もみじの季節は終り、歩けばその落葉を踏みしだく、か細き靴の音に侘しさを思う。この時節、7時近くにならなければ夜が明けて来ない朝が続く。そんななかで近隣の銀行に生活保護費を受け取りに来る人の多さを見るにつけ冬の寒さ、厳しさを感じる。本来は生活保護費は月末に支給される。朝9時に開く銀行の窓口や、ATMは開店と同時に引き出す人で長蛇の列になるが、朝の7時に108円の手数料を支払うことで並ばずに受給が出来るとのこと。
「貧すれば鈍する」ということばがある。孔子は、
「貧ニシテ道ヲ楽シム」という美徳を教えてくれた。だが、その教えに真っ向から反対している庶民の現実のすがたを見るにつけ、貧乏すれば、理知の働きも鈍ってしまうのだろうか、なんとも悲しい限りではあると思ったりもする。早速その鐚銭の一部でコンビニの酒を一献傾けている手合いがあった。生活保護費に頼って労働意欲がないのかとを思わせる光景が見られた。年末近し、例年変わりなき年の瀬がやって来る。
・きょうのわが駄作詠草
のろのろと野良猫わたる朝の道生活保護者の列横切りて

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