歌集『じゅげむの木魂』(不識書院)は昭和63(1988)年の刊行、大畠さんは40歳だったでしょうか、私は37歳、当時も今も希有な一冊として私の中でありつづけています。その後、職場が忙しくなり、お会いすることもなくなってしまいました。昨日、高階さんから贈っていただいた「礫」を見て大畠さんが主宰になっているのを知りました。ご自愛とご献詠をお祈りしています、そのようにお伝えください。
それにしても『じゅげむの木魂』を画像でお見せできないのが残念ですね。
魚族(うろくず)にまぎれて蛸(たこ)も泳ぎおり見れば明るく手を振りている
わが銃(つつ)の弾丸(たま)ははずれて君眠る龍宮城の門にし至る
夕空の捨てし落暉(らつき)を今し方小籠に入れて帰る人あり
紫陽花の藍深き夜をひそと来て万歳したる幽霊寂し
白雨(ゆうだち)の過ぎてしずまる水溜り夜(よ)に入ればみな月の手鏡
樅(もみ)の木を伐りしあかるさ人の気を逸(そ)らす寂しさ風たわみいる
おどおどと夢に見るなりほの明かき空より垂るゝわれの臍(へそ)の緒
吊革につかまりているつかまえているつかまれていたる心根
北浜も堂島もそれ銭洗う金波銀波に揉まるゝ湊
死にてのち赤穂浪士は唐獅子の刺青負えり男のそびら
奇術師は首より上をはずし置きさんざめく夜のビル街に消ゆ
ゆくりなく来て瞳まで縫い閉じん幽霊外科医かたわらに立つ
開(あ)かずの間或る日のぞけば摩天楼見下す位置に和室(へや)はありたり
見得(みえ)きりてあいやししばらくしばららく吃音人(きつおんびと)の君われを呼ぶ
向日葵(ひまわり)の茎をせわしくゆきゝする蟻が見ている上下の世界
ためらいもなく流暢にクローンが日本語話すテーブル囲み
ことごとく働き蜂は巣を出でて飛ばんとしたり春のあけぼの
ジメジメト家腐ラスル青梅雨(アオヅユ)ノ愁霊(ウレイ)ハ美女ノ美女美女ノ美女
かめれおん的保護色を得るなれば照る日曇る日自在なるべし
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