昨日は孫と一緒に遊びに来ていた、鉄道に造詣の深い友人が東京に帰って行った。鉄道に詳しい人を鉄道オタクというようであるが、その鉄道オタクの分類も36種類にも及ぶというのであるから驚きである。聞きおよぶに36番目には「クズ鉄」という分類がされ、人に迷惑をかけることを楽しむ輩と定義づけられているそうだ。自戒を込めてそういう呼称をつけているのであれば、なかなかユニークである。一概にオタクを軽視する見方は良くないと、この街に住んでいるとなおさら思うのである。
さて孫の方はまだ大阪に残っていて、食べ歩きして大阪の味を愉しんでいるようである。因みに、今の若者には存知おらぬとおもい、「嫁にくわすな」という一昔前まで、男たちによって喧伝されていた
「秋サバ」「秋カマス」「夏ダコ」「二月カレイ」など、いずれもが季節の旬(しゅん)のものである美食の名を教えておいた。そして、先ほど、くだんの大学生からお礼の電話があった。泉州の水ナスをお土産にご両親にと託けていたので、丁重なことば使いのあいさつがあった。茄子は夏のあいだがさかりで、また茄子かと飽き飽きするほど沢山採れるのだが、その暑いさかりが過ぎた今ごろでもまだ採れるものがあって秋ナスと称されて珍重されている。それは、形は小粒でタネがなく、皮がキュッキュと鳴るほどひきしまっていて、漬物にすると絶妙な美味さが特徴であるとされている。江戸時代に、
『秋茄子』と題する落語の小噺がある。
「秋茄子で匂いがあって、美味いからと、毎日煮て食べていたら、娘「かあさん、もう茄子はよしにしねへ。あきはてた」母「おのしゃ、秋茄子を食ふのは今年ばかりだ。たんと食ひやれ」「なぜへ」「来年は嫁になるからさ」と。
「秋茄子は姑の留守にばかり食ひ」という川柳まである。そんな茄子であるが、昨今では泉州水ナスが喧伝されて、わが家では地方への珍味としてこの時節の贈りものとして重宝している。
・きょうの駄作詠草
昼飯は水飯がよしと食ひしこと秋の茄子を懐かしみいて

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