最近、まわりでよく物が壊れる。
5月に入ってから、パーカーのジッパー、かばんの持ち手、観葉植物の鉢、扇風機のスイッチ、目覚まし時計が壊れた。
どれも山形に来る前から使っていたものたちだ。
壊れた(何点かは壊した)ときのショックは案外強くて、たとえ小さなものだとしても胸のどこかに淋しさがつのる。
さすがにもう壊れるものはないだろうと思っていたのに、極めつけが残っていたらしい。
それは、バイク。
先週、だんなと日帰りでツーリングに行こうとしていたときのこと。
いつもどおり家の前の道をだんなに続いて走りだした。
クラッチレバーを握り、左足でギアチェンジペダルを持ち上げる。
と、今までとちがう手応えとともにカラカラ金属がぶつかる音がわたしの耳に届いた。
バイクを道の端に止め、スタンドに立てかける。
後ろのタイヤの辺りから地面に向けて、見慣れぬものがぶらさがっている。
ドクリと耳の奥が鳴る。
黒く油にまみれたチェーンが垂れ下がっているのだ。
バイクの脇にしゃがみ込み、もう一度覗き込む。
何度見ても状況は変わらない。
チェーンがはずれている。
ジャケットのポケットから携帯電話を取り出す。
だんなの番号を呼び出す。
左手の指の震えがもどかしい。
祈るように通話ボタンを押し、携帯電話から聞こえる呼び出し音を数える。
5回、10回、15回、、、
そろそろ留守番電話に切り替わるかもしれない。
と、呼び出し音が止まり、だんなの声。
「どうした?」
だんなの声を聞いたとたん、不安が一気に溢れ出る。
「チェーンがはずれた」
声が震えている。
「すぐ戻るからじっとしてろ」
電話が切れる。
立っているのが辛くなって、バイクの隣に腰を下ろした。
間もなくバイクのエンジンを聞こえ、だんなが戻ってきた。
バイクを押して家に戻り、チェーンをはめる。
しかしチェーンがかなり緩んでいるので、バイク屋に電話して調整をしてもらうことになった。
来てくれたバイク屋の人によると、チェーンを交換することになるらしい。
どうせならと、オイルの交換と1年点検をお願いした。
チェーンがはずれるというトラブルは、きちんと整備をしていたら防げることだ、とだんなから叱られた。
去年の秋にバイクのバッテリーをはずしたとき、チェーンがゆるいとだんなに注意されていたのに、そのままにしていたのだ。
バイクに乗り始めたころのような緊張感がなくなり、確かに目配りがきいてなかった。
バイクのトラブルは身体的けがに直結する。
長くバイクを楽しむためにも、大きなトラブルを起こさない整備をしよう。
今回は良い教訓になった。

0