光拳があまり効果を成さないのであれば、彼女はただ力が少しほかの女性より強い人間でしかなくなる。入り口の方向へと走ったのはすぐに逃げ道を確保するため。そして、目の前から襲いかかってくるミノタウロスの懐に飛び込むと拳を突き出した。拳が光輝き、ミノタウロスの腹部を溶かす。マァムが思い描いた光景はしかし、実現しなかった。
「――え」
 窮地において間の抜けた声が出てしまう。マァムは自分の右手を掴んでいるミノタウロスの手がなぜかいきなり出現したかのように見えた。だが、それは明らかに自分に対して攻撃を加えようとしたマァムに防御策を取った結果。マァムが我に返った時には、体が宙に舞っていた。
「きゃああ!?」
 天井近くに放られたマァム。中空では身動きがとれないためただ落ちていくしかない。しかし、そこにニ体のミノタウロスが飛んでくる。二体は左右対象の動きでそれぞれ右と左の拳を振りあげてマァムへと放つ。マァムは体を出来る限り丸めて、その拳を受け止めていた。
「がはっ!?」
 衝撃に腕が折れなかったのは幸いだったのかもしれない。ミノタウロスも床を踏みしめての渾身の一撃は放てなかったために威力がそがれたのだろう。しかし、マァムの体は衝撃に飛ばされて、床に叩きつけられた。びしゃり! と着地した地点にたまっていた白い液体を押し退けて体が滑る。
「ぅぁ……あぐっ……」
 痛む体に掌を掲げて魔法をかける。僧侶戦士だった頃の名残での回復魔法。賢者や本当の僧侶のように大きな度合いの回復は出来ないが、それでもないよりはましだ。回復の光がマァムの体を包み込み、痛みを癒していく。しかし、ミノタウロスはそれを待つほど甘くはない。
「グゥオオオオ!」
 先ほど自分を殴った個体とは別の二体がマァムへと迫る。全快ではないが動けるようになったことでマァムは立ち上がると1体の拳を後ろに飛んでかわした。飛んだ先にはまた白い液体がたまっており、着地したところで足へと跳ねる。先ほど倒れたこともあり、今のマァムの武道家の服は半分ほど白く濡れていた。
(臭い……なんなの……これは……)
 不快感に顔を歪めたマァムは、ミノタウロスの股間が目に入り、目を疑った。股間には長い棒のようなものが立っており、その先から白い液体が漏れだしている。それは自分の体に付着しているものと同じように見えた。
(これって……もしかして……)
 マァムは襲われた時にすぐかわせるように周りのミノタウロス達を意識しつつ、さらに周囲の様子を確認した。どこにも女性が横たわっていて、白い液体にまみれていた。その白い液体はミノタウロスの股間から出たものと非常に似ている。自分の直感を否定する要素はなく、それらは全て、ミノタウロスの精液。女性達が屈辱を味あわされた証なのだろう。マァムの体の奥底から怒りがこみ上げる。
「許せない!」
 自分が汚らわしい精液に汚れていることもあって、マァムは逃げるという選択肢を自分から消してしまった。先ほど腕をとらえられたのは逃げることを考えて速度を鈍らせていたからだと、彼女自身に都合のいい結論へと向かう。判断力を鈍らせたまま、マァムは一番近くにいたミノタウロスのところへと走り、飛び上がった。最初に見たミノタウロスと異なり、今、攻撃を加えようとしている相手はせいぜいマァムの二倍強の大きさだ。
「やああああ!」
 最大速度で飛び込んだ上での閃華烈光拳。自分の素早さなら大丈夫という確信。
 その幻想は、ミノタウロスの拳一振りで床へと叩きつけられたことで霧散した。マァムは床にうつ伏せの状態で叩きつけられ、衝撃に意識が一瞬飛んだ。脳震盪が起こり思考に霞がかかったように朦朧とする。ミノタウロスは吼えながらマァムの頭を掴んで持ち上げるが、そこで意識が戻ったマァムは咄嗟に閃華烈光拳をその腕に叩き込む。
「グォオオオン!」
 拳が当たった場所が溶けだし、マァムの頭から手が放れる。その拍子にマァムの髪の毛をまとめていた飾りが取れて、長い髪の毛が解かれた。それでもマァムは後ろに下がり、ミノタウロスに与えた攻撃の結果を見定める。巨大なミノタウロスとは異なり、今度は腕から徐々に溶ける範囲が広がっていく。やがてミノタウロスはその姿を完全に消滅させた。
(このサイズなら……効く!)
