この時季、すべての木々は、みずみずしい新しい葉をつけている。木の種類によっては一様ではないのだが、その若葉が濃くなりいよいよ夏を迎える。そういえば7月の「海の日」に呼応?してか今日「山の日」が8月11日に参議院本会議で決定された。
与謝蕪村(1716−1784)に、
「谷路行く人は小さき若葉かな」と大自然の中を歩いて行く人を小さな若葉のようだとたとえた画の構図が想像できる俳句がある。
街を歩いていたら、明日、開店するスナックのオーナーに出会った。店名を伺うと、野菜の名前がついていてスナックには、そぐわないのではと思わせた。その名は、野菜の女王なのでさぞや料理に自信があるのだろうかと話しながら「鏑矢」、「蕪家」などなど勝手な意見をのたまわっているうちに、ひょっとしたら蕪村は、かぶらを栽培していた村の出身であったのだろうという説が飛び出してきた。摂津国東成郡毛馬村(大阪市都島区毛馬町)の生まれであることは知っているが、蕪(かぶら)の産地かどうかは知らない。本姓は谷口、あるいは谷。「蕪村」は号で、中国の詩人、陶淵明の
『帰去来辞』に由来しているとのこと。しかし、正岡子規は、
「蕪村忌に呉春が画きし蕪かな」と詠んだ句を残しているのだから、蕪村の弟子である呉春(1752−1811)も子規も蕪村の出身地は蕪の産地であったのだと思っていたのだろう。なにわ伝統野菜の中に毛馬の胡瓜があるので、当時某かの野菜が作られていたのは確かではある。若葉寒(わかばさむ)という季語がある。そんな寒さに薄着を後悔しながら野菜の女王にふさわしい名前を頂いたこのスナックの発展を念じている。
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