政治を支える民意が離れたらどうなるのかを考えさせられたのが、昨日の堺市長戦の結果で、大阪都構想は頓挫してしまったと思うのだが、橋下徹維新の会代表大阪市長は、来年秋に住民投票をやって数で都構想に決着をつけるとうそぶいている。
「川の向こうにヒトラーのようなやからがいて、堺を属国化しようと狙っている!」と訴えた声を聴くにつけその政治手法を見直さなければ
『裸の王様』になりかねない滑稽さが見える。
「自由は戦いによって得られる。泣き言は通用しない。自分の意見を他人に認めさせるか、屈服させるかである。自らの力で自らを守れない者は、強い者に従属させられるものだ。例え弱くても、拳で自分を守るだけの意気地をもつべし。」 ヒトラー
明日から10月。年金は減額され、厚生年金保険料は引き上げられる。児童手当は引き下げられ、自動車保険料、牛乳、輸入小麦は値上げされる。そして、来年4月からの消費増税が予定されているが、商品の「税抜き価格」表示が可能だという。本来は「税込み価格」が義務付けられているのだが、どうやら業者が増税分を明示して価格に上乗せしやすくするということらしいが、政治家がやる政治の手法がチラチラする。
手元に豊田武
「堺―商人の進出と都市の自由」という学生時代に読んだ本がある。そのはしがきに、
「十六世紀の堺については、耶蘇会の宣教師が、これを、〈町人を基礎としてつくられた国家である〉とか、〈日本においてもっとも美しく、また富み栄えた町〉であると述べて、ベニスのような自由市として本国に報じている。堺が戦国諸侯の対立抗争の中にあって、よく自立を全うし、信長に対しても強く抵抗した事実は、確かに自由の歴史の中において特筆するに足る事実といわねばならない。」とある。あの絶対権力者織田信長に強く抵抗した歴史を持つ堺が、この度、維新の会の大阪都構想との戦いに、「自由自治都市堺を守れたことが無二の幸せ」との勝利宣言をせしめたことを考えると、まだまだ堺には、自由自治の精神が連綿と根づいていることが分かった選挙でもあった。
住吉祭礼図屏風
―今日のわが愛誦俳句
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みそぎして寄せくる秋の声きかん 中勘助
―今日のわが駄作詠草
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さながらに群雄割拠の時代のごとく
堺の町の騒がしきこと
「交渉における自分の主張とは、譲歩できるものと、絶対出来ないものの、二つにひとつしかないということだ。言い換えれば、事前に自分の主張をその二種類に分別し交渉に臨む必要がある。」
橋下徹
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