朝から冬の雲が低く垂れ込めている。午後から夜にかけて雨の予報が出ている。82歳を迎えられる「天皇誕生日」である。
朝刊には、戦後70年の節目が終ろうとする年の瀬に、戦争や平和に対する思いを述べられた天皇の記者会見を伝える記事がある。曰く、戦時中、民間人の犠牲者の多さに触れられ、その代表例として、民間船員の犠牲者が6万人以上あったことに言及。軍に徴用され、物資の輸送、監視業務にあたった民間船は軍艦に守られることもなく海に沈んでその犠牲者は6万人を超え、うち3割は20歳未満の少年が逝ったことを長くこころを悼めていたとのことと、述べられている。今年、戦争につながり兼ねない安保法案を憲法に違反してまで安倍内閣は、推し進めようとする動きがあった。後方支援という名目ではあるが、一旦緩急があれば、戦乱に巻き込まれてしまうのではと、天皇陛下は先の大戦の例に思いを寄せられているのではと、畏れ多くも忖度しているところである。
一昨夜、DVDを取り出して、先に亡くなった野坂昭如原作の
『火垂るの墓』を観て、戦争によるひもじさ、わびしさを味わった体験を想い起こして涙を堪えることが出来なかった。
われわれと同世代を過ごされた天皇陛下も戦後70年の過ぎ越しことを思い、こころが籠もる「おことば」を述べられたのであろう。
・きょうのわが駄作詠草
銀杏(ぎんなん)の落ち来る音よ戦いはそこにあるかと思いたくなし

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