 かすかではあるが勝機が生まれる。巨大なサイズのミノタウロスの生命力は強いが、まだ攻撃を加えた場所からは動けていない。小さな、マァムより少し大きいミノタウロスならば倒せる。
 その勝利への思いが、小さな……本当に小さな隙となり、マァムを飲み込むことになった。
「――え」
 マァムが我に返った時。自分の周囲を取り囲むようにミノタウロスが立っていた。十体いた内の二体は倒したため残り八体。そのうち六体が取り囲み、二体はその後ろに控えるように立っている。マァムは目の前の勝機に敵の本当の力を見逃していたのだ。ミノタウロスの武器は、マァムの拳を掴むほどの敏捷性と、気づけば目の前に突進してくる軌道力だということに。
「あ――」
 悲鳴を上げる暇さえなく。ミノタウロス達の拳が雨のようにマァムへと降り注ぐ。最初の一撃、ニ撃は防御できたものの、三発目以降は体に吸い込まれていき、床に叩きつけられる。その後は六体のミノタウロスの二本の手。十二の拳がマァムの体を打ちすえる。一回で十二。二回で二十四。三回で三十六、と増えていく拳の数。都合十回、両拳を振りおろしたミノタウロス達は一体を除いてそこから離れた。まるで、とどめを刺した者が女を景品として扱えるという暗黙のルールでもあるかのように。
 ミノタウロスはマァムの両手を持って自分の目の前へとつり上げた。意識を失って顔を前に倒しているため、表情は髪に隠れていた。武道家の服はぼろぼろになり、ミノタウロスの拳の後がところどころに付いている。掴んでいる両腕もおかしな方向に曲がっており、蹂躙の最中に折れたのだろう。意識がない分、その痛みを感じることはないのがマァムにとって救いとなっているのかどうか。
「グィオオオオオウウウ」
 ミノタウロスは勝利の雄叫びをあげて、マァムを床に落とした。これから、ミノタウロスにとっての食事の時間だ。

 マァムの体を精液まみれの床へと横たえると、包んでいた武道着を胸元から引き裂く。露出したタンクトップをさらに力任せに引きちぎり、乳房が露出した。人間の男ならば片手では押さえられないほどの大きさの乳房も、ミノタウロスの手にはすっぽりと収まる。力任せに揉む一方で、親指は繊細に乳首を腹で撫でる。意識は全くないマァムだったが、体はかすかに感じているのか顔がぴくり、と何度か動いた。 胸元だけではなく腰のあたりまでも引きちぎり、前をはだけさせると、ミノタウロスは自らの逸物を持ち、しごきだした。倒れているマァムに先端は向けられ、腕の速度を上げる。そうして少しすると、その逸物が肥大化して、先端は爆発するように白い液体を放出した。気を失ったマァムの顔から上半身を覆い隠すように付着する精液。さらに三度、四度と出てくると今度は腹部や下腹部に向けて流す。ひとしきり精液を出し終えると、ミノタウロスはマァムの姿を見下ろした。
 上は全て衣服をはぎ取られ、下はショーツのみ。乳房も尻も大きく、鍛えられているおかげで張りがある。久しく見なかった上物にミノタウロスも鼻息を荒くして、ついにマァムへと覆い被さった。ミノタウロスはすでに準備ができているが、マァムはまだ股間は濡れていない。しかし、そんなことはかまわずに、マァムの膣へと強引に逸物をねじ込んだ。ぐりゅ、と鈍い音がして逸物が肉をえぐりとる音が響く。結合部からは破瓜の血と膣壁を傷つけられた血の両方が流れ出す。
「ぅぁ……あっ!?」
 目が覚めたマァムは、まず自分の右目の上にかかった精液を拭おうと右手をあげようとした。しかし、折れていることで激痛が走り、大の字に広げられた腕は床から動かない。自分が何をされているのか混乱から覚めていくとともに理解する。そのことにショックを受ける前に、この場から脱出しなければという本能からの恐怖が働いた。
「ベホイミ!」
 全身に行き渡る回復魔法。腕も修復できたマァムは股間からの痛みと、よく分からない何かの感覚に耐えながら両手を組んで状態を起こしてからミノタウロスに攻撃しようとした。しかし、腕が上がろうとする前に左手に押さえ込まれて床へと叩きつけられてしまう。
「あっ……がふっ!?」
