1997年11月25日 NTV火曜サスペンス劇場 監督:下村 優 脚本:坂田義和
これは殺人事件の公判を通じて、鑑識班がそろえた物的証拠の確かさや証拠としての意味が問われるという仕組みになってる。
事件は、都議会議員今関汰市(新原和丸)を妻の圭子(毬谷友子)が遺産目当てに殺害したというもので、検察は、圭子の自供どおり凶器のカッターナイフが川から見つかったことから起訴に持ち込んだものだった。ところが、圭子は第一回公判で自供を撤回、罪状を否認し無実を主張した。物証はそろってるとはいうものの、カッターナイフからは血痕は検出されなかったのだ。
第二回公判では、菊地(三浦浩一)、岩崎(角野卓造)、中山(西村和彦)、それに科捜研・法医の石田(石井洋祐)が証人として出廷するが、小幡弁護士(不破万作)によって物証(レインコート、手袋、ブロンズ像、脚立の傍の足跡)が必ずしも圭子の犯行を示すものではないこと、そして、肝心のカッターナイフから血痕が検出されないのは、数日間川の中で水にさらされていたとしても、まれであることを認めざるを得なくなる。
岩崎は、すべてが圭子の計算ヅクで凶器でないカッターナイフを証拠としてつかまされたと思い当たり、鑑識は本当の凶器を見つけるため、犯行後圭子が動きえた範囲をしらみつぶしに調べ始める。
第三回公判では、目撃者の証言があやふやであることが明らかになる。
岩崎の犯行後の足取りさえつかめればなあというため息で、中山は、足の裏だ・・・靴の底の土だと思いつき、沢村さんのところへ。
沢村技官@ 庭の土砂が付着していたことは報告済みと落ち着き払っている沢村に、中山がおそるおそる他に何かと尋ねると・・・
ハイ、ありました(出し惜しみするな)。土砂を超音波洗浄にかけてゴミを分離したら、炭化した木片が見つかったと電顕のモニターを示す。(実は、職人尽くし絵の沢村さんはこの場面のものです)
http://www.geocities.jp/hirotarou_rokuya/jovol7/No35.html
それから、もうひとつ・・・これが線香のかけらです。
焚き火+線香⇒お寺、というわけで、鑑識の皆さんは寺や墓場の土砂を採取して沢村さんのところへ。
沢村技官A スニーカーに付着していた土砂と墓地の土砂のスペクトルのピークが違うことを示して、スニーカーの土砂はその墓地のものではありません。
第四回公判・第五回公判 圭子の悪女?ぶり
この間も、鑑識さんは凶器探し。
中山は、焚き火+線香⇒お寺・・・から、圭子の両親の墓のある寺を訪ね、27年前の圭子の両親の自殺のいきさつを知る。手形詐欺の被害にあったのだ。その経営コンサルタントを名乗るパクリ屋の名刺の指紋は、今関汰市のものと一致した。圭子の動機は財産目当てではなく親の敵討ち。
しかし、動機は動機として、文字通り草の根を分けて凶器探し。今関宅近くの公園から皮手袋が見つかる。内側にしみこんだ汗から、圭子と同じ血液型が判定される。
沢村技官B 皮手袋の指先から検出した物質のスペクトルです。接着剤のスペクトルと重ねてみました。・・・プラスチック用接着剤であることが判明。
今関宅から、飛行機のプラモデルをごっそり押収。その中から、垂直尾翼にはめ込まれたカッターナイフの刃がみつかり、付着していた血痕はDNA鑑定の結果、今関汰市のものと一致。
第六回公判で、圭子はすべてを語り、次の判決公判で懲役7年の判決を受けて、中山に微笑んで会釈して出て行った。
この回では、沢村技官の所へ出向くのは中山クンだけ。

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