朝、店の前を掃き掃除している主人から、「好いお天気ですね」と声をかけられた。こんな挨拶がまだ残っているのだと、うれしくなってきた。「この春は、雨がよく降ってスッキリしませんでしたなあ。」とことばを返す。GWが近づいているのに、花だけは早く咲き、雨のなかに散ってしまい新緑の候を迎えようとしている。
文化5年(1808)の
『改正月令博物筌』には、「暖(あたたか)」、「温(あたたか)」、「麗(うららか)春の日はさむきあつきのうれひもなく、天気ほどよく和暖になりたるをいふとあるような好天をいとおしんでいる。
うらうらに照れる春日にひばり上がり心かなしもひとりし思へば
と、こんな好天なのに、春愁にひとり浸る大伴家持の心境を思うのもまたむべなるかなと、春日遅々の午後を寛いでいるところではある。
その後、失念していた予約を思い出して、歯科医に行き左下顎奥歯の治療を受けた。
秋が過ぎ、冬を越え、ゆく春を惜しみながら、新緑のシーズンを迎えようとしている。長い歯の治療に耐えたものだと感慨深い。
うららかな陽気に酔いながら街を歩いて来た。
・きょうのわが駄作詠草
われよりも短気な人に出逢いけり散る花観れば腹立つと言う
レッドロビン
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