*************************************************************************************◇◇◇隠れていて目立たない書物との不思議な出会いによって心の気付きを促す極上の名言集◇◇◇*****************************************************************************************

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深海の中で

今でもありありと思い出しますが、ある時の空想では、

「どうして自分はこの自分なのだろう?深海にいる魚が自分であってもおかしくないのに!!!」

本当に不思議なことです。

自分が、この自分でなければならない理由は、どうしても納得できないのです。

深海の魚のイメージがなぜ浮かんだかというと、
ある短歌を出会ったからです。

海底(うなぞこ)に眼のなき魚の棲むという眼の無き魚の恋しかりけり」()

いかにも自分がその魚であるかのように感じられてきます。
多分、ちょうちんアンコウのような風貌をした悲しげな動物なのでしょう。

ヒゲみたいなものをチョロチョロさせながら、
ボワーッと灯りをともして、静かに浮遊しているのです。

ほんとうに、そういう実感があって、
そこから感じられる世界とはどんなだろうか?と興味シンシンなのです。

とはいえ、この空想は単なる感傷にとどまらず、もっと乾いて醒めた観照へと進んでいきます。

身近なところで、近所の犬や猫を見ても、
「なぜ私があの動物ではないのか?」
と感じられてならないのです。

さらにはゴキブリを見ても、蜘蛛を見ても、まったく同じ感覚に襲われます。

もう、その時には、 「あなた」と呼びかけたい気持ちで一杯です。(☆☆

「なぜ、あなたは、私ではなかったのですか?」
聞きたい!
訴えたい!
抱きしめたい!
あなたの内面を知りたい!

樹木を見ても、同様の感覚に襲われます。
直接にゴワゴワした、幹の皮膚に手を触れ、
唇を近づけ、あなたの香を存分に味わいたい。

なぜ、私はあなたではなかったのか?

これほどの神秘はないでしょう?!

毎日、さりげない瞬間に、そういう感覚がめざめて、
たちまち不思議な陶酔にワレを忘れるのです。

かぐわしいバラの花をみても、
「《あなた》の奥、その内奥には触れられない」という悲しみが生じます。
どうしても触れえない奥の奥、そのまた奥がある、という感じなのです。



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この短歌については、

伊藤一彦編「若山牧水歌集」岩波文庫





☆☆「《あなた》に語りかける心境」については、

マルティン・ブーバー「我と汝、対話」岩波文庫



マルティン・ブーバー「我と汝、対話」みすず書房




マルティン・ブーバー「孤独と愛---我と汝の問題」創文社



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投稿者:whatif
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