 ダメージにのけぞるマァムだったが、体の中が一本の芯になったかのようにまっすぐに近い道になると、ミノタウロスは一気に速度を上げた。
「い、いやああああ! 痛い! やめて! ああっ! やめてぇえええ!」
 マァムの叫びを押し退けてミノタウロスが腰を振り、マァムの膣の中を切り裂いていく。厳しい修行の末に肉体的には強くなったかもしれないが、あくまで表面のこと。体の内側という、今まで未知でしかなかった場所がえぐられて、心地よいという。マァムは涙を流しながら、それでもミノタウロスから逃れようと身をよじった。両腕を左手一つで捕まれていることがもしかしたら逃げるチャンスになるかもしれない。そう思って体をよじらせるも、すぐに空いている右手がわき腹にボディブローを放ってきた。
「ごほっ! あっ! あぅう!!」
 一発一発が重く、マァムは動けなくなる。肉体の次には精神が限界を迎えて、再び意識は闇へと落ちた。無抵抗になったことを確認したミノタウロスは速度を上げた。マァムが気を失っている間に逸物をしごいた時よりも早く、もう少しで放出される。
 放出されるという気配が逸物を通じてマァムを襲い、目を覚ましたマァムは涙を流しながら訴えた。
「や、やめて……やめてやめて! き、汚い! 出さないで! 中にださないでぇ!」
 大きな声を出すとまたミノタウロスがわき腹を打つ。痛みに胃の中身を少し吐き出して咳込みながら、なおもやめてほしいと言い続ける。
「グォオオオオオアア!」
「やめてぇえええ!」
 ミノタウロスが動きを止めて、逸物の先から精液が放出される。それは顔や腹部ではなく、今度は膣の中。自分の体の中に熱く、おぞましい液体が放出された現実に、マァムは体を小刻みに動かして顔を振りながら悟っていた。体を動かしていたのは、そうしなければ絶頂の余韻で頭がおかしくなっていたためだ。
 ミノタウロスのペニスが引き抜かれると、マァムの体は解放される。しかし、すぐに別のミノタウロスが現れると、座り込んだミノタウロスに抱きしめられるように腰を沈められていた。
「あ゛う゛ぇ!?」
 口をだらしなく開けてもだえるマァム。次のミノタウロスもマァムの体を抱きしめることで逃げなくさせ、腰を振り続けるのだろう。
「んぁあ! あう! なぐっ! ああ! や! やめ! やめ……あぐああっ!」
 多少の気持ちよさはあれど、マァムはほとんどが痛みによって凌辱されている。逸物は何度も膣を傷つけ、愛液の分泌を間に合わせない。背中から締め付けられることで息も据えなくなり、マァムの頭はぼやけていく。ここで意識を失えば、次は目を覚まさないかもしれない。そんな不安なことを考えて、そちらのほうが幸せではないかと気づく。
(みん、な……)
 はぐれた仲間達を思いながら、マァムはいつしか気絶していた。

 * * *

「おぐ……うぐ……ぅぁ……」
 自分の声が自分の意志を離れて反射的に漏れ出る。すでに力が失われた四肢は抵抗をやめ、自分の周囲にいるミノタウロスにされるがままだった。下から股間を貫かれて腹の上で腰を動かされることで突き上げられる。後ろから両手を捕まれ、菊座を貫かれて前に揺り動かされる。そして、口に逸物をねじこまれて頭を前後に振られてしまう。
「ご……うぇ……」
 精液が吐き出された後ですぐに逸物は抜かれ、マァムの顔を白く染めた。液体にふたをされて息ができなくなり、頭を振って強引に液体をまき散らす。その白さが気にならないほどに膣にも菊座にも放出されて、マァムはまた望まぬ絶頂へと旅だった。
「あ……はぁ……」
 口をだらしなく開け、上を向いて震える。嫌で仕方がないが十体以上のミノタウロスに犯された体はマァムの言うことを効かず、外部からの刺激に反応して快楽を届ける。マァムも十回を数えるまでは覚えていたが、もう二十、三十とイかされると頭がぼうっとなり、思考が停止しかけていた。
「あうっ」
 体が床に投げ出されてミノタウロスからつかの間の解放となる。一匹あたり三回は吐き出してから次の三匹がマァムを襲う。その周期はある時期から少し遅れるようになった。理由は簡単で、生け贄が一人増えたからだ。
「あっ……あぁあん……はっはぅ……はぁん……」
