『フルスイング 最終回 最後の授業』
放送日:2008年2月23日 NHK土曜ドラマ
脚本:森下 直 演出:海辺 潔
さらり。淡々・・・
泣きを押し付けるようなイヤラしさやさもしさもなく、
人を思い人に思われる遣り取りの中で、高林導宏(高橋克実)の別れに向かう何日間が描かれ、卒業式。・・・あれあれ、最後の授業は?
高さんは、生徒たちとの約束どおり卒業式では泣くことはなく、式後、東京に戻って治療に専念したのでありました。
訃報を受けた新垣校長(小林克也)や、桜台高校の先生たちがそれぞれの場所でそれぞれ高さんを悼む表情がいいですネ。嗚咽寸前の新垣校長。幼稚園の庭で園児たちに囲まれて散る花を見やる天童(里見浩太朗)。散る花びらを拾い上げて「高さん・・・」とつぶやく鮫島教頭(本田博太郎)、口元は号泣寸前。声もなく涙を流す時任先生(吹石一恵)、黙々と走る阿部一球(萩原聖人)。高さんからもらったグローブを手にした太田先生(塚本晋也)は、ボールを高く放り上げ無言で涙を流す。・・・そうなんですよ。声を上げてギャーギャー泣くやつがいない。抑えた演技のほうが余程心にしみるというよい見本です。
半年後、高林先生を送る桜台高校の学校葬。
そのために学校にやってきた高林の妻・路子(伊藤蘭)に、最後の授業の模様が時任先生によって語られる。そーいう段取りになってたんですね。うまい!
氣力とはあきらめない気持ちと語る高林は、結局、闘病むなしく死んでしまって、視聴者としては、今しがた桜台高校の諸先生といっしょに高さんを惜しみ悼んだばかりなんだから何やら涙をそそられます。他にも、森和人(久野雅弘)が撮った写真とか、高さんの衣鉢を継いだ(?)若松先生(斎藤工)、剣道部員や阿部監督の“氣力”の文字とか・・・
しかし、鮫島先生、学校葬なのになんでダーク・レッド、抑えた色とはいえ赤いネクタイとポケットチーフなのかな?
潮 2008年3月号(通巻589号)の“柴田理恵ワハハ!対談26”で
本田博太郎さんが語った
“いちばん対立していた僕が号泣するんです”は、
撮影に入る前のお言葉で、博太郎さんはもともとは号泣を目論んでいたのか、
号泣はしたんだけど、海辺ディレクターが号泣部分をバッサリやっちまったか、
あるいは
最近の“号泣”の用法なのか?
(号泣ってネ、わぁわぁとか哀号とか大声で泣くことなんだけど、
“号泣しましたっ”という感想の多い映画でも、映画館でわぁわぁ泣いてるヤツ見かけたことないんですよ。きょうび、“号泣”は、単に“泣く”という意味に変化しているのか?)
視聴率です。(2008.02.25 追加)
第1回 再びの、夢=12.8%
第2回 逃げない=9.0%
第3回 本気になる=11.4%
第4回 キャッチ=14.1%
第5回 先生のセンセイ=10.7%
最終回 最後の授業=11.9%

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