11月に入ってから、裁判員関係のニュースをよく聞くような気がします、裁判員候補者名簿に登録された人への通知が発送され、死刑求刑される裁判員裁判があり、そして裁判員裁判で初めて死刑判決が出た、とか。
『てのひらのメモ』
放送日:2010年10月23日 NHKドラマスペシャル
原作:夏樹静子 脚本:梶本恵美 演出:黛りんたろう
『てのひらのメモ』で主婦・折川福美(田中好子)が、当初は補充員裁判員として、公判2日目の途中からは裁判員として関わった事件は、ぜんそくの持病のある子供の死について母親の保護責任者遺棄致死か偶発的な事故かを問うもの。裁判長は仲里(田中哲司)、右陪席・野々宮(野元学二)、左陪席・畑(長谷川かずき)、弁護人は平(神尾佑)で検察官は博太郎さん演ずる磯貝毅。磯貝さん、定年間近といった雰囲気。
被告人・種本千晶(板谷由夏)が息子・徹(小林海人)に対し母親としてどのように気持ちを向け時間を割いていたか、千晶が体調の悪い徹をおいて仕事に戻り、さらに恋人・城園茂太郎(長谷川初範)と会うという行動を取ったのはどういう料簡からか。徹の主治医・東間圭三(有川博)、隣人・石浜加根子(角替和枝)、城園茂太郎、徹の祖母・種本薫(岩崎加根子)の証言から、誰も千晶をかばわない、千晶はまわりの誰ともつながっていないと感じる福美ですが、福美と息子・翔太(高畑翼)の間にもほころびが・・・。「私も翔太とつながってない」
さて、3日目。弁護側の新証人、近所の食料品店のアルバイト・森口裕輔(橋爪遼)の証言も「ひどい母親だなぁ」。しかし、福美は種本家の冷蔵庫の抹茶アイスを思い出して質問。そして、検察官・磯貝毅(本田博太郎)の被告人質問で明らかになる千晶と徹の意外な関係。福美が、千晶と徹の母と子としての心のつながりを確信するのは、てのひらにメモした“まっ茶アイス”の質問で。(私の知り合いで左手の甲の親指の付け根あたりにメモをする御仁が居るのだけれど、てのひらにはメモしないと言っていた。何かに触って汚したり、メモが消えたりするからと。)
というようなドラマです。
起訴状の行を指で追いながら朗読するところから、執行猶予の判決を聞いて何か疲れたような感じで眼鏡をはずすところまで、磯貝さんは為所が(テレビ見てるほうから云えば見所)がいっぱい。何といっても、弁護側証人の城園への質問がスバラシイ。事件当日、千晶と離婚の話をした後、二人でマンションを出るまでの40分間何をしていたか・・・「さらにマンションを出るのが40分も遅れたのは、証人と被告人との間で」で一呼吸、声を落として「情交がもたれたからではありませんか?」オモシロイ。この質問で保身に走る城園を斜から見やる様子も、パチパチ拍手。磯貝さんは、2日目、3日目と証人たちから、一見、千晶に不利に思われる証言を引き出しながら、気持では千晶に寄り添っていくように見えるのは気のせいか、それとも、磯貝さんの髪の毛が1日目より逆立ってるせいか?
題字“てのひらのメモ”は博太郎さんの手跡だとワタクシは見るが、如何。

0