 あぐらをかいたミノタウロスの首の後ろに手を回して、自分から腰を振っている女性。身につけていた衣服のうちスカートしか残っておらず、倒れているマァムからは尻が丸見えだった。そして、膣へと逸物が入り、上下に動く旅に結合部がよく見える。
 よく知っている少女――レオナは快楽を自ら求めてミノタウロスにすがっていた。
「あっあっあっあっあっ……あぁああっ! んっくぅうう!」
 絶頂に達して力が抜けたのか、レオナは座り込んでしまう。それがミノタウロスの逸物が膣へと深く刺されることとなり、子宮の奥にペニスの先が届いてまた軽くイった。
「レオナ……」
 パプニカの王女として、世界の名だたる王達とも堂々と渡り合う凛々しき姿を見たことのあるマァムは、今の快楽に負けて腰を振るレオナがどうしても受け入れられなかった。それは、自分がそちら側へと落ちかけてことを否定したかったこともある。徐々に自分でいられる時間が減っていき、ミノタウロスの攻めに体を許してどうにでもよくなる。迷宮の深くでこうして囚われて、性の奴隷とされてしまって、助け出されるかのうせいなどないのではないか。そう思うと心が折れていく。
(ダイ……ポップ……助けて……わたし……っもう……)
 信頼する仲間を思っても、その顔が思い出せない。視界に浮かぶのはミノタウロスの屹立した逸物だけ。とうとう思考が浸食されはじめていた。
「グゥオオオオ」
 ミノタウロスがまた三体、マァムの傍にやってくる。予定調和のようにマァムの頭を掴み、体の下に入り、尻の穴が見えるように尻肉を横に開く。
「やめて……もうやめて……わたし、こわれっあぅ!?」
 尻の穴へと先に入れられる。それでも、度重なる精液の放出によりどろどろになった菊座の中はミノタウロスの常人とは明らかに違う太さのそれを、存分にくわえこむ。同じく膣もミノタウロスの逸物が挿入され、中にたまっていた精液が逸物の体積の分、洩れだしていた。腰に生まれる圧迫感。腸と膣の中で、体の中の壁を挟んで二つの逸物がぶつかり合う。衝撃に食いしばる歯も弱々しく、三体目のミノタウロスが逸物を入れた。
「んぐっ……ん……ん……ぅ……ぁ……」
 動き出したと同時に半分失神し、されるがままに体が動かされる。マァムは体中をかけめぐる快感に抗う体力もなくなり、素直に反応を始めていた。だらりと下げた手があがって、熱くなっている胸へとつける。そのまま力を入れられる分だけ掴むと、胸の表面から体の奥へと快感が広がった。
「ふぁ……んぁ……あぅ……あふぅ……」
 ずちゅずちゅと水音が響く。それらはミノタウロスの精液だけではなく、マァムの膣や口からの液体だった。太い肉棒をコーティングして、自分の体の中までも潤滑油として滑りがよくなる。頭の片隅に残っていた自我が、涙で潤む先にいた腰を振るレオナを見て、完全に砕け散る。
「ふぅあああああっ!?」
 口に入れられていたミノタウロスの逸物が抜かれ、精液が飛び出す。だが、マァムは両手でとっさに逸物を掴んで口に運び、吐き出された精液を口に入れた。大量の精液を喉を必死に動かして飲み込んでいく。やがて、放出が終わった後には肩で息をして、口の周りを精液で濡らしているマァムがいるだけだった。
「あ……ああ……もっとほし……ほしい……もっと……して……あぅはぁあああ!」
 自分の下にいるミノタウロスに叫び、胸板に両手を添える。マァムは力を込めて自ら腰を降り始めた。体力がなくなってその動きは微々たるものだったが、自分から動くマァムにミノタウロスはあわせるようにゆっくりと逸物を突き刺していく。
「あ゛う゛! はぁ……はぁんっ! はぁああああ! ふわっ! いい! い……く……いっちゃ……う……あぁあ! ああっ! ああっ! あんっ! あっ! はぁあああ!」
 マァムは仰け反り、股間から脳天まで突き上げる快楽に従って大声を上げた。それは新しい世界に生まれ出た子供の泣き声のように響き、空間に滲んで溶けていく。
 魔王と倒そうと旅だった拳士は、受け入れた快楽の元でミノタウロスと共に生き続ける。強靱な肉体が、新しい命を宿すまで。
5



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